電気自動車の充電時間

ガソリン車は数分で給油が終わりますが、電気自動車の充電には数時間以上の時間がかかります。

充電方法や車種、充電時の環境によって満充電にかかる時間は変動しますが、基本的には次の計算式で充電時間の算出が可能です。

充電時間(h)=充電量(kWh)÷充電器の出力(kW)

電気自動車の充電方法は、「普通充電」と「急速充電」の2パターンに分けられます。

それぞれのパターンに分けて、充電時間の大まかな目安を解説します。

普通充電

電気自動車の主な充電方法が「普通充電」です。電気自動車を自宅などの充電設備で充電する方法です。

大きく分けると、自宅で行う「基礎充電」、宿泊先などの充電設備を利用する「目的地充電」の2種類があります。

普通充電の充電設備における出力は3〜6kWが一般的です。バッテリー容量40kWの電気自動車で電池残量10%の場合、3kWの充電設備で満充電(100%)にかかる時間はおよそ12時間です。

バッテリー容量40kW×満充電までの容量90%=充電量36kWh
充電量36kWh÷充電設備出力3kW=満充電まで約12時間

国内での乗用車の平均走行距離は平日で約20km、休日の場合は約28kmです。

電費7km/kWhの電気自動車で換算しても電気の消費量は約3〜4kWh程度です。一般的な充電設備(3kW)でも1時間の充電で十分満たせる電力量となります。

電気自動車の充電時間は、ガソリン車の給油時間と比べて非常に長い時間に感じられます。

ですが、就寝時間や運転しない時間帯に充電を行うのが基本なため、そこまで大きな欠点ではないと考えられます。

急速充電

急速充電は、高速道路のサービスエリアやパーキングエリア、道の駅などに設置された急速充電設備で充電する方法です。

多くの充電施設は直流で40〜150kW程度の高出力です。普通充電に比べて充電時の出力が高いため、計算上は普通充電の10〜50倍程度のスピードで充電できます。

なお、急速充電にかかる時間は、以下の要素で充電出力が決まるため、同じ車種や同じ充電時間でも充電容量に違いがあります。

  1. バッテリー残量(SOC)
  2. 電気自動車の充電性能(充電可能なkWの大きさ)
  3. 充電器の性能(給電可能なkWの大きさ)
  4. その他(バッテリー温度、気温など)

また、多くの充電施設は急速充電の利用時間を1回あたり30分に制限しています。

そのため、急速充電は満充電にするための使い方ではなく、目的地(または次の補充電地)までに必要な充電量を補給するイメージで使われます。

電気自動車の充電にかかる料金

「普通充電」の充電料金は、電気料金単価×充電時間で計算できます。

例えば、電気料金単価が31円/kWh(※1)で3kWの充電設備を使用して満充電する場合の料金は、以下のとおりです。

電気自動車のバッテリー容量 満充電にかかる時間 充電料金
20kWh 約6.6時間 620円
40kWh 約13.3時間 1,240円
60kWh 約22時間 2,046円

詳細は後述しますが、電気自動車の「タイマー充電機能」を利用したり、就寝時間に充電をしたりなど、電力使用量のピークタイムを避けることで電気料金の節約につながります。

一方、急速充電を行うには各メーカーが発行する「充電認証カード」が必要で、メーカーごとに料金が変動します。

また、急速充電設備が設置された施設によっても料金が異なります。以下は2025年2月時点で、急速充電が可能な施設の料金例です。

  • 東京都江東区:77円/kWh
  • 埼玉県幸手市:無料
  • 福岡県福岡市:30分660円

(※1)電気代単価31円/kWh(税込)は、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が発表した電気代の目安単価で、主要電力会社10社の平均単価です。

電気自動車とガソリン車の料金比較

続いて、電気自動車とガソリン車の料金を比較していきます。

例えば、電気自動車とガソリン車の両方で100km走行した場合のランニングコストは、以下のとおりです(※2)(※3)。

  • ガソリン車:約690円
  • 電気自動車:約310円

電気自動車とガソリン車を比較すると、同じ走行距離でもランニングコストには大きな差があることがわかります。

基本的にガソリン代より電気料金のほうが安いため、ガソリン車よりも電気自動車のほうがランニングコストは安く抑えられます。

(※2)2020年5月20日時点の経済産業省資源エネルギー庁の「石油製品価格調査の結果」を元にNeVにて試算
(※3)2020年5月時点の東京電力スタンダードプランを元にNeVにて試算

電気自動車を充電可能な場所

電気自動車を充電可能な場所

電気自動車は、多くの車種が一度の充電で200km以上の走行が可能(※4)とされていますが、運転中の充電不足が不安な方も多いことでしょう。

電気自動車は、日本全国で約2万1,000ヵ所以上の充電スポットで充電可能です。

日本全国のガソリンスタンド数の6割以上に匹敵し、上記以外にカーディーラーやコンビニ、商業施設、宿泊施設、道の駅、SA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)でも充電できます。

具体的な充電スポットはウェブサイトで手軽に検索できるので、電気自動車を運転する際は事前に確認しておくと安心です。

(※4)定められた試験条件での値です。使用環境や運転方法に応じて航続可能距離は異なります。

充電時間を気にせず電気自動車を賢く使う方法

充電時間を気にせず、電気自動車を賢く使う方法を2つご紹介します。

  • 就寝時間に電気自動車の充電を行う
  • タイマー充電機能やこまめな充電を心がける

1 就寝時間に電気自動車の充電を行う

前述したとおり、一般的な電気自動車は満充電までに10時間前後の時間がかかります。

そのため、運転を終えてから翌朝を迎えるまでの運転をしない時間や、就寝時間中の充電を心がければ、長い充電時間を気にすることなく翌日も運転できます。

また、電気自動車は必ずしも満充電にこだわる必要はありません。目的地に充電スポットがあれば、片道分の充電容量があれば十分といえるでしょう。

2 タイマー充電機能やこまめな充電を心がける

ガソリン車の場合、一度の給油で満タンまでいれるのが一般的です。

一方、電気自動車は自宅で常に充電可能な状態なため、一度で満充電にする必要はありません。

また、一般的な電気自動車にはタイマー充電機能が付いているため、充電開始や充電量時刻をスケジューリングできます。

事前にタイマー充電機能を設定しておけば、万一の充電忘れを防止できるでしょう。

電気自動車(EV)の充電時間を短縮する方法

電気自動車の充電時間を短縮する方法は、主に次の2つが挙げられます。

  • 高出力の充電設備を導入する
  • V2H機器を導入する

電気自動車の購入を検討中の方のなかには、充電に対する漠然とした不安感をお持ちの方も多いことでしょう。

そのため、未保有の方は「充電時間の短さ」に重きを置きがちですが、電気自動車は走行実態に合わせた最適な充電設備を選ぶことが大切です。

また、電気自動車はバッテリーの劣化を防ぐため、その時々に応じた最適な充電出力を計算して充電を行う仕組み(CHAdeMO 方式)を採用しています。

オーバースペックな充電施設を導入してもバッテリーの劣化を早めてしまうだけで、あまりメリットはありません。

充電時間を短縮するために新たな設備導入を検討する際は、自身の保有する電気自動車のスペックに合った充電設備を検討することを心がけましょう。

1 高出力の充電設備を導入する

電気自動車の充電時間を短縮するには、高出力の充電設備を導入する方法が挙げられます。

通常、普通充電の設備は充電出力が3〜6kWのものが一般的です。

現在使用中の充電設備よりも出力の高い充電設備に変更すれば、充電時間を短縮できる可能性があります。

ただし、前述のとおり、電気自動車にはその時々に応じた最適な充電出力で充電を行う仕組み(CHAdeMO 方式)が採用されています。

高出力の充電設備を導入した場合でも、気温や残バッテリーなどに応じて充電時間がそこまで変わらない可能性がある点を理解しておきましょう。

2 V2H機器を導入する

V2H機器対応の充電設備を導入すると、充電時間を短縮できる可能性があります。

V2Hとは「Vehicle To Home(ビークル・トゥ・ホーム)」の頭文字を取った言葉で、電気自動車のバッテリーに蓄えられた電気を家庭用電源として活用できる機能です。

V2H機器には急速充電の仕組みが採用されているため、擬似的な急速充電が可能な場合があります。

ただし、電気自動車側がV2Hに対応していなければ利用できないため、自身の保有する電気自動車のスペックを確認してから身長に検討することが大切です。

まとめ

電気自動車の充電は「普通充電」と「急速充電」の2パターンがあり、満充電にかかる時間は充電方法や車種、充電時の周囲の状況(気温や残バッテリー容量など)で異なります。

電気自動車はガソリン車に比べて走行費用を安く抑えられる可能性があります。

一方、電気自動車の充電代がかかる分、ほかの家電や設備とあわせて全体の電気料金を下げたいと思う方も多いことでしょう。

自宅の電気料金を下げるには、電気の使い方を見直す方法に加えて、電力会社を変更して基本料金を節約する方法も挙げられます。

例えば、「楽天でんき」なら、利用料金200円につき楽天ポイントが1ポイント、楽天でんきとガス(※5)のセットで100円につき1ポイントが貯まります(※6)(※7)。

貯まった楽天ポイントは電気料金の支払いに使えるので、電気料金の節約につながる点が特徴です(※8)。

楽天でんきに切り替えることでどのくらいおトクになるか知りたい方は、「料金シミュレーション」をお試しください。

電気自動車の購入を検討中の方は、電気料金の節約に努めながら賢く電気自動車を活用しましょう。

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大岩 俊之(おおいわ としゆき)

家電製品総合アドバイザー。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。