月々の電気料金の計算方法

月々の電気料金は、基本料金と電力量料金、再生可能エネルギー発電促進賦課金を合計した金額です。

電気料金=基本料金+電力量料金(燃料費調整額・市場価格調整額を含む)+再生可能エネルギー発電促進賦課金

電気料金を構成するそれぞれの要素について、以下で詳しく解説します。

①基本料金

基本料金とは、電気の使用量にかかわらず、毎月定額で発生する固定料金です。

基本料金には、主に「アンペア制」と「最低料金制」があり、採用している料金体系は電力会社によって異なります。アンペア制は、契約アンペア数によって基本料金が決まる料金体系です。一方、最低料金制では、契約アンペア数に関係なく、一律の最低料金が設定されています。

②電力量料金

電力量料金は、使用した電力量に応じて変動する料金です。

具体的には、使用電力量に基づいて算定した金額(電力量料金単価×1カ月の使用電力量)に、「燃料費調整額」や「市場価格調整額」を加算または減算して求めます。

電力量料金単価は、1kWh(1kWの電力を1時間使用したときの電力量)あたりの料金のことです。たとえば、電力量料金単価が31円/kWh(※1)、使用電力量が300kWhの場合、使用電力量に基づく料金は9,300円と計算できます。

31円×300kWh=9,300円

なお、電力量料金単価は、電力会社やプランによって異なります。電力自由化(2016年)以前は、電気の使用量に応じて電力量料金単価に格差を設けた「3段階料金」が採用されており、複雑な料金体系でした。

区分 使用電力量
第1段階料金 120kWhまで
第2段階料金 120kWh超~300kWhまで
第3段階料金 300kWh超

しかし、電力自由化後はプランが多様化し、シンプルで分かりやすい料金体系のものも登場しています。楽天でんきでは、基本料金が0円(※2)、使った分だけをお支払いいただくシンプルな料金体系を採用しています。

(※1)31円/kWhは、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が発表した目安単価です(22年7月22日改定)。
(※2)「プランS」「プランM」が対象。「動力プラン」の場合、基本料金は0円ではありません。

燃料費調整額・市場価格調整額

上述したとおり、電力量料金は、使用電力量に基づいて算定した金額に「燃料費調整額」や「市場価格調整額」を加減して求めます。

区分 概要 計算式
燃料費調整制度 火力燃料(原油・LNG・石炭)の価格変動に応じて電気料金を自動調整する制度 燃料費調整額=燃料費調整単価×1カ月の使用電力量
市場価格調整制度 電気の市場価格の変動に応じて電気料金を自動調整する制度 市場価格調整額=市場価格調整単価×1カ月の使用電力量

燃料費調整額制度は、電気をつくるのに必要な燃料の価格が上がると電気料金も高くなり、下がると低くなる仕組みです。また、電気の市場価格は燃料価格や為替レートなどの影響を受けるため、その価格変動を電気料金に反映させるために市場価格調整制度を導入している電力会社もあります。

燃料費調整額、市場価格調整額を含めた電力量料金の計算式は、以下のとおりです。

電力量料金単価×1カ月の使用電力量±燃料費調整額(燃料費調整単価×1カ月の使用電力量)±市場価格調整額(市場価格調整単価×1カ月の使用電力量)

③再生可能エネルギー発電促進賦課金

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、再生可能エネルギーの買い取りにかかる費用を利用者が電力使用量に応じて負担するものです。以下の計算式で求められます。

再生可能エネルギー発電促進賦課金=再生可能エネルギー発電促進賦課金単価×使用電力量

電力会社には、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど)によって発電された電気を一定期間・固定価格で買い取ることが義務付けられており、その買い取り費用の一部を賦課金として利用者が負担する仕組みです。

たとえば、1カ月間の使用電力量が300kWhの場合、再生可能エネルギー発電促進賦課金は以下のように求められます。

3.49円/kWh(※3)×300kWh=1,047円

なお、再生可能エネルギー発電促進賦課金の単価は、毎年5月に国(経済産業大臣)によって定められるため、電力会社による違いはありません。

再生可能エネルギー発電促進賦課金は、以下の記事でも詳しく解説しています。

再エネ賦課金とは?仕組みや電気料金との関係を詳しく解説

(※3)24年5月分~25年4月分の再生可能エネルギー発電促進賦課金単価です。

電化製品ごとの電気料金を計算する方法

電化製品ごとの電気料金を計算したいときは、消費電力量(kWh)に電気料金の単価(円/kWh)を掛けて求めます。消費電力量とは、消費電力(1秒あたりに使用する電力の単位)に家電を使用した時間を掛けたものです。

つまり、電化製品ごとの電気料金は、以下の計算式で求められます。

電気料金=消費電力(kW)×使用時間(h)×電気料金単価(円/kWh)

たとえば、消費電力660Wのエアコンを1時間使用し、電気料金の単価が31円/kWh(※4)だった場合の電気料金は、20.46円です。

エアコンの電気料金=0.66kW×1時間×31円/kWh=20.46円

消費電力は、カタログや取扱説明書などで確認できます。ただし、実際の消費電力は温度・湿度や使用状況などによって変わるため、カタログや取扱説明書に記載されている消費電力から正確な電気料金を求めるのは難しいでしょう。

(※4)31円/kWhは、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が発表した目安単価です(22年7月22日改定)。

電気料金の検針票の見方

電気料金の検針票の見方

1カ月間の電気料金や使用電力量は、紙の検針票やウェブ検針票で把握できます。紙の検針票に記載されるのは、主に以下のような項目です。

項目 概要
お客様番号 契約者ごとに割り振られた番号
契約者ごとに割り振られた番号 電気を利用している場所や地点を特定するために必要な番号
検針日 当月および翌月の検針日
契約種別 契約プラン名
契約容量(アンペア) 同時に使用できる電気の最大容量
電気使用量 当月の電気使用量(kWh)
請求額 当月の請求額
電気料金の内訳 基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金など
振替予定日や支払期日 電気料金の支払日

また、電力会社によっては、ウェブの会員ページ上で期間ごとの電気使用量をグラフなどで確認できます。電気の使い方を効果的に見直せるため、うまく活用しましょう。

楽天でんきのご契約者様向けマイページでは、使用電力量を月別、週別、日別、時間別にご確認いただけます。前日との比較や時間ごとの違いなどが把握できるため、使いすぎ防止に役立ちます。

電気料金は平均いくら?

電気料金は平均いくら?

月々の電気料金が高いと感じており、周りの方がいくら払っているか気になっている方もいるでしょう。総務省「家計調査 家計収支編」(2023年)によると、2023年の電気料金は月額平均1万222円でした。

ただし、電気料金は世帯人数や季節によって大きく変わります。

【世帯人数別】電気料金の平均

世帯人数別の電気料金の平均(2023年)は、それぞれ以下のとおりでした。

世帯人数 電気料金の平均
1人 6,726円
2人 1万940円
3人 1万2811円
4人 1万3532円
5人 1万4373円
6人 1万8941円

出典:総務省「家計調査 家計収支編」(2023年)

一般的に、世帯人数が多くなるほど電力使用量が増えるため、月々の電気料金が高くなります。

【季節別】電気料金の平均

次に、季節別の電気料金の平均を紹介します。

時期 電気料金の平均
4~6月 9,190円
7~9月 8,390円
10~12月 8,514円
1~3月(2024年) 1万974円

出典:総務省「家計調査 家計収支編」(2023年)

調査結果を見ると、特に冬場の電気料金が高くなることが分かります。

一般的に、気温と室温の差が大きい冬は、夏と比べても使用電力量が大きくなりやすく、年間を通じて最も電気料金の支出が増える時期です。また、日照時間が短くなり、暖房や照明をつけている時間が長くなりやすいことも影響しています。

電気料金が高くなっている主な原因

「電気の使い方はそこまで変わっていないのに、電気料金が高くなっている」と感じている方もいるでしょう。電気料金が高くなっている主な原因は、以下の3つが挙げられます。

  1. 燃料価格の高騰
  2. 電力の供給不足
  3. 再生可能エネルギー導入の促進

それぞれ詳しく解説します。

1 燃料価格の高騰

電気料金が高くなっている1つ目の原因は、電気料金に上乗せされる「燃料費調整額」が増したことにあります。

背景にあるのは、2022年のロシアのウクライナ侵攻に伴う燃料価格の高騰です。主要国がロシア産資源の輸入を禁止する措置を講じたことなどを背景に、世界的に燃料価格が大きく高騰しました。

ロシアへの依存度が高かった欧州諸国が代わりとなるエネルギーを買い求めたことで、アジアの国々も大きな影響を受けています。

2 電力の供給不足

2つ目の原因は、電力の供給不足です。供給不足が発生する背景には、災害などによる発電所の稼働停止や、気候の急激な変動などが挙げられます。日本では、2011年3月11日に東日本大震災が発生し、安全確保のために原子力発電所が停止したため、深刻な供給力不足が発生しました。

また、2022年3月には、福島県沖の地震の影響で火力発電所が停止したことに加え、気温の急激な低下で暖房による需要が大きく増加したことが重なり、供給力不足へとつながっています。

3 再生可能エネルギー導入の促進

3つ目の原因は、再生可能エネルギーの導入が促進され、再生可能エネルギー発電促進賦課金が値上げされたことです。

2020年10月、政府は、温室効果ガスの排出量から吸収量を差し引いて合計をゼロにする「カーボンニュートラル」を2050年までに達成すると宣言しました。カーボンニュートラルを実現するには、再生可能エネルギーの割合を増加させなければなりません。

このような現状を踏まえると、今後も再生可能エネルギーの買い取りにかかる費用が高くなることが予想されます。

なお、2024年度(2024年5月分~2025年4月分)の再生可能エネルギー発電促進賦課金単価は3.49円/kWhであり、これまでで最も高い金額となりました。

電力消費量が大きい家電は?節約術もチェック

家庭の電化製品のなかでも特に電気料金を左右しやすいのは、エアコンや冷蔵庫、照明などです。

電化製品 割合
エアコン 14.7%
冷蔵庫 14.3%
照明 13.5%
テレビ 9.4%
パソコン 3.9%
ビデオレコーダー 2.4%
電気ポット 2.3%
温水暖房便座 2.0%
電気コンロ 1.9%
電気炊飯器 1.7%
除湿器 1.5%
電子レンジ 1.3%
モデム・ルーター 1.2%
浴室乾燥機 1.1%
食器洗い乾燥機 1.0%
洗濯乾燥機 0.6%
その他 27.4%

出典:環境省委託事業「家庭部門のCO2排出実態統計調査事業(令和3年度調査分)報告書」

電気料金の負担を抑えるには、消費電力の大きい電化製品の使い方を見直すことが効果的です。ここでは、エアコン、冷蔵庫、照明の節約術をいくつか紹介します。無理なくできるものから取り組んでみてください。

電化製品 節約術
エアコン
  • 冷房の設定温度を上げる
  • 暖房の設定温度を下げる
  • 毎月フィルターを掃除する
  • ドアや窓の開閉を少なくする
  • 冷房時はレースカーテンなどで日差しを避ける
  • 扇風機を併用する
  • 暖房時は厚手のカーテンを使用する
  • 室外機の周りに物を置かない
冷蔵庫
  • 庫内の温度を「中」や「弱」にする
  • 熱いものは冷めてから冷蔵庫に入れる
  • 冷蔵庫に食材を詰め込み過ぎない
  • 開閉時間・回数を減らす
  • 最新の省エネ冷蔵庫に買い替える
照明
  • LEDに取り替える
  • 使わない部屋の電気はこまめに消す
  • 人感センサー付きの照明を利用する
  • 定期的に掃除する
  • リモコンではなく壁のスイッチを消す習慣を付ける

電気代の節約術は、以下の記事でも詳しく解説しています。

電気代を節約するには?すぐできる節約術7選や効果的な方法をわかりやすく解説

電力会社や契約プランを見直すときは何を見るべき?

電気料金の負担を抑えたい場合、電力会社や契約プランの見直しも効果的です。そこで、電力会社や契約プランを見直すときに着目すべきポイント・注意点を解説します。

  • 1kWhあたりの単価はいくらか
  • 割引プランやポイントサービスはあるか
  • 解約金はかかるか

1kWhあたりの単価はいくらか

1kWhあたりの単価(電力量料金単価)は、電力会社やプランによって異なります。

従来は、電気の使用量に応じて電力量料金単価に格差を設けた「3段階料金」が採用されていました。3段階料金は、電力使用量が多いほど単価が高くなる仕組みです。

しかし、2016年の電力自由化後は料金プランが多様化し、時間帯や曜日、季節に応じて料金単価が変わるプランを採用している電力会社も登場しています。

ご家庭の電気の使用状況によっては、電化製品を使用する頻度が高くなる時間帯や曜日に単価が安くなるプランを選ぶことで、電気料金を抑えられる可能性があります。

ただし、月々の電気料金は、電力量料金だけでなく基本料金によっても変わってくるため、基本料金の料金体系も確認しましょう。

割引プランやポイントサービスはあるか

割引プランやポイントサービスの有無にも着目しましょう。電力会社によっては、条件を満たすと各種割引が適用される場合があります。

  • ガスやインターネットサービスとのセット割引
  • 支払方法による割引
  • 長期契約による割引など

また、普段から使っているポイントが貯まる・使える電力会社を選べば、よりおトクに電気料金を支払うことが可能です。

楽天でんきでは、電気料金200円につき1ポイント、ガス(※5)とセットでご契約いただく場合は100円につき1ポイントの楽天ポイントが貯まります(※6)(※7)。貯まった楽天ポイントを電気料金のお支払いに充当することも可能です(※8)。

(※5)楽天ガスは都市ガス(東京ガス、東邦ガス、関電ガス)が提供対象エリアです。詳しくはガス対象エリアページをご確認ください。
((※6)楽天ポイント進呈の基準となる金額は、電気料金とガス料金の税抜価格です。
(※7)楽天ポイントの進呈対象は、クレジットカードでお支払いいただいた料金となります。コンビニ払込用紙でのお支払いではポイント進呈対象にはなりません。
(※8)貯まったポイントは50ポイント(50円相当)からご利用料金に充当できます。

解約金はかかるか

電力会社を乗り換える際、契約内容やプランなどによっては解約金がかかる場合があります。

消費生活センターには、電力会社の解約金に関する相談が寄せられています。たとえば、以下のような事例です。

電気料金が下がると勧誘されて電力会社を乗り換えたが、実際には安くならず、解約しようとすると解約金がかかると言われた

出典:独立行政法人国民生活センター・消費者庁・経済産業省電力・ガス取引監視等委員会:「電力・ガスの契約に関する相談が多く寄せられています」

乗り換えをする際、「電気料金がどれだけ安くなるか」は重要な判断基準のひとつですが、解約金の有無や金額も含めて検討しましょう。また、契約内容をしっかり確認したうえで契約することが大切です。

まとめ

月々の電気料金は、毎月固定で発生する「基本料金」と使用電力に応じて決まる「電力量料金(燃料費調整額・市場価格調整額含む)」、単価が一律で決まっている「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の合計額です。

また、消費電力をもとに、使用した時間に応じて電化製品ごとの電気料金を求めることも可能です。ただし、カタログなどに記載されている消費電力から正確に算出するのは難しいため、電力会社の会員ページなどで電気料金や使用電力量を把握し、電気の使い方を効果的に見直しましょう。

楽天でんきは、使った分だけをお支払いいただくおトクな料金体系を採用しています。お申し込みをウェブに限定し、お支払い方法をクレジットカードに限定することでコストを削減し、基本料金0円(※9)でサービスを提供しています。

なお、楽天でんきでは、解約に際し手数料や違約金は発生しません。解約のご希望日は、申請日から4日後以降60日未満で承っております。

月々の電気料金を見直したい方は、「料金シミュレーション」をご利用ください。現在の電気料金や契約情報を入力すると、年間の電気料金がいくらおトクになるか、楽天ポイントをどれだけ獲得できるかを簡単に試算できます。

(※9)「動力プラン」の場合、基本料金は0円ではありません。

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この記事を監修した人
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鶏冠井 悠二(かいで ゆうじ)

1級FP技能士・CFP・証券外務員一種・投資診断士・節約生活スペシャリスト・クレジットカードアドバイザー®

コンサルタント会社、生命保険会社を経験した後、ファイナンシャルプランナーとして独立。「資産形成を通じて便利で豊かな人生を送って頂く」ことを目指して相談・記事監修・執筆業務を手掛ける。担当分野は資産運用、保険、投資、NISAやiDeco、仮想通貨、相続、クレジットカードやポイ活など幅広く対応。現在、WEB専門のファイナンシャルプランナーとして活動中。