太陽光発電のメリットとデメリットは?設置の判断材料をわかりやすく解説
太陽光発電は、脱炭素社会の実現を担うクリーンな再生可能エネルギーとして注目されており、国により導入普及が進められています。設置する住宅も年々増えているため、太陽光発電を目にしたことがある、興味を持っている方も多いかもしれません。
しかし、いざ太陽光発電の設置を検討するとなると、具体的にどんなメリットやデメリットがあるのか気になるでしょう。
本記事では、太陽光発電の導入を検討するにあたり、判断材料としてぜひ知っておきたいメリットとデメリットを紹介します。
太陽光発電はなぜ注目されている?
太陽光発電とは、太陽電池(シリコン半導体など)を使って、太陽の光エネルギーを電気に変換させる発電方法です。
国は「2050年カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現」に向けて再生可能エネルギーの発電量を引き上げ、化石燃料の最小化に向け政策転換を進めています。中でも太陽光発電は再生可能エネルギーの約4割を占めており、今後もさらなる普及が期待されています。
太陽光発電の普及は今後も続く見込み
高齢化の進行や住宅取得コストの増加などにより、近年、住宅の着工件数は減少傾向です。それに伴い、やや勢いは落ち着いてはいるものの、家庭向け太陽光発電の普及は年々増え続けています。
一般社団法人太陽光発電協会の調査(※1)によると、2019年時点、家庭向け太陽光発電は累積267万6116件と、戸建住宅全体のうち約9%で導入されている状況です。
具体的な導入件数を見ると、2017年が13万3012件、2018年が14万6640件、2019年が15万1644件となっており、新築住宅を中心に着実に増加しているとわかります。
さらに、導入済みの京都市をはじめ、2025年から導入予定の東京都、川崎市など、各地の自治体で一定条件の新築戸建住宅への太陽光発電設置の義務化が進められています。
国や自治体からの後押しもあり、太陽光発電の普及は今後さらに進むものと見込まれます。
太陽光発電を導入する6つのメリット
環境にやさしい再生可能エネルギーとして注目される太陽光発電ですが、一般家庭に導入するメリットには主に次のようなものがあげられます。
1 太陽光がエネルギー源のため枯渇の心配がない
太陽光発電は発電のエネルギー源が「自然の太陽光」であるため、石油や石炭を燃やして発電する火力発電などとは異なり、エネルギー源の枯渇を心配する必要がありません。
日本には火力・水力・原子力などの発電方法がありますが、電力のほとんどを石油や石炭などの化石燃料で賄っており、加えて化石燃料の9割は輸入によるものです。
エネルギー源を輸入に頼る現状では、輸入先の情勢によってエネルギー価格や供給量がめまぐるしく変わるおそれもあり、電力の安定供給に懸念がつきまといます。
さらに、今後の需要量にもよりますが、輸入に頼る化石燃料は、石油や天然ガスが2070年ごろ、石炭が2150年ごろに枯渇するという予測もあります。
太陽光発電は枯渇の不安がないだけではなく、日照時間や日当たりなどの違いはあっても、原則として設置場所を選ばず導入しやすいメリットもあります。
2 発電した電気を自家消費すれば電気代を削減できる
太陽光発電で生み出された電力は、そのまま自宅で使う「自家消費」が可能です。昼間、太陽の光が差す時間帯であれば、日照条件や、天候にも左右されますが、自家消費だけで生活するのに十分な電力を発電できる可能性もあります。
電力会社からの電力供給を必要としないほどの発電量となれば、日中にかかる電気代の負担を軽減できます。
なお、毎日の暮らしで使える電気代の節約に役立つアイデアは、以下の記事で詳しく解説しています。
電気代を節約するには?すぐできる節約術7選や効果的な方法をわかりやすく解説
3 余った電力を売って収益を得られる
太陽光発電による電力は、自家消費しても使い切れないときには、電力会社へ売電もできます。
電力の買取価格は契約する事業者ごとに異なりますが、売買にあたって特別な操作は不要で自動的に行われるため、手間や負担はかかりません。
売電したときは、使用分を電力会社へ通常どおりに支払い、売却分は電力会社から登録先口座へ振込まれるスタイルが一般的です。
4 災害や停電などで非常用電力として使える
災害や停電などで電気を使えないとき、パワーコンディショナーを自立運転に切り替えることで、太陽光発電を非常用電力として使えます。
パワーコンディショナーとは、太陽光パネルで発電した「直流」電気を家庭で使える「交流」電気に変換するもので、太陽光発電に欠かせない機器のひとつです。
ただし、太陽光発電の非常用電力は、使えるのは太陽光で発電できる日中のみ、あらかじめ決められたコンセントなどからと決まっていて、電力量に上限もあります。
とはいえ、停電中でもテレビやラジオから情報を入手したり、スマートフォンを充電したりできるため、いざというときに心強いでしょう。
また、発電した電力を貯められる蓄電池を導入すれば、常時・非常時にかかわらず、夜間や天気の悪い日でも太陽光発電による電力を使用できるようになります。
5 再エネ賦課金を削減できる
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)とは、太陽光発電などの再生可能エネルギーを用いた電力の買い取りにかかる費用を、電力会社が全国一律の賦課金として契約者に負担してもらう料金です。
再生エネルギーの促進を目的に国民全体で負担する費用として、電力会社から毎月の電気代とともに請求されます。
再エネ賦課金の単価は、毎年度、経済産業大臣によって設定されますが、年々上昇傾向にあります。2012年の0.22円/kWhから2022年の3.45円/kWhへ毎年上昇を続け、2023年には1.4円/kWhとはじめて減少したものの、2024年には3.49円/kWhと再び上昇に転じています。
太陽光発電をはじめ、再生可能エネルギーを使わない方にとっては、再エネ賦課金の支払いが負担に感じられることもあるでしょう。しかし、太陽光発電を設置して電力会社に売電していれば、再エネ賦課金の実質的な負担を減らせます。
再エネ賦課金の詳しい仕組みは、以下の記事でも詳しく解説しています。
6 脱炭素のクリーンなエネルギーで環境にやさしい
先述のとおり、政府は温室効果ガスの排出量ゼロとする「2050年カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現」を目指しています。目標達成の鍵を握るとされるのが、再生可能エネルギーの太陽光発電です。
太陽光発電は太陽光がエネルギー源であり、発電しても二酸化炭素を発生させません。地球環境のためにクリーンなエネルギーに注目する方にとって、太陽光発電は導入しやすく身近な電力といえるでしょう。
一般社団法人太陽光発電協会のデータによると、太陽光発電(設置容量1kW)で年間1,000kWhの電力を発電した場合、二酸化炭素の削減効果は年間399.5kg/kWhに及ぶとされています。
太陽光発電を導入する6つのデメリット
環境にやさしく、電気代を抑えられる可能性もある太陽光発電ですが、導入前に理解しておきたい注意点もあります。そこで、太陽光発電の導入で想定されるデメリットを紹介します。
1 導入にはまとまった費用が必要になる
ご家庭に太陽光発電を導入するには、太陽光パネルやパワーコンディショナーなどの機器、設置するための工事費などのコストがかかります。普及に伴い、導入コストは年々低下していますが、発電容量にもよりますが100万円前後のまとまった費用の準備が必要です。
経済産業省によると、2024年度、太陽光発電にかかる導入費用の想定値は、1kWあたり 25.5万円です(※2)。一般的な家庭向け太陽光発電の設置容量は3~5kWとされているため、76.5万~127.5万円が目安になると考えられます。
太陽光発電の導入費用に不安があるなら、負担を軽減する方法を検討しましょう。
お住まいの自治体によっては、補助金制度を使える場合があります。ただし、制度の有無、対象要件や期間などのルールは自治体ごとに異なるため、事前に確認が必要です。
また、近年は「初期費用0円サービス」と呼ばれる導入費用の負担がかからない太陽光発電事業者も増えています。
(※2)参考:経済産業省 調達価格等算定委員会「令和5年度以降の調達価格等に関する意見(案)」
太陽光発電の設置費用については、以下の記事で詳しく解説しています。
2 発電量は天気などに影響を受ける
太陽光発電は太陽光がエネルギー源のため、雨やくもりなど天候が悪いときには発電量が大きく低下します。また、夜間や太陽光パネルに雪が積もった状態など、太陽光を受けられない状況だと発電できません。
つまり、雨量の多い梅雨、日照時間の短い冬などを考慮すると、1年を通して安定した発電量を確保できないと考えられます。
また、太陽光パネルに使われる半導体は、気温が高くなるほど発電効率が下がっていく性質を持つため、よく晴れた夏だからといって大容量の発電を実現できるとは限りません。
日照時間や天気、気温はご自身ではコントロールできないため、想定していた発電量に達しないケースを考慮しておく必要があります。
3 メンテナンスやランニングコストの負担がかかる
太陽光発電は、まとまった導入費用のほかにも、定期的なメンテナンスやランニングコストが必要です。
太陽光発電で必要となる機器には、一般的な家電と同じように寿命があります。メーカーや製品による違いはありますが、おおまかな寿命の目安は以下のとおりです。
太陽光発電の機器 | 寿命の目安 |
---|---|
太陽光パネル | 20~30年 |
パワーコンディショナー | 10年超程度 |
架台 | 20年超程度 |
機器の寿命は、太陽光発電が設置される環境や機器の素材に左右されやすく、サビなどで腐食が進むと寿命が早まります。また、パワーコンディショナーは、故障がなくても内部の半導体などの劣化で発電量が下がるおそれがあるため、定期的な点検が大切です。
機器のほとんどが屋外、主に住宅の屋根に設置されるため、汚れや破損も気にかけなければなりません。
2017年のFIT改正法では、売電する場合、住宅向け太陽光発電でも定期的なメンテナンスを義務づけています。安全に発電を続けるためのコストも、太陽光発電には欠かせないと理解しておきましょう。
4 売電価格の低下が進んでいる
太陽光発電を導入するメリットのひとつは自家消費による電気代の節約ですが、他方のメリットとしては、余った電力を売ることによる収益化です。しかし、売電価格は年々低下しており、期待するような収益を得られない可能性があります。
売電価格は電力会社により異なりますが、2012年は42円だった市場価格は、2020年には21円と半額になり、2024年には3分の1近くの16円へ、2025年は15円になると予想されています。
また、太陽光発電で発電した電力は、FIT制度(固定価格買取制度)により10年間・固定価格での電力の買い取りが国に保証されていました。
FIT制度は太陽光発電の売電を促す原動力となってきましたが、スタートから10年を迎えた2019年11月から、買取期間の上限に達したご家庭から適用は順次終了しており、2022年からは市場価格に一定の補助を上乗せする「FIP制度」への移行が始まっています。
今後も売電価格は下落が続くと予想されており、また、新しいFIP制度下では市場と連動した変動価格での売却となります。売電価格によっては、導入コストの元を取るのに長い時間がかかることもあるでしょう。
5 太陽光パネルの重さが建物に負担をかける
太陽光発電に欠かせない太陽光パネルは、住宅向けの一般的な設置容量5kWで想定すると20枚ほど必要です。パネル1枚あたり約15~16kgで、これに屋根への固定に必要な架台の重量を考慮すると、設置によって約400kgの負荷を住宅にかけることになります。
住宅の築年数や構造などにより、太陽光発電の設置が大きすぎる負荷を建物にかけて、耐震性を低下させるおそれもあります。さらに、設置前に建物の補強工事を迫られる可能性もあるでしょう。
6 反射光でトラブルを招く可能性がある
太陽光発電は太陽光パネルに光を受けて発電する仕組みのため、パネルの設置場所や角度によっては、反射光によるトラブルを招く可能性があります。
反射した光のまぶしさが近隣住民に迷惑を及ぼす、室温上昇によって生活環境を悪化させるなどのトラブルは「光害」とも呼ばれ、各地で問題視されています。
太陽光発電は一度設置すれば、数十年使い続けられる発電システムです。住宅密集地に設置する場合は、太陽光パネルの設置角度などを十分に検討し、近隣トラブルにつながらないように配慮する必要があります。
太陽光発電の設置がおすすめの家庭
メリットとデメリットを把握したうえで、太陽光発電の設置に向いている家庭を具体的に紹介します。
補助金を利用できる家庭
太陽光発電の導入で懸念される課題は、まとまった導入費用の準備です。しかし、お住まいの自治体で補助金制度を利用できるのであれば、負担を抑えて太陽光発電を導入できます。
ただし、補助金制度の実施の有無、内容、適用される条件や期間などの自治体差は大きく、どなたでも、どんなタイミングでも利用できるわけではありません。
自治体や太陽光発電の設置事業者に問い合わせるなどして、最新の情報を調べておくと、導入の判断材料となるでしょう。
電力消費量が大きい家庭
昨今の電気代高騰で毎月の電気代に悩んでいるなら、太陽光発電の導入で節電につながる可能性があります。
電力会社の多くが採用する従量電灯(使用量に応じて電気代が変わるプラン)で、節電効果を確認してみます。
例えば、東京電力「従量電灯B」プランは、1kWhあたり29円80銭~40円49銭(最初の120kWhまで)です。太陽光発電で発電した電力を自家消費すれば、電力会社への支払いを低減できますが、たとえば2024年時点の売電における市場価格1kWhあたり16円は、東京電力の電気代より低く、自家消費するほど節約できると考えられます。
もし自家消費しても電気が余れば売電で収益も得られるため、節電効果がさらに増します。
毎月の電気代が高い家庭ほど、自家消費と売電の恩恵を感じやすく、太陽光発電のメリットを実感しやすいでしょう。
電気代の決まり方にまつわる疑問は、以下の記事で詳しく解説しています。
電気代は電力会社やプランの見直しでも節約できる
太陽光発電は電気代を節約できるメリットもありますが、導入費用の負担などデメリットもいくつか考えられます。売電価格の低下が続くなか、コストをかけても導入するべきか、メリットとデメリットの双方から検討することが大切です。
コストをかけずに電気代を節約したいなら、電力会社や料金プランの見直しもおすすめです。
電力自由化がはじまって以来、様々なプランやサービスを提供する新電力が増えています。
電力会社やプランによって基本料金の有無、電気料金単価、提供されるサービスが異なるため、希望にあわせてサービスを選べます。ご自身のライフスタイルや希望に応じた電力会社やプランを選ぶだけで、効率良く節約できる可能性があります。
電力会社やプランの切り替えには手間がかからず、また原則として工事も不要です。太陽光発電のまとまった設置費用、お住まいへの負荷を気にせず、契約内容を変えるだけで済むのも魅力です。
電力自由化の概要や電力会社の選び方は、以下の記事でも詳しく解説しています。
まとめ
太陽光発電は太陽光を利用して発電するシステムで、環境にやさしいクリーンな再生可能エネルギーとして注目されています。
太陽光発電で発電した電気は、自家消費すれば電気代の節約になる、余った電力を売却すれば収益を得られるなど様々なメリットもあるが、導入費用やメンテナンスの負担、売電価格の低下など注意すべきデメリットもあります。
メリットとデメリットを把握のうえ、自治体の補助金制度や現在の電気代などから、太陽光発電を導入する必要性について検討すると良いでしょう。
また、電気代の節約なら、太陽光発電を設置する代わりに、電力会社やプランの見直しで実現できる可能性もあります。
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