消費電力とは

消費電力とは何かを知るためには、消費電力・定格消費電力・年間消費電力の3つの言葉を理解する必要があります。まずは、消費電力の基礎を押さえましょう。

消費電力

消費電力は、電化製品を動かすときに使われる電力量です。消費電力は電化製品の説明書や仕様書などに記載されており、単位はワット(W)で表されます。

例えば、電子レンジ1,400W、ドライヤー1,000W、エアコン450Wのように、電化製品ごとに「●●W」と記載されています。

目立たない場所にシールが貼られているケースも多いので、自宅の電化製品を確認してみてください。

定格消費電力

定格消費電力は、指定された条件のもとで電化製品を最大限に使ったときの消費電力です。条件は、JIS規格に基づいています。

温度や強弱を調整できる電化製品の場合、使い方によって消費電力が変わるのは想像に難くないでしょう。例えば、ホットカーペットを「弱」で使った場合と「強」で使った場合、同じ時間使用すると「強」のほうが消費電力は大きくなります。

上記の例では、ホットカーペットを最も高い温度設定で使い続けた場合の消費電力が、定格消費電力として表されます。

年間消費電力

年間消費電力は、JIS規格で定められた条件のもとで電化製品を1年間使用したとき、どのくらい電力を消費するかを表すものです。

エアコンの風量を最大にし続ける、ホットプレートの温度を最高にし続けるなど、定格消費電力で電化製品の使用を継続するケースはそこまで多くありません。

一方、年間消費電力は実際の使用時に近い条件で消費される電力の数値なので、日常生活で使われる電力量を知る目安になります。

消費電力の計算方法

消費電力は、いくつかの要素がわかれば簡単に計算可能です。消費電力を計算するために必要な要素や計算式を解説し、実際の計算例を紹介します。

消費電力の計算に必要な要素や計算式

消費電力のワット(W)を計算する際に必要なのは、アンペア(A)とボルト(V)です。アンペアは電流、ボルトは電圧を表す単位であり、消費電力のワット(W)は「アンペア(A)×ボルト(V)」で計算できます。

消費電力がキロワット(kW)で表示されている場合は、1,000で割ればワット(W)の値になります。

消費電力の計算例

消費電力は「アンペア(A)×ボルト(V)」で求められるので、消費電力が知りたいときは計算式に数字を当てはめましょう。

例えば、電流が2Aで電圧が15Vの場合、消費電力は「2×15」で30Wとなります。

ワット数の計算方法やアンペアとボルトとの違いは、以下の記事でも詳しく解説しています。

ワット数の計算方法は?アンペアやボルトとの違い、電気代節約につなげる方法も解説

家庭で消費電力を減らすメリット

家庭で消費電力を減らすメリット

環境省によると、1世帯が1年間に消費する電力量は4,175kWhです(※1)。

家庭の消費電力は、できるだけ減らしたほうが良いとされていますが、数値を見てもイメージしにくいでしょう。ここでは、家庭で消費電力を減らすとどのようなメリットがあるのか紹介します。

(※1)出典:環境省「令和3年度 家庭部門の CO2排出実態統計調査 結果の概要(確報値)」

1 電気代の節約

家庭で消費電力を減らす大きなメリットのひとつが、電気代を節約できることです。消費電力が大きければたくさん電気を使うことになり、結果的に支払う電気代が高くなります。

2022年に始まったロシアのウクライナ侵攻など、世界経済の状況によってエネルギー価格が高騰すると、電気代の単価は高くなります。単価が高くなると、これまでと同じように電気を使っていても、月々の電気代は高くなるでしょう。

経済の影響によるエネルギー価格の高騰は、自分の力ではどうにもできません。自分では変えられない理由で電気代が高くなっても耐えられるよう、普段から消費電力を抑えて電気代を節約することが大切です。

2 大規模停電の防止

家庭の消費電力を抑えることで、大規模停電の防止につなげられます。

大規模な停電は、地震や津波などの自然災害が原因で発生するイメージがありますが、需要と供給のバランスが崩れることでも起こり得る問題です。

普段は電力の需要と供給のバランスが整っているため、普通に生活する中で突然停電に見舞われるケースは少ないでしょう。しかし、突然の猛暑や寒波などの影響で電力需要が想定より高まると、供給が追いつかずに停電する可能性があります。

実際に、東日本大震災発生後に電力の供給が落ち込んだときは、経済産業省資源エネルギー庁が使用電力を減らすよう呼びかけました。電力の需要が多くなりすぎて供給が追いつかない事態にならないよう、普段から消費電力を抑える意識を持つことが大切です。

各家庭の消費電力が増えると、電力の供給がひっ迫するおそれもあります。詳しくは以下の記事で解説しています。

電力ひっ迫はなぜ起こる?原因や家庭でできる節電方法を解説

3 地球温暖化の抑制

家庭の消費電力を抑えれば、地球温暖化の抑制につながります。

地球温暖化の大きな原因は、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスです。二酸化炭素の排出量を抑えなければ、地球温暖化の進行を抑えることはできません。

地球温暖化の進行により、世界の平均気温や平均海面水位が上昇する悪影響が発生しています。近年の猛暑で、地球温暖化の影響を身近に感じた方も多いでしょう。

地球温暖化を抑えるためには、家庭での意識改革も大切です。家庭から出る二酸化炭素のうち、半分程度は電気の使用によるものとされています。つまり、家庭の消費電力を抑えれば、二酸化炭素排出量を減らして地球温暖化を抑制することにつながるのです。

家庭の消費電力が大きくなる原因は?

日常生活で消費電力を抑えようと意識していない場合、いつの間にか消費電力が大きくなっているケースがあります。消費電力が大きくなると電気代がかさみ、エネルギー不足や地球温暖化を招くこともあるため、意識して抑えなければなりません。

家庭の消費電力が大きくなる原因を解説するので、当てはまるものがないか確認してみてください。

1 待機電力が発生している

消費電力が大きいときは、待機電力が発生している可能性があります。

待機電力とは、電化製品を使用していないときでも消費される電力です。電化製品を使っていなくても、プラグをコンセントに差しているだけで電気が流れるため、電力が消費されてしまいます。

メモリやモニター表示などの機能維持のために電力を消費する場合もあれば、リモコンのボタンが押されたときにすぐ稼働できるように指示待ちで電力を消費している場合もあります。

家庭の消費電力量に占める待機電力の割合は、約6%といわれています(※2)。消費電力を抑えるなら、日常的に使わない家電などは使うときだけプラグをコンセントに差すなど待機電力を減らすよう意識しなければなりません。旅行中などは、特に待機電力を抑えるよう意識しましょう。

(※2)出典:省エネルギーセンター「平成20年度 待機時消費電力調査報告書」

2 電化製品の稼働効率が下がっている

電化製品の稼働効率が下がっていることも、消費電力を大きくする原因です。

電化製品は、適切に管理しなければ稼働効率が下がり、余計な電力を使います。例えば、以下のような場合は消費電力が大きくなりやすいです。

  • エアコンのフィルターにほこりが詰まる→冷暖房の効率が下がる
  • 冷蔵庫内に隙間なく物が入っている→冷やす効率が下がる

電化製品の稼働効率が低いときは、故障している可能性もあります。

  • 温度管理のセンサーが故障し、適切に温度管理ができない
  • 電気給湯器の配管が劣化し、お湯が漏れている

故障していなくても、古い電化製品は省エネ性能が低いので、使い続けることで消費電力が大きくなりがちです。最新の家電は省エネ性能が優れているため、古いモデルは同じ効果を出すためにより多くの電気を必要とします。

3 消費電力が大きい電化製品を頻繁に使っている

消費電力が大きい電化製品の使用頻度が高いと、毎月の消費電力量が大きくなります。

資源エネルギー庁が推計した家庭の消費電力の割合を見ると、エアコンが53%と最も大きいです(※3)。

冷暖房器具は消費電力が大きいため、使い方を工夫しなければ消費電力がどんどん大きくなってしまいます。エアコンやハロゲンヒーター、ホットカーペットなども電気ヒーターを使うため、消費電力が大きくなりがちです。

また、浴室暖房乾燥機や洗濯乾燥機、ヘアドライヤーなどの乾燥機類も、電気ヒーターで熱をつくって送風するため、消費電力が大きい傾向があります。これらの電化製品を頻繁に使う、または長時間使用する場合は、消費電力が大きくなり電気代が高くなりやすいです。

(※3)出典:経済産業省資源エネルギー庁「節電アクション」

家庭の消費電力を減らす方法3選

家庭の消費電力を減らす方法3選

家庭の消費電力を減らすためには、小さなことを意識して少しずつ行動に移す必要があります。以下で消費電力を減らす3つの方法を紹介するので、できることから実践しましょう。

なお、電気代を節約する方法は以下の記事でも詳しく解説していますのであわせてご確認ください。

電気代を節約するには?すぐできる節約術7選や効果的な方法をわかりやすく解説

1 電化製品のプラグをこまめに抜く

家庭の消費電力を抑えるには、電化製品のプラグをこまめに抜くのがおすすめです。

先述のとおり、待機電力は家庭の消費電力の約6%を占めるため、待機電力を抑えれば消費電力の削減効果が期待できます。長期間使わない電化製品のプラグは、こまめに抜く習慣をつけましょう。

プラグを抜くのが面倒な場合は、スイッチ付きタップを使えばプラグを抜かずに電源を切れます。プラグを抜くのをつい忘れてしまう場合は、オートオフ機能の活用も効果的です。一定時間使用しないときに自動で電源が切れれば、手軽に消費電力を抑えられます。

2 省エネ性能の高い電化製品に買い換える

電化製品が故障している、または古くて省エネ性能が低いと感じた場合は、省エネ性能の高い電化製品に買い換えることで消費電力を抑えられます。

経済産業省資源エネルギー庁の省エネポータルサイトを見ると、省エネ機器がどの程度進化しているのかがわかります。10年前と比べると、冷蔵庫は約28〜35%、エアコンは約15%の省エネが実現しています(※4)。

費用はかかりますが、電化製品を新しいものに買い換えるだけで月々の電気代が抑えられるのは大きなメリットです。

(※4)出典:経済産業省資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」

3 電化製品の使い方を見直す

消費電力が大きいと感じるときは、電化製品の使い方を見直してみましょう。

例えば、家庭の消費電力の中でも大きな割合を占める冷暖房機器は、適切な温度管理を意識することで消費電力を抑えられます。無理のない室温にすることを前提として、冷やしすぎや温めすぎにならないように設定温度を工夫してみてください。

エアコンのフィルターを月に1~2回掃除する、サーキュレーターや扇風機で部屋の空気を循環させるなどの方法でも、稼働効率が高くなって消費電力を抑えられます。

また、常に稼働している冷蔵庫も消費電力が大きくなりがちです。温度設定を「強」ではなく「中」にする、扉を長時間開けたままにしない、庫内に食品を詰め込みすぎないなどの日頃のちょっとした工夫により、消費電力削減につなげられます。

電化製品ごとの節約、節電方法は以下の記事で詳しく解説しています。

冷房の適温は何℃?夏を快適に過ごすエアコンの設定温度の目安を紹介
サーキュレーターの使い方は?冷暖房や換気など目的別に効果的な置き場所を解説
冷蔵庫の電気代はどれくらい?計算方法や節電方法を解説

まとめ

消費電力はワット(W)で表され、電化製品ごとに記載されています。

家庭の消費電力を抑えることで電気代が安くなるだけでなく、大規模停電の防止や地球温暖化の抑制にもつながります。電化製品の使い方を見直したり、省エネ機器の買い換えを検討したりして、家庭の消費電力を削減しましょう。

電気代を抑えたいなら、電力会社を見直してみるのもおすすめです。楽天でんきは利用料金200円につき1ポイント、ガス(※5)とセットなら100円につき1ポイントの楽天ポイントが貯まります(※6)(※7)。貯まった楽天ポイントは支払いにも充当できる(※8)ので、結果的に節約が可能です。

また、楽天でんきを契約している方は省エネ性能が高い電化製品に買い換える際、楽天市場でのお買い物がおトクです。楽天でんきの前月の利用金額が税込5,500円以上であり、クレジットカードで決済をすれば、楽天市場で買い物した際に「ポイント+0.5倍」の楽天ポイントが進呈されます(※9)。

楽天でんきに変えることでいくら節約できる見込みがあるか知りたい方は、「料金シミュレーション」で試算してみてください。

料金シミュレーションはこちら
楽天でんきのお申し込みはこちら

(※5)楽天ガスは都市ガス(東京ガス、東邦ガス、関電ガス)が提供対象エリアです。詳しくはガス対象エリアページをご確認ください。
(※6)楽天ポイント進呈の基準となる金額は、電気料金とガス料金の税抜価格です。
(※7)楽天ポイントの進呈対象は、クレジットカードでお支払いいただいた料金となります。コンビニ払込用紙でのお支払いではポイント進呈対象にはなりません。
(※8)貯まったポイントは50ポイント(50円相当)からご利用料金に充当できます。
(※9)獲得条件および、進呈ポイントの上限があります。「楽天でんき」のSPU詳細はこちら
ご利用金額の一部もしくは全額をポイントでお支払い頂いた場合もSPU対象になります。

この記事を監修した人
この記事を監修した人の写真
新井 智美(あらい ともみ)

1級FP技能士・CFP

2006年11月 卓越した専門性が求められる世界共通水準のFP資格であるCFP認定を受けると同時に、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士1級を取得。2017年10月 独立。主に個人を相手にお金に関する相談及び提案設計業務を行う。個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス(、企業向け相談(補助金、助成金の申請アドバイス・各種申請業務代行)の他、資産運用など上記内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、執筆・監修業も手掛ける。