ブレーカーの種類

ブレーカーの種類

ブレーカーとは、電流が過剰に流れることを防いで電気回路を保護し、電気事故や火災などを防止する役割がある装置のことです。

今回は上の画像を例に、ブレーカーの種類とそれぞれの役割を解説します。

  • アンペアブレーカー:画像左側、アンペア数が書いてあるつまみ
  • 漏電ブレーカー:画像右下、「漏電ブレーカ」などと書いてあるつまみ
  • 安全ブレーカー:画像右上、複数あるつまみ(部屋数などにより個数は異なる)

アンペアブレーカー

アンペアブレーカーとは、契約アンペア数以上の電力を使用できないように制限する役割があるブレーカーです。一般的に分電盤の左側に配置されています。

契約アンペア数以上の電気が流れたときには、アンペアブレーカーが落ちます。

漏電ブレーカー

漏電ブレーカーとは、漏電によって火災や感電の事故が発生するのを防ぐためのブレーカーです。一般的に分電盤の中央に配置されています。

漏電を検知したときには、漏電ブレーカーが落ちます。

安全ブレーカー

安全ブレーカーとは、容量以上の電気が流れた回路のみを遮断して家全体が停電するのを防ぐためのブレーカーです。分電盤の右側に複数配置されています。

キッチンやリビング、寝室などの場所ごとに分けられた回路のうち、電気の使いすぎやショートした機器の回路がある場合に安全ブレーカーが落ちます。

電気配線のショートとは、電気コードの絶縁がはがれることで電気が近道をして、大きな電流が流れることを言います。ショートは、感電事故や火災につながるおそれがあるため、安全ブレーカーによって回路が遮断されます。

アンペアブレーカーが繰り返し落ちる原因と復旧方法

契約アンペア数以上の電力を使用できないように制限するアンペアブレーカーが、繰り返し落ちる場合に考えられる原因と復旧方法を解説します。

アンペアブレーカーが落ちる原因

アンペアブレーカーが落ちるのは、電気の使いすぎが原因です。消費電力が高い家電製品を同時に複数使って電力会社との契約アンペア数を超えた場合、使える電気を制限するためにアンペアブレーカーが落ちます。

アンペアブレーカーの復旧方法

アンペアブレーカーを復旧させるためには、同時に使う家電製品を減らすことがポイントです。

具体的には、以下の手順で復旧します。

  1. アンペアブレーカーが落ちる直前に使っていた家電を中心に、家電製品の電源を可能な限り切る
  2. アンペアブレーカーを「入」にする
  3. 電気がついたら、同時に使う家電製品を減らして再びアンペアブレーカーが落ちないように注意する

アンペアブレーカーは契約アンペア数を超えた場合に一時的に落ちるブレーカーであるため、同時に使う家電製品を減らせば繰り返し落ちることを防げます。

漏電ブレーカーが繰り返し落ちる原因と復旧方法

漏電によって火災や感電の事故が発生するのを防ぐ漏電ブレーカーが、繰り返し落ちる場合に考えられる原因と復旧方法を解説します。

漏電ブレーカーが落ちる原因

漏電ブレーカーは、漏電が発生した場合に落ちます。漏電とは、電線が傷ついたり、家電製品に水がかかったりして外部に電気が流れ出ることです。

漏電ブレーカーは感電や火災の発生を防ぐために、漏電を検知した際に回路を遮断します。

漏電ブレーカーの復旧方法

漏電ブレーカーが落ちたときは漏電が発生している可能性があるため、問題のある回路を特定する必要があります。

漏電ブレーカーは、以下の手順で復旧させます。

  1. アンペアブレーカー、漏電ブレーカー、安全ブレーカーをすべて「切」にする
  2. アンペアブレーカーを「入」にして、漏電ブレーカーも「入」にする
  3. 安全ブレーカーを1つずつ「入」にしていく
  4. 漏電している回路の安全ブレーカーを「入」にしたときに漏電ブレーカーが落ちるため、問題のある回路を特定できる
  5. 問題のある回路がわかったら再び安全ブレーカーをすべて「切」にして、落ちた漏電ブレーカーを再び「入」にする
  6. 4で特定できた安全ブレーカー以外の安全ブレーカーを「入」にする

漏電の可能性がある回路が特定できたら、感電や火災の発生を防ぐためにも速やかに電気工事店や電気管理技術者に連絡して点検・修理してもらいましょう。

安全ブレーカーが繰り返し落ちる原因と復旧方法

安全ブレーカーが繰り返し落ちる原因と復旧方法

特定の回路のみを遮断する安全ブレーカーが繰り返し落ちる原因と復旧方法を解説します。

安全ブレーカーが落ちる原因

安全ブレーカーは、1つの回路の許容量を超えた場合に落ちます。1つの回路には複数のコンセントがつながっているため、家の特定の場所で消費電力が高い家電製品を複数同時に使うと、その回路の安全ブレーカーが落ちてしまいます。

そのため、特定の場所で複数の家電製品を同時に使用した際に停電したときは、安全ブレーカーが落ちたと考えられるでしょう。

また、家電製品の故障やコードの損傷によってショートした際にも安全ブレーカーが落ちます。複数の家電製品を同時に使用していないのに、安全ブレーカーが落ちた場合はショートを疑いましょう。

安全ブレーカーの復旧方法

安全ブレーカーを復旧させるためには、特定の場所で同時に使う家電製品を減らすことがポイントです。

安全ブレーカーは、以下の手順で復旧させましょう。

  1. どの安全ブレーカーが落ちたのかを確認する
  2. 停電した場所で同時に使う家電製品を減らす
  3. 安全ブレーカーを「入」にする

電気がついたら、同時に使う家電製品を減らして再び安全ブレーカーが落ちないように注意しましょう。

ブレーカーが繰り返し落ちないためにしておきたい対策

ブレーカーが落ちると、家電製品の故障につながる可能性があります。ブレーカーが繰り返し落ちないように対策しておきましょう。

契約アンペア数を見直す

アンペアブレーカーが繰り返し落ちる場合は、同時に使う家電製品を減らすのがポイントです。しかし、家電製品の使用を控えてもアンペアブレーカーが繰り返し落ちる場合は、電気の使用状況に対して契約アンペア数が不足している可能性があるため、契約アンペア数を上げる必要があります。

契約アンペア数は、同時に使用できる電気の量を表しています。主な家電製品のアンペア数は以下のとおりです。

家電製品 アンペア数の目安
IHクッキングヒーター 20~30A
電子レンジ 15A
アイロン 12~14A
IHジャー炊飯器 13A
ドラム式洗濯乾燥機 洗濯時:2A
乾燥時:13A
ヘアードライヤー 8~12A
掃除機 弱:2A
強:10A

家電製品をどの程度同時に使うかを考えて、契約アンペア数を選びましょう。

消費電力が大きい家電を同時に使用しない

消費電力が大きい家電を同時に使うと、ブレーカーが落ちやすくなるので注意しましょう。消費電力が大きい主な家電は、以下のとおりです。

家電製品 消費電力の目安
IHクッキングヒーター 2,000~3,000W
卓上IH(100V) 1,400W
IHジャー炊飯器 1,300W(5.5合/炊飯時)
アイロン 1,200~1,400W
ドライヤー 1,200W
電子レンジ 500~1,500W
オイルヒーター 300W~1,500W
ファンヒーター 200~1,300W
エアコン 暖房時660W(立ち上がり時2,000W)

消費電力が大きい家電は、使うタイミングをずらしましょう。

漏電対策をする

漏電は、感電事故や火災につながる危険な現象です。日ごろから漏電を防ぐために、以下のような対策をしましょう。

  • アース線をつなぐ
  • 家電製品を濡らさない
  • 劣化している家電製品やコードを交換する

アース線とは、漏電が発生した際に家電製品の電気を地面に逃がすための電線のことです。アース線をつないでおけば、漏電した機器に人が触れても感電を防げます。

水がかかる場所で家電製品を使用することや、濡れた手で家電製品を触ることは漏電につながる可能性があるので注意しましょう。

劣化した家電製品やコードを使用し続けていると、漏電によって感電や火災が発生するおそれがあるため、長期間使用している場合は新しいものに交換しましょう。

まとめ

まとめ

ブレーカーは、感電や火災などを防ぐための重要な装置です。ブレーカーには、「アンペアブレーカー」、「漏電ブレーカー」、「安全ブレーカー」の3種類があり、それぞれ役割が異なります。

どのブレーカーが落ちたかによって原因や対処法が異なるため、冷静に確認して適切に対応することが大切です。

ブレーカーが繰り返し落ちる原因がどうしてもわからないときは、契約している電力会社や電気工事店に相談してみましょう。契約アンペア数を見直すときは、電力会社も見直してみることをおすすめします。

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この記事を監修した人
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大岩 俊之(おおいわ としゆき)

家電製品総合アドバイザー。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。