太陽光発電の設置費用は?相場や内訳、費用対効果を解説
2025年から東京都、川崎市などで大手ハウスメーカーなどが提供する新築戸建住宅への太陽光発電パネルの設置が義務づけられるなど、太陽光発電の普及は今後さらに進むと予測されています。
また、住宅用太陽光発電の普及が進むことに伴い、導入コストも年々下がっています。しかし、具体的にどれくらいかかるのか、設置費用が気になって導入をためらわれる方もいるでしょう。
本記事では、太陽光発電の設置費用や必要な機器ごとの価格とそれぞれの相場、また節電効果や売電などによる費用対効果を解説します。
太陽光発電の設置費用の相場は約77万~128万円
経済産業省のデータによると2022年における住宅用太陽光発電の設置費用は、発電量1kWあたり平均 26.7万円です(※1)。この2022年の数値や2023年の想定値25.9万円などから、2024年には設置費用が25.5 万円/kWになると想定されています。
一般的な住宅向け太陽光発電の設置容量は3~5kWであるため、2024年の推定値から、設置費用の相場は76.5万~127.5万円と考えられます。
住宅用太陽光発電の設置費用は、普及に伴い、年々下がり続けています。実際、2012年時点での平均は46.5万円/kWであることから、10年間で20.4万円/kWも下がっており、設置容量ベースでは61.2万~102万円コストダウンしているとわかります。
太陽光発電の設置費用の内訳
太陽光発電の設置費用には、様々な機器の費用や工事費用などが含まれています。
経済産業省から公表された「住宅用太陽光発電のシステム費用の推移とその内訳」によると、太陽光発電の設置費用の内訳は次のようになっています(※2)。
太陽光発電の設置費用の内訳 | 費用 | |
---|---|---|
工事費 | 7.1万円/kW | |
機器の費用 | 太陽光パネル | 14.5万円/kW |
パワーコンディショナー | 4.2万円/kW | |
架台 | 2.1万円/kW | |
その他 | 0.2万円/kW |
上記のとおり、工事費が約27%、機器のメインとなる太陽光パネルが約55%を占めます。
太陽光発電の設備といえば太陽光パネルが浮かびますが、ほかにも用意すべき機器がある点に注目です。また、工事費用にはソーラーパネルの設置工事や電気工事などが含まれます。
太陽光発電に必要な機器と価格の相場
先述のとおり、太陽光発電の設置費用には、工事費のほか、太陽光パネルなどの機器の費用も含まれます。
そこで、家庭用太陽光発電(設置容量3~5kW)を設置する際に必要となる、主な機器の概要と価格の相場を紹介します。
1 太陽光パネル
太陽光パネルは、小さな四角い太陽電池を複数連ねて強化ガラスやアルミ枠などでパネル化した機器です。ソーラーパネルや太陽電池モジュールなどと呼ばれる場合もあります。太陽光で電気を発生させて、電気エネルギーに変換する役割を担います。
メーカーによって製品のスペックが変わるため一概には言えませんが、一般家庭向け(3~5kW)の場合、太陽光パネルはおよそ16~20枚必要です。価格相場は、2022年時点で約44万~73万円となっています。
2 パワーコンディショナー(パワコン)
太陽光パネルで発電した「直流」電気を、家庭で使える「交流」に変換するための機器が、パワーコンディショナー(パワコン)です。
パワコンは太陽光パネルの発電容量にあわせた性能が必要で、一般家庭向けの3~5kWにあわせる場合、2022年時点で価格相場は約13万~21万円です。
3 架台
架台とは太陽光パネルを屋根などの接地面に固定するための土台に当たる機器で、太陽光パネルの高さや角度を調整する役割があります。
設置する太陽光パネルの枚数、使用する場所や条件などによって、架台の価格も変わります。一般家庭向け(3~5kW)の場合、2022年時点で約9万~15万円です。
4 蓄電池
架台とは太陽光パネルを屋根などの接地面に固定するための土台に当たる機器で、太陽光パネルの高さや角度を調整する役割があります。
蓄電池とは、太陽光パネルで生み出した電力を蓄えられる充電機器のことです。すぐに使わない電力を貯蔵し、必要に応じて使えるため、太陽光の届かない夜間や悪天候でも非常時でも電力供給が可能となります。
太陽光発電に必須の機器ではありませんが、夜間や悪天候でも使えるため節電につながる、非常時に役立つなどの理由から、併用のメリットが大きいとされています。
蓄電池の価格は、2020年時点の一般家庭向け(5kW未満)機器で1kWあたり15万円とされ、およそ45万~75万円ほどと蓄電容量に応じたバラつきが想定されます。工事費用は設置容量にかかわらず、40万円以下の価格に収まるケースが多いとされ、2020年の算出データでは1件あたりの平均は33万円です。
機器の購入と工事費をあわせると100万円前後と高額のため、蓄電池の導入をためらわれる方もいるでしょう。
ただし、太陽光発電と同時に導入すると割引を適用されるなど、後から個別に設置するよりコストを抑えられる可能性があります。気になる方は太陽光発電を考えるタイミングで検討しておくと良いでしょう。
太陽光発電の設置費用をできるだけ抑える方法はある?
太陽光発電を導入したいけれど設置費用の負担がネックになっているようなら、設置費用を抑える方法もあります。
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補助金
太陽光発電の設置にあたり、自治体の補助金制度を活用できる場合があります。例えば、埼玉県「令和6年度家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金」では、既存住宅で太陽光発電(設置済みも可)と蓄電池の導入に対し、10万円の補助を受けられます。
ただし、補助金制度は自治体ごとに対象要件や申請期間、適用されるタイミングなどが異なり、多くの制度が予算上限に達すると終了します。太陽光発電の設置業者や自治体などに問い合わせて、早めに情報収集を行うことが重要です。 -
初期費用0円サービス
太陽光発電の設置業者の中には、導入時の初期費用を0円とするサービスを提供するところがあります。
初期費用が無料になる仕組みは、月額料金制、リース契約、売電が前提の契約など様々です。「0円だから」と選ぶことはせず、太陽光発電を導入後も納得して利用できるサービスかどうか、内容をしっかり理解したうえで契約しましょう。
太陽光発電を設置した後にかかる費用
ここまで設置費用を紹介してきましたが、太陽光発電は設置後も様々なコストが発生すると想定されます。太陽光発電で考えられる主なランニングコストには、次のようなものがあります。
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メンテナンス費用
太陽光パネルの発電効率を維持するためには、定期的な点検や清掃をしなければなりません。年間数千~数万円ほどとそれほど高額ではありませんが、毎年定期的に支払う費用として考慮しておく必要があります。 -
修理・交換費用
太陽電池モジュールの寿命は20年以上、パワーコンディショナー(パワコン)の寿命は10~15年と言われており、壊れたときには機器の修理や交換が生じます。なお、30年超えても問題なく使えることもあるなど、機器の性能や使用環境などによりかかるコストには大きな差があります。 -
撤去費用
引越しや家の解体などで太陽光発電を撤去するときには、撤去費用が必要です。機器やサービスに対する保証期間の有無、機器の状態や設置場所、業者による違いでコストは変わりますが、太陽光発電を「はじめる」なら、「終わる」ときも想定しておくことが大切です。
導入後にかかる費用はコスト差が大きいため目安を示すのはむずかしいですが、経済産業省の示すデータ(※3)によると、メンテナンスや修理・交換などを考慮した太陽光発電のランニングコストは1kWあたり約5,800円となっています。
(※3)出典:資源エネルギー庁「太陽光発電について」
太陽光発電の費用対効果はどれくらい?
太陽光発電を導入するにはまとまった設置費用が必要ですが、およそ10年前後使い続けることで「元が取れる」と期待されます。そこで、どのような仕組みで設置費用を回収できるのか、太陽光発電の費用対効果を詳しく解説します。
電気代を今すぐ抑えたいなら、節約する効果的なアイデアを以下の記事で詳しく解説しています。
電気代を節約するには?すぐできる節約術7選や効果的な方法をわかりやすく解説
電力の自家消費で節電する
太陽光発電で生み出された電気をそのまま自宅で使う「自家消費」を活用すれば、毎月の電気代を節約できます。
例えば、毎月の電気使用量が350kWのご家庭で、太陽光発電を自家消費するケースを考えます。
このご家庭が楽天でんきのプランSを契約中で、東京電力エリアの従量電灯B相当量を適用されている場合、毎月の電気料金は「基本料金0円+36.85円/kWh×350kW(※4)」で1万2898円です。
電気使用量のうち30%が自家発電に変わったとすると、楽天でんきの電気料金は「基本料金0円+36.85円/kWh×(350kW×0.7)」で9,028円になります。毎月3,870円、10年で46万4400円の節約になります。
(※4)ここで計算されている電気料金は「電力量料金」のみですが、実際の電気料金には、電力量料金のほか、市場価格調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金が適用されます。
毎月の電気代に適用される再エネ賦課金をはじめ電気代の仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
余った電力の売電で収益を上げる
太陽光発電で発生した電力のうち自家消費しなかった分は、電力会社への売電も可能です。
蓄電池を備えるご家庭は、使わない電気を貯めておくこともできます。しかし、蓄電器がないなら、売電で収益を上げて設置費用の回収につなげるのがおすすめです。実際、太陽光発電を導入する家庭の約7割が、余剰電力を売電しているとのデータ(※5)もあります。
太陽光発電の売電を後押ししているのがFIT制度(固定価格買取制度)です。FIT制度下では、電力会社が一定期間・固定価格で買い取ることを国が保証しており、売電にメリットを感じて太陽光発電をはじめた方も多いでしょう。
ただし、2019年11月からFIT買取期間が順次終了しており、電力会社の買取価格は年々低下しています。住宅用太陽光発電の売電における市場価格は2012年には42円でしたが、2020年に半額の21円となり、2024年には16円まで下落しています(※6)。
それでも、毎月100kWを売電した場合、「100 kWh×16円」で、毎月1,600円、10年で19万2000円の収益を上げられます。
(※5)出典:資源エネルギー庁「太陽光発電について」
(※6)市場価格であり、太陽光発電の電力の買取価格は電力会社によって異なります。
太陽光発電を設置するときの注意点
太陽光発電の設置費用は安くはありませんが、使い続けるうちに費用対効果による恩恵を受けられる可能性があります。しかし、住宅へ設置するにあたって、いくつか気を付けるべきポイントがあります。
発電量が設置場所や天候に左右される
太陽光発電の発電量には「太陽の光」が不可欠です。日照時間の影響を受けるため、日照時間の短い地域や日当たりの悪い場所に設置すると、発電効率が下がると考えられます。
状況によっては期待していたような節電効果や収益を得られず、設置費用の回収が当初の計画よりなかなか進まない可能性もあるでしょう。
屋根の強度不足で設置できない可能性がある
太陽光パネルは1枚あたり約15~16㎏あります。先述のとおり、一般的な住宅向け太陽光発電(設置容量3~5kW)で約16~20枚のパネルが必要で、1枚15kgとすると重量は225~300㎏に達します。太陽光パネルを屋根に固定する架台も、1個あたり約10kgあります。
太陽光パネルに架台も含めると、太陽光発電の設置で屋根に約400kgの負担をかけることになり、住宅の築年数や耐震性などによっては設置が困難だと判断される可能性もあります。
太陽光パネルの反射が近隣トラブルを招くおそれもある
住宅に太陽光発電を導入して、設置した太陽光パネルの反射が近隣トラブルにつながることがあります。
昨今、太陽光パネルにより反射した光が近隣住宅の屋内に入り込み、室内の温度上昇や光のまぶしさに悩まされる「光害」は、近隣トラブルのひとつとして認知されつつあります。
特に住宅密集地で太陽光発電を設置するときは、近隣トラブルを招かないように光の反射角度などを十分にシミュレーションしておくことが大切です。
電気代を節約したいなら電力会社や契約の見直しもおすすめ
電気代の節約につながることを期待して太陽光発電の設置を検討しているなら、電力会社やプランの見直しもおすすめです。
電力自由化がはじまって以来、従来の電力会社にはないような様々なプランやサービスを提供する新電力が増えています。
基本料金の有無や電気料金単価、提供されるサービスは、契約する電力会社やプランによって異なります。利用しやすいサービスを提供する電力会社、ご自身のライフスタイルにあったプランを選ぶと、これまでと同じ生活でも電気代を抑えられる可能性があります。
電力会社やプランの切り替えには、太陽光発電の設置費用のようなコストや工事の手間がかからないのも魅力です。
電力自由化の概要や電力会社の選び方について、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
太陽光発電を導入すると、二酸化炭素の排出量を削減できるほか、電力の自家消費や売電によってご家庭の電気代を節約できると期待されます。
しかし、太陽光発電の設置費用は年々低下しているとはいえ、一般住宅向けの容量(3~5kW)の相場は2024年時点で76.5万~127.5万円となっており、まとまったお金を用意しなくてはなりません。
さらに、導入だけではなくランニングコストもかかる、電力会社による買取価格が年々下がっている、設置場所によっては期待どおりに発電できないおそれがあるなど、注意点もいくつかあるため、設置にあたっては十分な検討が必要です。
電気代を節約したいなら、電力会社やプランの見直しだけでも実現できる可能性があります。
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