家電をコンセントから抜いた方がいいと言われる理由

家電をコンセントから抜いた方がいいと言われる主な理由は、電気料金の節約ができることです。

節電以外のメリットもあわせて確認しましょう。

1 待機電力を抑えて節電できる

家電のプラグをコンセントから抜いた方がいいと言われるのは、待機電力を抑えて電気料金を節約できるからです。

待機電力(待機時消費電力)とは、家電を使用していないときにも消費される電力のことです。家電は、使用時に限らず使っていないときでも少しずつ電力を消費します。

待機電力は地球環境において国際的な課題であり、日本でも京都議定書目標達成計画で待機電力の削減を地球温暖化対策のひとつとして挙げていました。

経済産業省資源エネルギー庁の調査によると、家庭の消費電力量のうち、5.1%は待機電力によるものです(※1)。1世帯が1年間に消費する電力量が4,432kWhなので、そのうちの5.1%を占める待機電力量は年間228kWhとわかります。

また、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が定めている電力料金の目安単価は31円/kWhなので、家庭で1年間にかかる待機電力の電気料金は「228kWh×31円/kWh=7,068円」と算出できます。

1年間の電気料金のうち7,000円以上が待機電力なので、家庭の電気料金節約には待機電力の削減が重要だとおわかりいただけるでしょう。

(※1)出典:経済産業省資源エネルギー庁「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要」

2 火災のリスクを抑えられる

家電のプラグをコンセントから抜いた方がいいと言われるもうひとつの理由が、火災のリスクを抑えられることです。

住宅火災の原因のひとつが、トラッキング現象とされています。トラッキング現象とは、コンセントに差したプラグの刃と刃の間にホコリがつき、湿気を帯びて新たな電気回路を形成することで放電し、火花が発生する現象です。

家電のプラグをコンセントに差しっぱなしにすると、掃除が疎かになってコンセント付近にホコリが溜まりやすくなります。その結果、本来流れるべきではない部分に電気が流れ、スパークして出火するリスクが高まります。

家電のプラグをこまめにコンセントから抜いて掃除をすれば、トラッキング現象による火災のリスクを抑えることが可能です。

東京消防庁が発表したデータによると、電源コードなどが出火原因となって発生した住宅火災は2023年に377件発生しており、過去10年で最多となりました(※2)。火災リスクを他人事と考えず、使っていない家電のプラグはコンセントから抜いた方がいいでしょう。

(※2)出典:東京消防庁「住宅火災における電気コード火災等の火災件数の推移 (平成26年~令和5年) 」

コンセントから抜いた方がいい家電

コンセントから抜いた方がいい家電

家電のプラグをコンセントから抜くことで、待機電力を削減して電気料金を節約できます。

しかし、すべての家電をコンセントから抜けばいいわけではありません。コンセントから抜いた方がいい家電と、そうでない家電が存在します。

本記事では、主に待機電力の観点から、コンセントから抜いた方がいい家電や抜かない方がいい家電を紹介します。

まずは、コンセントから抜いた方がいい家電を挙げます。

テレビ

テレビは、見ていないときにプラグをコンセントから抜いた方がいい家電です。

液晶画面をオフにしても、電源プラグが差さっていれば、テレビはリモコン信号を受けるために待機電力を消費します。プラグをコンセントからこまめに抜けば、節電効果が期待できるでしょう。

ただし、コンセントからプラグを抜くことで、番組表などの情報が自動ダウンロードできなくなるケースもあります。機種によって機能は異なるため、コンセントから抜くことで不利益がないか確認しましょう。

プラグを抜くと使いたい機能が使えなくなる場合は、主電源をオフにしたり、省エネモードを活用したりするのがおすすめです。

パソコン

パソコンは、使わないときにコンセントからプラグを抜いた方がいい家電です。パソコンは電源オフやスリープの状態でも電力を消費するため、主電源を切ってコンセントからプラグを抜くと待機電力を抑えられます。

ただし、仕事でパソコンを使う場合はこまめにプラグを抜くのが難しいでしょう。仕事中は、スリープモードやシャットダウンを活用してください。

一般的に、パソコンを使わない時間が90分以内であればスリープモードを使い、90分を超える場合はシャットダウンをすると電力消費量を抑えられます。仕事を終えた後など、長時間パソコンを使わなくなるタイミングでプラグを抜くといいでしょう。

パソコンの消費電力や電気料金については、以下の記事で詳しく解説しています。

パソコンの消費電力や電気代はどのくらい?節約するためのポイントを解説

炊飯器

使っていないときにコンセントからプラグを抜いた方がいい家電として、炊飯器も挙げられます。時間が表示される炊飯器のような家電は、電源をオフにしても待機電力が発生します。

プラグを抜けば無駄な電力を消費せずに済みますが、保温機能は使えなくなるため注意しましょう。

電気料金を抑えたいなら、炊飯器の保温時間をできるだけ短くするのがおすすめです。4時間以上炊飯器で保温するより、炊いたご飯を冷蔵庫や冷凍庫で保存し、食べるときに電子レンジで温め直す方が消費電力を抑えられます。

エアコン

エアコンを使わない時期は、コンセントからプラグを抜いた方がいいでしょう。

エアコンは連日使うことも多いので、こまめにプラグを抜くのは難しいです。全く使わない季節になったら、プラグを抜いて待機電力を抑えましょう。

エアコンの電源プラグを長期間コンセントに差し込んだままにすることで、トラッキング現象による火災が発生するおそれもあります。安全のためにも、使用しない間はエアコンのプラグをコンセントから抜きましょう。

ただし、コンセントからプラグを抜いた場合、使い始めに注意が必要です。プラグを差し込んだばかりでは通電が完了していないため、すぐに運転させるとエアコンが故障するおそれがあります。長期間プラグを抜いた後は、数時間運転させずに通電を待ちましょう。

エアコンの電気料金や節電方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。

エアコンの電気代はどれくらい?つけっぱなしは節約になる?計算方法や節電方法を解説

スマートフォンなどの充電器

スマートフォンなどの充電器も、使っていないときはコンセントからプラグを抜いた方がいい家電です。

充電が終わった後も充電器のプラグを差し込んだままにするケースが多いので、消費電力が大きくなりやすいです。充電完了後にプラグを抜けば、節電できます。

また、充電完了後も充電器とスマートフォンを接続したままにすると、無駄な電力を消費するうえにバッテリーの劣化を早めるため注意してください。充電が完了したらすぐにスマートフォンを充電器から抜き、充電器自体もコンセントから抜くといいでしょう。

以下の記事では、スマートフォンの寿命を長持ちさせる方法を紹介しているので、興味がある方は確認してみてください。

スマホの寿命は何年くらい?長持ちさせるための対処法も紹介

コンセントから抜かない方がいい家電

コンセントから抜かない方がいい家電

コンセントからプラグを抜かない方がいい家電もあります。抜かない方がいい理由とともに解説します。

冷蔵庫

節電したくても、冷蔵庫のプラグはコンセントから抜いてはいけません。冷蔵庫は通電していなければ庫内の温度をキープできないため、プラグを抜くと食品を保存できなくなります。

冷蔵庫の電気料金を抑えたいなら、熱いものを冷ましてから入れる、物を詰め込みすぎない、無駄に開閉しないなどの方法が効果的です。

冷蔵庫の電気料金や節電方法については、以下の記事も詳しく解説しています。

冷蔵庫の電気代はどれくらい?計算方法や節電方法を解説

Wi-Fiルーター

Wi-Fiルーターは、コンセントから抜かない方がいい家電です。

ルーター機器のプラグをコンセントから抜くと、インターネットに接続できなくなります。利便性が低下するので、Wi-Fiルーターのプラグは基本的に差し込んだままでいいでしょう。

長期間不在にする際は、プラグを抜けば待機電力を抑えられます。ただし、再起動時のネット接続に時間がかかったり、再度パスワードの入力を求められたりするので注意しましょう。

固定電話

固定電話は、使っていないタイミングがあってもコンセントからプラグを抜かない方がいいでしょう。

固定電話のプラグを抜いてしまうと、留守番電話を受けられません。電話がかかってくるタイミングは予測できないので、常に電源を入れておく必要があります。

電気料金が気になるなら、省エネモードが搭載されている製品を選ぶのがおすすめです。

プリンター

プリンターは電源をオフにしても待機電力が発生するため、プラグをコンセントから抜いた方が消費電力を抑えられます。しかし、利便性の観点から言えばプラグを抜かない方がいいでしょう。

プリンターには自動ヘッドクリーニング機能が搭載されており、使っていないタイミングで稼働して目詰まりを防止してくれます。プラグを抜くとクリーニングが行われず、目詰まりによってプリンターが故障する可能性が高まります。

長く使い続けるために、掃除をするとき以外はプリンターのプラグをコンセントに差し込んだままにするのがおすすめです。

コンセントからプラグを抜いて節電する際の注意点

家電のプラグをコンセントから抜くと節電できますが、その際にはいくつか注意点があります。注意点を押さえたうえで、無理せず節電に取り組みましょう。

1 家電の電源を切った状態でプラグをコンセントから抜く

家電のプラグをコンセントから抜くときは、必ず電源を切ってからにしてください。

電源が入った状態の家電は通電しているので、プラグを抜くと感電や火災につながるおそれがあります。また、電源が入ったままプラグを抜き差しすると、家電が故障したり寿命が短くなったりすることも考えられます。

家電の電源が切れていることを確認してから、プラグを抜きましょう。

2 無理のない範囲で家電のプラグをコンセントから抜く

家電のプラグをコンセントから抜くと電気料金節約につながりますが、無理のない範囲で行いましょう。

家電を使いたいときに電源プラグを抜くと、利便性が損なわれます。テレビを見ていないからといってプラグを抜き、正しく録画ができないなどの問題が発生すると、不満が募るでしょう。

また、電源プラグを抜くのを忘れないように意識しすぎると、ストレスになります。日常生活に支障が出ない範囲で、無理なくコンセントから抜くことを意識してみてください。

コンセントからプラグを抜く以外の節電方法

コンセントからプラグを抜く以外の節電方法について、以下で代表的なものを紹介します。

電気料金の節約方法は以下の記事でも詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

電気代を節約するには?すぐできる節約術7選や効果的な方法をわかりやすく解説

1 スイッチ付きの電源タップを導入する

スイッチ付きの電源タップを導入すれば、コンセントからプラグを抜かなくても節電できます。

電源タップはプラグを複数差して使えるアイテムで、プラグを差したままでもスイッチをオフにすればコンセントから抜いた状態と同じになります。複数のプラグを抜くより、スイッチを切るだけの方が手軽で習慣もつきやすいでしょう。

ただし、電源タップを長期間使用すると、劣化により漏電や火災が起こる可能性があります。電源タップは、定期的に買い替えるのがおすすめです。

2 省エネ性能の高い家電に買い替える

省エネ性能の高い家電に買い替えることで、電気料金を節約できます。消費電力を抑えられる機種を選べば、待機電力を減らせるだけでなく、稼働時の電気料金も安く抑えることが可能です。

環境省は、2010年製と2020年製の家電の消費電力量を比較しています。年間の電気料金を見ると、冷蔵庫は10年前より約4,740〜6,090円おトクになり、エアコンは10年前より約2,920円おトクになったとわかりました(※3)。

家電の省エネ性能は年々高まっているので、新しい家電に買い換えて電気料金の節約を目指すのがおすすめです。

(※3)出典:環境省「2020年 VS 2010年 最新家電と10年前の家電どのくらいおトク?」

3 電力会社を切り替える

月々の電気料金が高いと感じるなら、電力会社を切り替えるのも有効な方法です。電力自由化によって各社様々なプランを展開しているので、電力会社を切り替えるだけで電気料金が安くなることもあります。

現在のプランを確認し、もっと安くできるプランを提供している電力会社がないか調べてみましょう。

電力自由化については、以下の記事で詳しく解説しています。

電力自由化とは?目的やメリット・デメリット、電力会社の選び方を解説

まとめ

家電のプラグをコンセントから抜くことで、待機電力を削減して電気料金を節約できます。コンセントを抜いた方がいい家電と抜かない方がいい家電があるため、確認しましょう。

月々の電気料金の高さが気になる方は、電力会社の切り替えを検討するのがおすすめです。

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大岩 俊之(おおいわ としゆき)

家電製品総合アドバイザー。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。