衣類乾燥機の種類

洗濯した衣類を乾燥する設備は、大きく分けると以下の3種類があります(※1)。

  • 電気式の衣類乾燥機
  • ガス式の衣類乾燥機
  • 浴室の衣類乾燥機

それぞれの特徴やメリット・デメリットは、以下のとおりです。

種類 メリット デメリット
電気式
  • ガス式に比べると設置が簡単である
  • 洗濯から乾燥まで手間が少ない
  • 熱量不足で乾きが不十分となる場合がある
  • 乾燥に時間がかかる
ガス式
  • 強力な熱量で乾かすため乾燥が早い
  • 仕上がりが良い
  • ガス料金が高くなる
  • 設置場所によってはガス栓を増やす工事が必要になる
浴室乾燥機
  • 浴室の壁や天井に設置するためスペースを取らない
  • 「衣類乾燥」以外の機能もある
  • 大量の洗濯物を乾かすのには向かない
  • 自分で干す手間がかかる

「電気式の衣類乾燥機」とは、電気による温風で衣類を乾かすことができる乾燥機能で、住宅で使用される乾燥機として一般的です。ガス式などに比べて設置が簡単なので導入しやすい設備ですが、熱量不足で乾燥に時間がかかる場合があります。

「ガス式の衣類乾燥機」は、設置する際にガス栓の工事が必要となるケースがあり、初期費用が高くなる傾向にあります。そのため、普及率は高くありませんが、強力な熱量で乾かせるため「短時間で乾かしたい」方に適しています。

また、衣類乾燥機を設置するスペースがない場合は「浴室の衣類乾燥機」が便利です。浴室の天井や壁などに設置し、温風によって衣類を乾かします。衣類乾燥だけでなく、浴室のカビ防止や暖房機能もあるため、多目的に使用することが可能です。

(※1)浴室の衣類乾燥機も温水式とガス式に分けられるが、本記事では3種類に分けて解説する

電気式衣類乾燥機の仕組み

乾燥機能付きの洗濯機は主に「ドラム式」と「縦型」の2種類があり、乾燥の仕組みが異なります。

ドラム式にはヒートポンプ乾燥方式とヒーター乾燥方式があり、縦型はヒーター乾燥方式が主となります。

ヒートポンプ乾燥方式とヒーター乾燥方式の特徴は以下です。

乾燥機能の仕組み 特徴
ヒートポンプ乾燥 除湿機で乾かすように、洗濯機内の湿気を含んだ空気を除湿して、乾いた温風で衣類を乾燥させる
ヒーター乾燥 ドライヤーで乾かすように、洗濯機内に温風を送って衣類を乾燥させる

ドラム式は、縦型の洗濯機より高価なものが多い傾向にあります。しかし、ヒートポンプ乾燥方式であれば、ヒーター乾燥に比べて電気代が安く、衣類が傷みにくいなどのメリットが多いといえます。

【種類別】衣類乾燥機の1カ月の電気代

【種類別】衣類乾燥機の1カ月の電気代

衣類乾燥機があれば、家事の手間を大幅に減らせます。しかし、衣類乾燥機を導入するうえで、そのランニングコストが気になる方は少なくないでしょう。

以下では、種類別に衣類乾燥機の1カ月の電気代を解説します。

電気式の衣類乾燥機

衣類乾燥機の電気代は、以下の手順で算出します。

  1. 消費電力量(Wh)=消費電力(W)×運転時間(h)
  2. 1回あたりの電気代=消費電力量(Wh)÷1,000×電気代単価(31円/kWh)

まず、乾燥機を稼働するために使われる電力を示す「消費電力量(Wh)」を算出します。消費電力量は製品によって異なるため、カタログなどで確認しましょう。

消費電力量を1,000で除して、電気代単価を乗じると、乾燥機の1回あたりの電気代を算出できます。電気代単価とは、全国家庭電気製品公正取引協議会が定めている「1時間あたりの電気料金の目安」です。2022年7月22日に、「31円/kWh」へ改定されました。

「ヒートポンプ乾燥(ドラム式)」と「ヒーター乾燥(縦型)」のそれぞれの電気代の目安は、以下のとおりです。

ドラム式の衣類乾燥機 (ヒートポンプ乾燥) 定格洗濯乾燥:6kg 消費電力量:約600〜900Wh 縦型の衣類乾燥機 (ヒーター式) 定格洗濯乾燥:4.5〜6kg 消費電力量:約2,000Wh
1回あたりの電気代 標準:27.9円 62円
省エネ:18.6円
2日に1回使用した場合の1カ月の電気代 標準:418.5円 930円
省エネ:279円
1日に1回使用した場合の1カ月の電気代 標準:837円 1,860円
省エネ:558円

乾燥機の使用頻度が多い場合、ドラム式の衣類乾燥機(ヒートポンプ乾燥)の方が1回あたりのコストを抑えられます。

なお、洗濯もおこなう場合は、上記の「乾燥にかかる電気代」以外に、水道代や洗剤などのコストが生じます。ドラム式洗濯機の電気代について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ドラム式洗濯機の電気代はどれくらい?節電方法や選び方も解説

ガス式の衣類乾燥機

家庭用のガス式衣類乾燥機は種類が少なく、全国における普及率も高くはありません。

しかし、ガス式の衣類乾燥機には「乾きが早い」や「仕上がりが良い」といったメリットがあります。近年の出荷台数は増加傾向にあり、特に湿気の多い沖縄県では全国の出荷台数の約20%を占めています。

洗濯物の量を「6kg」または「9kg」と仮定して、ガス式衣類乾燥機の電気代の目安を見てみましょう。

洗濯物6kg 洗濯物9kg
1回あたりの電気代 電気代:10円 電気代:14円
ガス代:73円 ガス代:114円
2日に1回使用した場合の1カ月の電気代 150円 210円
1日に1回使用した場合の1カ月の電気代 300円 420円

たとえば、6kgの洗濯物を乾かすため1日に1回ガス式乾燥機を使用する場合、電気代は約「300円」です。ドラム式のヒートポンプ乾燥機能付き洗濯機であれば、1カ月の電気代が約558円(省エネモード)であるため、電気代と比べるとガス式の方が経済的です。

ただし、ガス式の衣類乾燥機の場合、電気代だけでなくガス料金も生じる点に注意が必要です。

ガスの料金の算出方法は、契約しているガス会社によって定められており、毎月の使用量などに応じて変わります。ガス料金を含めると、結果的にガス式乾燥機の方が高くなるケースもあるでしょう。

浴室の衣類乾燥機

浴室の衣類乾燥機を使用した場合の電気代は、浴室の広さや衣類の量などによって乾燥時間が異なるため、一概には言えません。また、外気温の低下による影響を受けるため、冬は乾燥にかかる時間が長くなる傾向にあります。

一般的に、約1坪の浴室の衣類乾燥にかかる消費電力は「1200W」程度です。消費電力を1200Wと仮定すると、1時間あたりの電気代は以下のとおりです。

  • 1時間あたりの電気代:1200÷1000×31(円/kWh)=37.2円

冬期と通常期に分けて、電気代の目安を見てみましょう。

冬期(乾燥時間:4時間) 通常期(乾燥時間:2.5時間)
1回あたりの料金 148.8円 93円
2日に1回使用した場合の1カ月の電気代 2,232円 1,395円
1日に1回使用した場合の1カ月の電気代 4,464円 2,790円

冬の衣類は、素材が厚く吸水性が高いものが多いため、乾燥に時間がかかり電気代が高くなる傾向にあります。季節に応じて使用頻度を調整するなど、使い方を工夫すると良いでしょう。

なお、浴室乾燥機にかかる電気代について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

浴室乾燥機にかかる電気代は?使い方による消費電力の違いと節約のポイントを紹介

乾燥機の電気代を抑えるための節約方法6選

以下では、乾燥機の電気代を抑えるための6つの節約方法を説明します。

日々の電気代を抑えながら、効率的に衣類乾燥機を活用するためのポイントとなるため、ぜひ参考にしてください。

1 自然乾燥を併用する

乾燥機は、使用時間が長ければ長いほど電気代が高くなります。そのため、乾燥機の稼働時間を短縮することは、電気代の節約につながります。

乾燥機の使用頻度や稼働時間を減らすためには、自然乾燥との併用が効果的です。たとえば、天候が良い日には屋外で洗濯物を干す「外干し」が適しています。

雨の日や花粉・黄砂などで天候が悪い日には、室内で物干し用のスタンドなどを使って「部屋干し」します。除湿機やサーキュレーターを併用すれば、室内でも効率的に乾燥できるため活用しましょう。

自然乾燥をバランス良く取り入れることで、電気代を節約するだけでなく、衣類をいたみにくくする効果も期待できます。

2 まとめ乾燥で稼働回数を減らす

乾燥機を効率的に使ううえで重要なポイントは、「まとめ乾燥」です。以下の例で比較してみましょう。

  • 定格容量(5kg)の80%を目安に2日に1回乾燥機を使用する場合
  • 定格容量(5kg)の40%を目安に毎日乾燥機を使用する場合

経済産業省のデータによると、上記の2つのケースでは、2日に1回まとめて乾燥した方が年間およそ1,300円の節約となります。

しかし、まとめて洗濯・乾燥させるために、洗濯物を洗濯槽に入れたままにすると菌が繁殖する可能性があります。しばらく洗わない洗濯物は、通気性の良いカゴに入れたり、洗濯用プレ洗剤を活用したりして、菌や臭いの発生を予防しましょう。

3 容量に対して適切な量を乾燥する

「まとめ乾燥」で乾燥機の使用頻度を減らすことは節電に効果的ですが、一度に乾かす量が多すぎると逆効果です。一般的に、乾燥機の定格容量に対して約80%の量を目安としましょう。

定格容量に対して洗濯物の量が多すぎると、衣類が固まって乾きにムラが生じる可能性があります。乾きが不十分な場合、追加で乾燥機を稼働させる必要が生じ、結果として電気代が高くなります。

一方、乾かす洗濯物の量が少なすぎるのも、無駄なエネルギーを消費する非効率な使い方です。電気を無駄なく使うなら、それぞれの乾燥機に適した容量を守るように心がけましょう。

4 こまめにフィルターの掃除を行う

乾燥機能が付いた洗濯機には、「乾燥フィルター」が搭載されています。

乾燥フィルターには、洗濯物を乾かす際に生じる衣類の糸くずやゴミを集める役割があります。そのため、乾燥機を使用するたびに乾燥フィルターの手入れが必要です。

乾燥フィルターが目詰まりすると、乾燥にかかる時間が長くなり、乾きにムラが生じる原因となります。また、乾燥フィルターの汚れを放置すると、洗濯機自体の故障リスクも高まります。

5 十分な脱水を行う

乾燥機を効率的に稼働させるうえで重要な工程は、「脱水」です。十分な脱水がされていない洗濯物は、水分を多く含んでおり、乾燥時間が長くなる要因となります。

濡れた洗濯物を乾かす際、適切な脱水運転をおこなってから乾かしましょう。また、乾燥させる前に、洗濯物をほぐすのも効果的です。

洗濯機の脱水が弱い場合、排水経路に問題がある可能性があります。それぞれの取扱説明書を確認し、必要に応じてメーカーなどにメンテナンスや修理を依頼しましょう。

6 電力会社・契約プランを見直す

電気代全体を節約したいと考えるなら、契約している電力会社やプランを見直すことも効果的です。2016年から、電気の小売業への参入が全面的に自由化され、多くの電力会社や料金プランから選べるようになりました。

たとえば、電気やガスをセットにすることで割引を受けられるプランや、電気の使用量に応じてポイントを進呈する電力会社があります。自分のライフスタイルにあう電力会社・契約プランを選択しましょう。

まとめ

衣類乾燥機の電気代は、乾燥機の種類や使用頻度によって大きく変わります。

そのため、ライフスタイルに適した乾燥機を選び、使い方を工夫することが大切です。なお、乾燥機だけでなく、家庭全体の電気代を抑えるうえで、電力会社や契約プランを見直すことも高い効果を期待できます。

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大岩 俊之(おおいわ としゆき)

家電製品総合アドバイザー。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。