電気代が値上げされるのはなぜ?理由や影響・対策方法を解説
昨今、エネルギー価格の上昇や再エネ賦課金の値上げ、さらには政府の補助金終了など、様々な要因が電気代の変動を招いています。電気代の継続的な値上げにより、家計への影響を懸念する声も増えています。
本記事では、電気代が値上げされる具体的な理由と考えられる影響、これまでの電気代の推移や今後の動向予測、家庭でできる対策などを詳しく解説します。
電気代が値上がりする理由
電気代の値上げには以下の4つの背景があると考えられます。それぞれ詳しく解説します。
エネルギー価格の上昇による値上げ
世界的なエネルギー需要の増加や地政学的リスクの高まりにより、石油や天然ガスなどの化石燃料の価格が上昇しています。これにより、発電コストが増加し、電気代に反映される形となっています。
近年少しずつ落ち着いてきていましたが、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻の影響により、2022年から2023年にかけては急激な価格上昇が見られました。特にLNG価格の値上がりは、当時の電気代に大きく影響をおよぼしたと言えるでしょう。
出典:資源エネルギー庁「2023年6月の電気料金、なぜ値上がりするの?いくらになるの?」
再エネ賦課金の単価変動
「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」とは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度によって電力会社などが電力の買取りに要した費用などを、電気料金の一部として、使用量に応じて利用者が負担するものです。個々の負担金額は、政府が決めた全国一律の単価に毎月の電気使用量を掛け合わせて決まります。
再エネ賦課金の単価は毎年変わり、2025年5月から2026年4月までの単価は3.98円 /kWhに決定されました。これは2024年5月から2025年4月までの3.49円からは0.49円の値上げ幅となっています。
再エネ賦課金は太陽光発電などの再生可能エネルギーの普及を目的としており、毎年単価が変動します。そのため、電気代を気にするなら、常にその動向を意識しておく必要があります。
| 適用期間 | 単価(/kWh) |
|---|---|
| 2023年5月~2024年4月 | 1.40円 |
| 2024年5月~2025年4月 | 3.49円 |
| 2025年5月~~2026年4月 | 3.98円 |
再エネ賦課金について詳しくは、以下の記事で紹介しています。
政府による補助金の終了
コロナ禍やウクライナ情勢の影響による燃料費の高騰を受け、2023年2月(1月使用分)から、政府は電気やガスの料金を補助する「電気・ガス価格激変緩和対策」を実施していました。
電気・ガス価格激変緩和対策は2024年6月に一旦終了しましたが、電気使用量が増加する時期にあわせて、その後も複数回実施されています。
| 政府による補助の適用時期 | 値引き単価(円/kWh) |
|---|---|
| 2024年9月(8月使用分) | 4.0円 |
| 2024年10月(9月使用分) | 4.0円 |
| 2025年2月(1月使用分) | 2.5円 |
| 2025年3月(2月使用分) | 2.5円 |
| 2025年4月(3月使用分) | 1.3円 |
| 2025年8月(7月使用分) | 2.0円 |
| 2025年9月(8月使用分) | 2.4円 |
| 2025年10月(9月使用分) | 2.0円 |
国が電気代の一部を負担することで、夏季や冬季の電気代の急騰はある程度抑えられます。ただし、補助がない期間は、節電を心がけていても電気代を思うように抑えられない可能性があります。
2025年11月21日には、2026年1月から3月にかけての電気代支援策が政府から発表されました。ただし、エネルギーコストが高止まりしている状況を踏まえ、補助金に頼りすぎず、家庭での節電対策を講じることが重要です。
電気代の節約に役立つ補助金については、以下の記事で詳しく紹介しています。
電気代の補助金はいつまで?申請方法や値引き額のシミュレーションを紹介
気温上昇による使用量の増加
近年、夏の猛暑が続いており、気温上昇に伴ってエアコンなどの使用が増えることで、電気代の負担が大きくなる傾向があります。
気象庁のデータによると、平均気温は年々上昇傾向にあり、今後も夏季の電気代が増加する可能性があると言えます。
近年における電気代の推移
電気代が「高騰している」という声を耳にする機会が増えていますが、実際にどのように推移してきたのかを確認しておきましょう。
電力会社の一例として、東京電力では電気代が以下のように推移しています。
【平均モデル】従量電灯B・30A契約、使用電力量:260kWh/月、再生可能エネルギー発電促進賦課金(2012年8月分以降)、太陽光発電促進付加金(2010年4月分から2014年9月分まで)、口座振替割引額、消費税等相当額込。
過去には2012年の再エネ賦課金導入に伴う値上げ、2015年の石炭や天然ガスの価格下落による値下げなどがありましたが、直近で電気代が大きく上昇したのは2022年です。
ウクライナ侵攻や円安の影響で石炭などの価格が高騰し、火力発電の依存度が高い日本は大きな影響を受けました。2023年には、その影響が本格的に電気代に反映されはじめています。
さらに、2024年および2025年の再エネ賦課金の引き上げも、電気代の値上げに大きく影響しています。
電気代の平均
全国的に電気代の値上げが続く中、一般家庭の1カ月あたりの平均電気代がどれほどなのか、関心を持つ方も多いでしょう。
そこで、総務省「家計調査」より、一人暮らしや家族暮らしを含めた総世帯のデータから月別の電気代の平均額を見ていきます。
【世帯人数別】1カ月あたりの電気代の平均(2024年)
| 世帯人数 | 1カ月あたりの電気代の平均 |
|---|---|
| 1人 | 6,756円 |
| 2人 | 1万878円 |
| 3人 | 1万2,651円 |
| 4人 | 1万2,805円 |
| 5人 | 1万4,413円 |
| 6人以上 | 1万6,995円 |
出典:総務省統計局「家計調査 / 家計収支編 総世帯 詳細結果表 世帯人員・世帯主の年齢階級別」
上記の結果から、世帯人数が多いほど電気代が高くなる傾向が読み取れます。1人世帯と5人世帯では、電気代に平均で約1万円の差が生じています。家族の人数が多くなるほど使用する家電や照明が増え、その分の電気代が反映されると考えられます。
【地方別】1カ月あたりの電気代の平均(2024年)
| 地方 | 1カ月あたりの電気代の平均 |
|---|---|
| 北海道地方 | 1万481円 |
| 東北地方 | 1万1,636円 |
| 関東地方 | 9,819円 |
| 北陸地方 | 1万2,104円 |
| 東海地方 | 1万180円 |
| 近畿地方 | 9,328円 |
| 中国地方 | 1万1,213円 |
| 四国地方 | 1万935円 |
| 九州地方 | 8,739円 |
| 沖縄地方 | 9,988円 |
出典:総務省統計局「家計調査 家計収支編 総世帯 都市階級・地方」
地域によって電気代に差があることがわかります。特に日本海側の北陸地方や中国地方(山陰側)、また寒冷な東北地方では暖房需要が高まり、電気代も高くなる傾向があります。一方で、北海道は石油暖房を用いる家庭も多いため、電気代が他地域より必ずしも高額にならないと考えられます。
【季節別】1カ月あたりの電気代の平均(2024~25年)
| 季節別 | 1カ月あたりの電気代の平均 |
|---|---|
| 秋(2024年10~12月) | 9,645円 |
| 冬(2025年1~3月) | 1万3,445円 |
| 春(2025年4~6月) | 1万344円 |
| 夏(2025年7~9月) | 1万278円 |
出典:総務省統計局「家計調査 家計収支編 総世帯 総世帯 四半期」
一般的に、気温が穏やかな春や秋は電気代が抑えられ、夏や冬は冷暖房によって電気代が高くなる傾向にあります。しかし、2025年は春の期間に補助がなく、夏に補助があったことから、両者の電気代に大きな差が見られない点が特徴です。
電気代の平均額について詳しくは、以下の記事で紹介しています。
電気代の値上げによる影響
電気代の高騰は、家庭の家計に直接的な影響を与えます。特に夏季や冬季に冷暖房使用が増加すると、月々の支出が大幅に増える可能性があります。これにより家計が圧迫されることが懸念されます。
これは家庭だけではなく、企業にとっても大きな問題です。特に製造業やサービス業では、電力コストが経営に直結します。電気代の上昇は製品やサービスの価格に反映されるため、消費者への影響も避けられません。
電気代の値上げについて今後の見通しは?
2022年ごろにはじまった電気代値上げの流れは、2025年現在も続いています。特に直近では、以下の時期に電気代の変化が顕著に見られました。
- 2025年5月:再エネ賦課金の電気料金単価が3.49円/kWhから3.98円/kWhへさらに引き上げ(現状、同単価を維持している状況)。
- 2025年2~4月:国の「電気・ガス料金負担軽減支援事業」で電気料金単価が1.3~2.5円/kWhの値下げ。
- 2025年8~10月:国の「電気・ガス料金負担軽減支援事業」で電気料金単価が2.0~2.4円/kWhの値下げ。
2026年についても、政府による単価補助の実施が計画されていますが、今後も再エネ賦課金の引き上げや、石炭・天然ガスなどのエネルギー価格の上昇が見込まれています。そのため、来年以降も電気代の上昇傾向が続く可能性が高いと考えられます。
電気代の値上げに対する対策方法
これまでは電気代の値上げについて解説してきましたが、外部要因に対して一般家庭で対策を取るのは非常に困難でしょう。
そこで、家庭でも取り入れやすい電気代の削減におすすめの4つの対策を解説します。
省エネ家電の導入
省エネ家電や電力効率の高い設備を導入すると、電気代を削減できます。LED照明や高効率エアコンの使用はその一例です。
最新の省エネ家電は、従来の家電に比べて消費電力が大幅に削減されています。たとえば、省エネ基準達成率の高い冷蔵庫やエアコンは、年間の電気代を大幅に削減できます。
よく使う家電から最新の省エネ製品に買い替えていくと、節電をより実感しやすいでしょう。地域によっては省エネ家電を購入するにあたり、ポイントが交付される補助制度を取り入れている自治体もありますので、公式サイトで確認してみましょう。
各家電の使用電力や電気代について詳しくは、以下の記事一覧で紹介しています。
家電・設備の記事一覧|楽天エナジー (rakuten.co.jp)
再生可能エネルギーの活用
再生可能エネルギーとして家庭への普及が進んでいるのが、太陽光発電です。
太陽光発電を導入するためには、ソーラーパネルを含め、ほかにもパワーコンディショナーや架台など様々な設備が必要となり、それらを総称して太陽光発電システムと呼びます。
太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせると、より効率的な電気代の削減が期待できます。特に家庭用の太陽光発電システムや蓄電池は、初期投資が必要ですが、長期的には大きな電気代の節約につながります。
初期費用は年々安くなっている傾向にはなっていますが、2024年時点で、住宅用の太陽光発電システムの設置費用は、新築住宅で1kWあたり平均22.01万円と言われています。こちらはあくまでも目安で、各メーカーや設置状況により変動する可能性もあります。
太陽光発電の設置を検討する際に知っておきたいメリットやデメリットについて詳しくは、以下の記事で紹介しています。
太陽光発電のメリットとデメリットは?設置の判断材料をわかりやすく解説
また、太陽光発電の設置にかかる具体的な費用や相場、設置後のコスパについて詳しくは、以下の記事で紹介しています。
料金プランの見直し
最近では、基本料金0円のプランや電気の取引市場の価格に応じて単価が変わるプランなど、電力会社ごとにプランが多様化しています。プランが複数ある電力会社で契約中の場合は、プランを変更するだけで電気代が安くなる可能性があります。
プランが選べない場合は、容量変更(アンペア変更)をすると基本料金を抑えられる可能性もあります。ただし、ブレーカーが落ちやすくなるなどのリスクもあるため、容量変更には自身の家電の使用状況なども考慮する必要があります。
各家電の消費電力を確認したい場合は、以下の記事一覧をご確認ください。
電力会社の見直し
現在では、電力自由化により、複数の電力会社から契約する電力会社を自由に選択することが可能です。
料金プランやサービス内容を比較し、自分に合った電力会社を選ぶと、電気代を抑えられます。
また、独自の付帯サービスや初回特典などを提供している電力会社や、期間限定でキャンペーンを開催している場合があるので、電気代の単価の安さだけではなく、総合的なメリットを踏まえて検討してみることもおすすめです。
まとめ
今後も電気代の値上げは避けられない状況が続くと見込まれますが、適切な対策を講じることで、その影響を最小限に抑えることが可能です。
たとえば、省エネ対策の実施や再生可能エネルギーの活用により、電気代の負担軽減が期待されます。
電気代を少しでも節約したい場合は、電力会社や料金プランの見直しが有効です。自身の生活スタイルに合ったプランを選択することで、電気代の削減が期待できます。また、検討の際には、電力会社の提供する特典やサービス内容にも注目しましょう。
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電力会社の乗り換えで知っておきたい基本や電気料金が変わる仕組みなどについて詳しくは、以下の記事で紹介しています。
電力会社や電気プランは乗り換えできる?電気料金は変わる?選び方や注意点を解説
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