漏電とは?どのような現象?発生する原因や事故を防止するための対策方法を解説

日常生活では電気を安全に使うための対策が行われているので、危険性を意識せずに電気を使っている方も多いのではないでしょうか。しかし、何らかの原因で漏電するケースも考えられます。
本記事では、漏電とはどのような現象なのかを解説したうえで、発生する原因や危険な事故を防止するための対策方法を紹介します。漏電について理解し、事故が起こらないように対策をしてください。
漏電とは想定している場所以外に電気が流れること
漏電とは、電気が本来流れるべき経路から外れて、周囲の物質に流れ出す現象のことです。
電気は本来、電気配線を通って電気器具に運ばれます。電気配線や電気器具は絶縁されているため、通常であれば電気が外に漏れることはありません。
しかし、電線が傷ついたり老朽化して被覆が剥がれたりすることで、絶縁性能が悪くなることがあります。その結果、電気が本来の経路から外れて漏れてしまい、漏電が起こります。
漏電が発生する原因
漏電が発生する原因として、以下が考えられます。
- 電気機器や電気配線の劣化や破損
- 水漏れや塩害
- トラッキング現象
- 施工不良
身近に当てはまるものがないか、安全のために確認しましょう。
1 電気機器や電気配線の劣化や破損
電気機器や電気配線が劣化したり破損したりすると、漏電が起こる可能性が高まります。
電気機器は長く使用していると、本体そのものだけでなく、絶縁処理が行われた部分も劣化します。絶縁性能が落ちていても気づかないケースが多いので、知らないうちに漏電していることもあるでしょう。
また、電気機器に電気を届けるためのコードやプラグが劣化したり破損したりしている場合も、絶縁性能が落ちて漏電につながることがあります。コードを強く引っ張る、急な角度で曲げるなどの行動が破損を招くため、注意が必要です。
ネズミなどの小動物やペットが電気配線をかじることで破損し、漏電を招くケースも考えられます。
2 水漏れや塩害
水濡れも、漏電が発生する原因です。
水自体は電気の通しやすさを示す電気伝導率が低いものの、水道水には電解質が多く溶けています。そのため、電気製品に水がかかることで、漏電しやすくなります。
また、送電機器に塩分が付着して絶縁体が腐食する塩害により、漏電が発生することもあります。
さらに、台風が発生すると、海水の飛沫が吹き上げられ、内陸に運ばれる現象が起こることがあります。その結果、塩害が発生して送電機器が腐食するケースがあるので、台風発生時には漏電の危険性を考慮しなければなりません。
3 トラッキング現象
漏電は、トラッキング現象によって発生することがあります。
トラッキング現象とは、コンセントとプラグの隙間にホコリが溜まり、湿気を帯びることで漏電が発生して起こる現象です。本来通電しないはずの絶縁体に電気が流れるため、スパークを起こして炭化し、炭化部分から発火することをトラッキング現象と呼びます。
テーブルタップに多くの電源コードを差し込み、コードがタコ足のようになるタコ足配線は、ホコリが蓄積しやすいためトラッキング現象を引き起こしやすいです。
タコ足配線は、電気を流せる限度を超えて発熱し、火災の原因になることもあるという点でも注意が必要です。
4 施工不良
電気工事を行う業者の施工不良により、漏電につながるケースもあります。
電気配線や電気機器の工事で、不十分な絶縁や配線のミスなどがあると、漏電リスクは高まります。
実際に、施工ミスが原因で事故が発生したケースを経済産業省が報告しています。そのため、専門家に任せても漏電リスクをゼロにできるわけではないと覚えておきましょう。
漏電によって起こり得る事故

漏電によって発生するおそれがある事故として、代表的なのが感電と漏電火災です。
1 感電
漏電している場所に触れると、体に電気が流れて感電してしまう危険性があります。
電流の大きさによって、人体に与える影響は変わります。通電した部位や通電時間によっても変わりますが、目安は以下のとおりです。
電流の大きさ | 人体への影響 |
---|---|
1mA | 少しピリピリする |
5mA | 強い痛みを感じる |
10mA | 耐えられないほど強くビリビリとする |
20mA | 筋肉の硬直や呼吸困難が起き、継続して流れると死に至ることがある |
50mA | 短時間でも命の危険がある |
100mA | 致命的な障害が残ることや死に至ることがある |
強い電流が人体に流れると筋肉が硬直するため、漏電部位から手を離すことができません。障害や死に至るおそれもあるので、漏電による感電は危険な事故といえます。
2 漏電火災
漏電により、火災が発生するケースもあります。トラッキング現象のように、漏電によってプラグから出火することがあるため注意が必要です。
東京消防庁予防部予防課の報告によると、建築年数30年以上の老朽化した住宅で漏電火災が起こるケースが多いです(※1)。建物や電気設備の老朽化が進むと、漏電火災が増加するおそれがあります。
漏電時に起きやすい現象
電気は目に見えないため、漏電していても気づきにくいです。しかし、漏電時に起きやすい現象がいくつかあるため、知っておくと速やかに気づけるでしょう。
以下のような現象が起きたときは、漏電を疑ってみてください。
1 ブレーカーが頻繁に落ちる
漏電していると、ブレーカーが頻繁に落ちるようになります。
家庭に備え付けられている分電盤には、漏電を感知したときに電気の供給を止める漏電ブレーカーがあります。漏電が発生して定められているよりも多い電流が流れると、漏電ブレーカーのスイッチが自動的に切れるため、火災や感電事故を防ぐことが可能です。
頻繁にブレーカーが落ちるようになったら、漏電を疑いましょう。
ブレーカーが落ちる原因や対策については、以下の記事でも詳しく解説しています。
ブレーカーが落ちたときの戻し方は?原因や落とさないための対策も紹介
2 機器に触れるとピリピリと痺れる
電気機器に触れたときにピリピリと痺れる感覚がある場合は、漏電が起こっていることがわかります。
体に弱い電流が流れるとピリピリとした痺れを感じますが、大きな電流が流れると強い痛みや筋肉の硬直、呼吸困難などを招くおそれがあるため危険です。ピリピリとした感覚があった場合は、電気機器の使用を中止して業者に点検を依頼する必要があります。
実際に、ガス給湯器から漏電しているときに浴室の蛇口に触れて感電したり、洗濯機がエラーになったときに給水中の水に触れて手が痺れたりした事故も起きています。
電気機器にアース線を取り付けていれば、漏電している機器に触れても感電のリスクを抑えられますが、取り付けていなければ危険な事故につながるおそれもあるため注意が必要です。
漏電の確認方法
漏電すると感電や火災などの事故が発生するおそれがあるため、漏電の疑いがある場合は速やかに確認する必要があります。
以下の方法で漏電しているかどうかを確認できるので、気になる場合は実践してみてください。
漏電ブレーカーを見る
漏電すると漏電ブレーカーが落ちるので、ブレーカーをチェックする方法が有効です。電気設備の安全を確認してから、以下の手順で復旧してみてください。
- アンペアブレーカーのつまみが「入」になっているのを確認する
- 安全ブレーカーのつまみをすべて「切」にする
- 漏電ブレーカーのつまみを「入」にする
- 安全ブレーカーのつまみを1つずつ「入」にする
- 安全ブレーカーを入れたときに再び漏電ブレーカーが落ちたら、その回路に漏電がある
- すべての安全ブレーカーを「切」にして、改めて漏電ブレーカーのつまみを入れる
- 漏電がある回路以外の安全ブレーカーを入れる
- 漏電が特定できたら、電力会社に点検を依頼する
専門業者に調査を依頼する
漏電している、あるいは漏電しているかもしれないと感じた場合は、速やかに専門業者に連絡する必要があります。
漏電しているか、修理などの対応が必要かどうかは、専門家に判断してもらうべきです。電気工事は資格を持った専門家しかできないため、自分で解決しようとしてはいけません。
契約している電力会社に連絡するか、全国各地にある電気保安協会に連絡しましょう。
漏電や漏電に伴う事故防止のためにできる対策

漏電すると感電や火災のリスクが高まるので、漏電しないようにあらかじめ適切な対策を取っておく必要があります。
以下の対策方法を確認し、実践してみてください。
1 漏電ブレーカーの設置
漏電ブレーカーを設置することで、漏電しているかどうかを速やかに判断できます。
漏電ブレーカー(漏電遮断器)は、一般家庭でも分電盤に取り付けられていることが多いです。安全のために、新築や築年数の浅い住宅ではほぼ取り付けられています。
ただし、建ててから長い年数が経過している住宅では、漏電ブレーカーが設置されていないこともあります。漏電ブレーカーがない場合は、漏電の発見が遅れるリスクがあるため、電力会社や工事業者に相談して取り付けてもらいましょう。
2 電気機器や配線の水濡れを防ぐ
漏電を防ぐためには、電気機器や配線の水濡れを防ぐ必要があります。電気が本来の回路ではなく、水を通って漏れるおそれがあるからです。
水濡れによる漏電を防ぐためには、濡れた手で電気機器に触らないことや、濡れた電気機器を稼働させないことが大切です。湿気が多い場所で電気機器を使用している場合は、移動できないかを検討してみてください。
雨漏りや浸水などで電気機器が濡れた場合は、使用しないほうがいいでしょう。一度濡れた電気製品は、乾いていたとしても不純物が残ってしまい、漏電や故障などにつながるリスクがあります。
3 アース線を接続する
漏電を防ぐためには、アース線を正しく接続する必要があります。
アース線は接地線とも呼ばれており、漏電したときに漏れた電流を大地に逃がす役割を果たします。大地に電流を逃がせば、人が電気機器に触れても感電する危険性を抑えることが可能です。
水気の多い場所で使用する洗濯機や冷蔵庫、電子レンジなどには、アース線が付属しています。製品の取扱説明書に従って、壁にあるアース端子にアース線を接続してください。
接続方法はネジで締めるタイプとフタを開けて差し込むタイプがあるため、必ず確認したうえで接続しましょう。アース線をガス管や水道管、電線管などにつなぐと危険なので、接続しないように気をつけてください。
4 タコ足配線をしないる
漏電や漏電に伴う事故を防ぐために、タコ足配線をしないようにするのがおすすめです。
タコ足配線をすると、コンセントとプラグの間にホコリが溜まり、トラッキング現象が起きて火災につながることがあります。容量以上の電気が流れやすくなり、発熱して出火するおそれもあるため、使わないようにすれば漏電や出火のリスクを抑えられるでしょう。
差し込み口が多い電源タップを使う場合は、接続する機器の消費電力を確認してください。使っていない機器のスイッチを切るようにすると、定められた容量以上の電流が流れるリスクを抑えられます。
5 電気設備の周囲を掃除する
電気設備の周囲を掃除することで、漏電防止につながります。
コンセントとプラグの間にホコリが溜まり、湿気を帯びると漏電するおそれがあります。コンセントから漏れた電流でホコリが発火するトラッキング火災のリスクも高まるため、電気設備の周囲は定期的に掃除をして、ホコリが溜まらないようにすると安全です。
掃除をする際は、プラグをコンセントから抜いた状態で行ってください。
6 コードの扱いに注意する
漏電を防止するためには、電気製品のコードの扱いに注意が必要です。
コードにストレスがかかると、被覆が破れたり中の芯線が断線したりして漏電につながるリスクが高まります。また、不適切なコードの使用により熱がこもり、過熱による発火のおそれもあります。
電気製品のコードは、以下のポイントに注意して使ってください。
- 束ねない
- 踏まない
- 引っ張らない
- 固定しない
まとめ
想定している場所以外に電気が流れる漏電により、感電や火災などが発生するおそれがあります。漏電ブレーカーが落ちたり、電気機器を触るとピリピリしたりする場合は漏電している可能性が高いので、速やかに対処してください。
漏電の危険性がある場合は、電力会社に相談しましょう。電気関係の問題は資格がないと解決できないことも多いため、気になる現象があれば電力会社に相談してください。
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