扇風機の電気代は安い?計算方法やエアコンとの比較、節約のポイントを解説
扇風機は、昔から使われてきた家電のひとつです。昨今はエアコンに取って代わられた印象もありましたが、猛暑が続く今、エアコンで高騰しがちな電気代を抑える便利なアイテムとして注目が高まっています。
しかし、エアコンより気軽に使える印象はあるものの、1日中使ったら電気代はどれほどかかるのか、はっきり知らない方もいるでしょう。
本記事では、具体的な計算方法から導き出した扇風機の電気代、エアコンとの比較、電気代を効率良く節約する方法を紹介します。
扇風機の電気代は?計算方法と目安を紹介
扇風機をはじめとする家電の電気代は、ご自身でも簡単に計算できます。
扇風機の電気代(円)=年間消費電力(W)÷1000×電気代単価(31円/kWh)×使用時間(h)
製品ごとに異なる扇風機の消費電力は、メーカーの公式サイトや製品カタログの数値を参考にしてください。多くの場合、消費電力は「W(ワット)」表記されているため、その際は計算式のとおり「1000」で除算して「kW(キロワット)」へ単位変換しましょう。
また、電気代単価は1時間あたりにかかる電気料金の目安で、1kWh(キロワット時)で表示されます。
公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が発表する「31円/kWh(税込)」は、主要電力会社10社の平均単価で、メーカーが製品の電気代を計算するときによく用いられるため、目安とすると良いでしょう。
実際の電気代単価は、ご家庭で契約する電力会社のプランごとに異なります。より正確に扇風機の電気代を計算したいときは、ご契約中の電力会社から発行された検針票や利用明細をご確認ください。
上記の計算式を踏まえたうえで、扇風機にかかる電気代を具体的に紹介します。
電気代の考え方や身近な節電のアイデアについて、以下の記事でも詳しく解説しています。
1kWhあたりの電気代はいくら?電気代の内訳や節電方法を解説
1時間にかかる扇風機の電気代
扇風機の消費電力は製品によって異なりますが、おおむね10~40Wほどです。この消費電力を先ほどの計算式に当てはめると、次のようになります。
10~40(W)÷1,000×31(円/kWh)×1(h)=0.31~1.24円
消費電力の違いは主に風量の強弱によって変わるため、扇風機を最大風量で使ってもわずか1円ほどの電気代で済むとわかります。
ただし、扇風機を実際に使ったときにかかる消費電力は、風量だけではなく、首振りや温度センサーなどの機能の使い方でも変わるため、計算結果は目安として考えましょう。
1シーズンあたりの扇風機の電気代はいくら?
夏が始まったら、1日中扇風機をつけっぱなしにするご家庭も珍しくありません。いくらお手頃とされる扇風機でも、あまりに使いすぎると電気代が心配になる方もいるでしょう。
そこで、先ほどの計算式と消費電力(10~40W)を使って、6月から9月までの4カ月間(122日)を1シーズンとして、扇風機の電気代の目安を計算してみました。
1シーズン(122日)で扇風機にかかる電気代
1日あたりの使用時間 | 1シーズン(122日)の電気代 |
---|---|
8時間 | 303~1,210円 |
12時間 | 454~1,815円 |
16時間 | 605~2,420円 |
24時間 | 908~3,631円 |
計算結果をみると、24時間つけっぱなしにしても、扇風機の電気代は1シーズンで最大3,600円ほどです。製品や性能、使い方によって消費電力に違いが出るとしても、扇風機の電気代はとてもリーズナブルであると考えられます。
モーターの種類による電気代の違い
扇風機はモーターの力で羽根を回転させて空気を起こし、風を送る家電です。最近は、従来からあるACモーター、近年増えているDCモーター、2種類のモーターから製品を選べるようになっています。
モーターの種類によって電気を流す仕組みが変わり、電気代に違いが出ます。そこで、ACモーターとDCモーター、それぞれのモーターの特徴と電気代の違いを紹介します。
ACモーターの扇風機
昔から使われてきた一般的な扇風機で採用されてきたのが、AC(交流)モーターです。
家庭で使う電気は、プラスとマイナスが定期的に入れ替わり、電圧や電流の流れる向きなどが周期的に変わる「交流」です。家庭用コンセントはすべて交流電源になっているため、ACモーターの扇風機は供給される電力をそのまま使えます。
ACモーターの扇風機は、「弱」「中」「強」など段階的な風量調節をする製品が一般的です。機能がシンプルなぶん、購入しやすいお手頃な値段が魅力ですが、モーター音がやや大きく、DCモーターより電気代は高めとなっています。
DCモーターの扇風機
DC(直流)モーターを採用した扇風機は、家庭用コンセントからの交流電源をコンバーターで「直流」に変換して、モーターを稼働させる仕組みです。
「直流」は乾電池のようにプラスとマイナスが一定のため、モーター内部に永久磁石を使い、外側のモーターだけに電流を流せば羽根が回転します。内外の電磁石に電気を必要とするACモーターに比べると、DCモーターは省電力に優れています。
また、必要な電力をコントロールしやすいため、風量や機能に応じて電気をムダなく使えます。
DCモーターの扇風機には細やかな風量設定や多彩な機能を備えたものが多く、静かなモーター音も魅力ですが、コンバーターも必要なことからACモーターの製品より価格は高めです。
ACモーターとDCモーターでは電気代はどれくらい変わる?
ACモーターとDCモーターでは扇風機の電気代にどれくらいの違いがあるのか、先ほどの計算式を使って詳しく確認してみましょう。
ACモーターとDCモーターの扇風機の電気代
モーターの種類 | ACモーター | DCモーター | |
---|---|---|---|
50Hz | 60Hz | ||
消費電力(※1) | 22~43W | 25~52W | 10~22W |
1時間あたり | 0.68~1.33円 | 0.78~1.61円 | 0.31~0.68円 |
1シーズン(※2) (8時間/日) |
666~1,300円 | 761~1,571円 | 303~666円 |
1シーズン (12時間/日) |
996~1,947円 | 1,142~2,357円 | 454~996円 |
1シーズン (16時間/日) |
1,327~2,596円 | 1,523~3,143円 | 605~1,327円 |
1シーズン (24時間/日) |
1,991~3,894円 | 2,284~4,714円 | 908~1,991円 |
(※1)それぞれの消費電力は扇風機を販売する国内主要メーカーの数値を参考としています。
(※2)1シーズンを6月から9月(122日)として計算します。
家庭用コンセントに流れる「交流」の電気は、50Hz(主に東日本)と60Hz(主に西日本)の2種類があり、交流電流をそのまま使うACモーターの扇風機は、周波数の違いにより消費電力も変わります。
扇風機は、原則としてどの地域でも、50Hz・60Hzのどちらの製品も使えます。ただし、性能に違いが出る場合があるため、留意しておきましょう。
扇風機とサーキュレーターの違い
扇風機と見た目が似ている家電に、サーキュレーターがあります。見た目だけではなく、風を送る機能も共通していますが、実はそれぞれに使用目的が異なります。
-
扇風機
扇風機は、暑さを感じるときに、体に風を当てて涼むことが目的です。広範囲にやさしい風を届けられるように、大きめの羽根や首振り機能を備えています。 -
サーキュレーター
サーキュレーターは、室内の空気を循環させるのが目的です。上下・左右・真上など狙ったところへ、強い風を直線的に送る工夫がなされています。扇風機との目的の違いから、家庭用のサーキュレーターはシンプルなデザインや小型のものが多い傾向です。
風で涼む、空気を循環させるとそれぞれ目的は異なるものの、扇風機とサーキュレーターはどちらも風を起こす仕組みはほとんど変わりません。そのため、消費電力にさほど違いはなく、電気代もほぼ同じです。
サーキュレーターの電気代を抑えたいなら、扇風機と同じく、DCモーターの製品を選ぶと良いでしょう。
ご家庭でのサーキュレーターの効率的な使い方は、以下の記事で詳しく解説しています。
エアコンと扇風機の電気代はどれくらい違う?
猛暑が続く昨今、涼みたいときに欠かせない家電がエアコンです。体を涼ませる目的は扇風機と同じですが、省電力の扇風機とエアコンの冷房では電気代が大きく変わると予想されます。
そこで、どれくらい電気代が違うのか、具体的な計算結果をもとに確認しましょう。
エアコンの消費電力は、経済産業省資源エネルギー庁「家庭用省エネ性能カタログ2023年版」のデータから、一般的なエアコンの冷房(6畳サイズ)の消費電力として平均値408Wを使って計算します(※3)。
1時間あたりのエアコンの電気代は、「408(W)÷1,000×31(円/kWh)」より、約12.65円です。
1シーズン(122日)でエアコンの冷房にかかる電気代
1日あたりの使用時間 | 1シーズン(122日)の電気代 |
---|---|
8時間 | 1万2337円 |
12時間 | 1万8520円 |
16時間 | 2万4693円 |
24時間 | 3万7039円 |
先述のとおり、扇風機の電気代は、24時間つけっぱなしでも1シーズンあたり908~3,631円ほどです。つまり、エアコンの冷房にかかる電気代は、扇風機のおよそ10~40倍ほど高額だとわかります。
(※3)出典:経済産業省資源エネルギー庁「家庭用省エネ性能カタログ2023年版」
エアコンの電気代にまつわる疑問や節電方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
扇風機を活用して電気代を節約する方法
扇風機は電気代を抑えながら体を涼ませるのに役立ちますが、使い方によっては、家計の電気代を抑えるのにも効果的です。ここでは、扇風機を活用する電気代の節約方法を紹介します。
1 エアコンと扇風機を併用する
経済産業省資源エネルギー庁が2023年に公表したデータによると、家計の電気代のうち約4割はエアコンが占めています(※4)。昨今の猛暑でエアコンに頼る時間が増える一方、電気代の高騰が続いており、エアコンの電気代に悩む方もいるでしょう。
そこでおすすめなのが、エアコンと扇風機の併用です。扇風機をいっしょに使うと室内の空気がすばやく撹拌されて、室内の温度ムラが解消されます。すると、エアコンの冷房効率がアップして電気代が下がると考えられます。
扇風機との併用によって、1日あたりの電気代が約10円下がるとのデータもあり、夏の1シーズンでざっと1,220円の電気代を節約できる可能性があります。
人は風に当たると体感温度が下がるとされています。扇風機を使って風に当たるだけで、実際の室温以上に涼しく感じられるため、体感温度が下がると期待されます。
(※4)出典:経済産業省 資源エネルギー庁「夏季の省エネ・節電メニュー(令和5年6月)」
2 扇風機を部屋の換気に役立てる
夏、外出から帰宅した直後の部屋は、熱と湿気がこもって温度が高くなりやすく、家の外よりも温度が高くなることも珍しくありません。
エアコンは室内の熱を室外に放出する仕組みのため、室温が高く設定温度と離れるほど消費電力がかかります。
そこで、エアコンをつける前にまず窓を開けて、扇風機を使って室内のこもった空気を外へ出しましょう。部屋の換気が進むと室温が適度に下がり、エアコンの電気代節約につながります。
効率良く部屋を換気するには、対角線上にある窓を開け、扇風機を窓の外に向けるのがポイントです。
3 扇風機の置き場所と風の向きを工夫する
先ほどエアコンと扇風機を併用する方法をお伝えしましたが、併用による効果をより高めたいなら、扇風機の置き場所や風の向きに工夫をこらすことも大切です。
たとえば、天井あたりに温かい空気がたまると、エアコンがその空気を感知して必要以上に部屋を冷やそうとする場合があります。その場合は、扇風機の風を天井に向けて送り、空気ムラを解消させると良いでしょう。
また、部屋の広さや形によっては、エアコンの涼しさを感じにくい場合もあります。そんなときは、扇風機の風をご自身へ向けると、扇風機の風が体感温度を下げて涼しさが増すはずです。
また、もう少し部屋を涼しくしたいなら、エアコンの設定温度を下げるより先に、エアコンの風向きにあわせて扇風機で冷気をより遠くへ飛ばす工夫をするのがおすすめです。
4 室内干しには除湿機に扇風機を併用する
室内干しの洗濯物をすばやく乾かすには除湿機が便利ですが、さらに乾燥効率をアップさせたいなら扇風機が活躍します。
除湿機で湿気を取り除きながら、扇風機の風が衣類と衣類の間の風通しを良くすれば、洗濯物を短時間で乾かすことが可能です。
また、湿度が高いほど体感温度も上がります。室温を下げたいと感じたら、エアコンの設定温度を下げるより、除湿機を使う、エアコンの除湿機能を使うなど、まず湿度を下げることも大切です。
電力会社や契約の見直しで電気代が下がる可能性も
扇風機は、24時間つけっぱなしでもさほど電気代を気にすることなく使える、夏に頼もしい家電です。さらに、使い方を工夫すれば、高くなりがちなエアコンの電気代を節約できる可能性があります。
扇風機を活用して節電するのもいいですが、電力会社や料金プランを見直して電気代を抑える方法もおすすめです。
電力自由化が始まって以来、様々なプランやサービスを提供する新電力が増えています。契約する電力会社やプランによって、基本料金の有無、電気代単価が異なるため、契約先を切り替えるだけで、電気代を抑えられることもあります。
電気代が気になったら、ご自身のライフスタイルや希望にあう電力会社やプランで、電気代が下がる可能性を検討してみましょう。
電力自由化の概要や電力会社の選び方、切り替え方法は、以下の記事でも詳しく解説しています。
まとめ
扇風機は、1シーズン(6月から9月)の間24時間使い続けても最大3,600円ほどの電気代しかかからず、節電しながら涼を求められる便利な家電です。
エアコンや除湿器と併用するなどして、電気代が高くなりがちな家電のサポート役として活用すれば、ご家庭の電気代を下げるのに役立つでしょう。
ご家庭の電気代を少しでも抑ええたいなら、電力会社やプランの見直しもおすすめです。おトクなサービスを提供する電力会社、ライフスタイルにあったプランを選ぶだけで、暮らしぶりはそのままに電気代を軽減できる可能性があります。
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