kVAとは

kVA(キロボルトアンペア)は電力を表す単位のひとつです。出力が可能な理論上の電力総量を示すkVAは「皮相電力」とも呼ばれ、電力の供給量や機器の性能を表すときによく用いられます。

ある家電を動かすとき、通常使う電力の100%を活かせるわけではなく、使われずにムダとなる電力(無効電力)が一定量生じます。理論上の数値であるkVAは、実際に使われる電力(有効電力)と無効電力を合わせたもので、電力の供給可能量を表しています。

kVAを把握しておくと、たとえば消費電力の大きなエアコンなどの家電を同時にたくさん使う場合、家庭で必要となる総電力量の推測などに使えます。

kVAとkWとの違い

エアコンやテレビなどの家電を購入するときによく目にするkW(キロワット)も、kVAと同じく電力を表す単位のひとつです。

ただし、kWは家電などの電気機器を1秒間稼働するのに必要な消費電力(有効電力)を示しています。たとえば、エアコンを稼働する場合、消費された総電力量はkVAであり、エアコンで部屋を暖めるのに実際に消費された電力はkWです。

家電のkWを把握しておくと消費電力の総量がわかるため、ご家庭でかかる電気料金を把握するのに役立ちます。

ムダな電力(無効電力)のほぼない電球などの家電だと、kVAとkWがほとんど変わりません。しかし、エアコンや電子レンジなどの家電は、使用に際して電力のロス(無効電力)を生じるため、kVAはkWを上回るのが一般的です。

kVAの計算方法と考え方

kVAのV(ボルト)は電圧、A(アンペア)は電流を表しています。また、kは「1km= 1000m」のように「1,000」を意味しています。

上記を理解していると、kVAの考え方はそれほど複雑ではありません。ここでは、計算方法や考え方から、kVAの基本をさらに詳しく解説します。

kVAの計算式

kVAは、文字列のとおり、電圧と電流をかけ合わせて1,000(k)で割ると求められます。

  • kVA(皮相電力)= V(電圧)× A(電流)÷ 1,000

たとえば、電圧が200V、電流が15Aの家電の場合、kVAの計算式は次のようになります。

  • kVA=200V×15A÷1,000=3kVA

計算結果から、この家電で必要とされる理論上の総電力量は3kVAとわかり、性能の見通しを立てられます。さらに、この家電のkWがわかっていれば、kVAとの違いから「電力のロス(無効電力)」の量がわかり、より正確な電気料金の管理、ムダの回避に役立てられます。

kVAをkWへ変換する前に力率を理解

kVAとkWの数値を比べるときには、kVAからkWへ変換すると良いでしょう。しかし、そのためには「力率」への理解が必要です。

力率とは、家電などで実際に使われた消費電力(有効電力)が理論上の総電力量(皮相電力)に占める割合のことです。力率は次のように計算できます。

  • 力率=kW(有効電力)÷kVA(皮相電力)

つまり、力率が高いほどムダな電力(無効電力)が少なく、より効率的に電気を使えている状態です。

力率は0~1の値で表され、家電の場合は0.8~1.0の範囲内に収まることが一般的です。ある家電の力率が0.9の場合、その家電は90%が有効電力、10%が無効電力であり、力率を1に近づけるほど電力効率が上がるとわかります。

kVAをkWへ変換する計算式

kVAのkWへの変換は、先ほどの力率を利用して計算します。

  • kW(有効電力)=kVA(皮相電力) × 力率

たとえば、力率が0.9で5kVAの家電のkWは次のような結果となります。

  • kW=5kVA×0.9=4.5kW

計算結果から、この家電の有効電力(消費電力)は4.5kW(無効電力が0.5kW)であることがわかります。

kWの計算方法、A(アンペア)やV(ボルト)との関係など、電力にかかわる単位については、以下の記事でも詳しく解説しています。

ワット数の計算方法は?アンペアやボルトとの違い、電気代節約につなげる方法も解説

kVAの利用に適したケース

kVAの利用に適したケース

有効電力を示すkWは家電の消費電力としてメーカーのカタログなどで見かけることも多く、家電の電気料金を把握するために利用する方も多いでしょう。

それでは、kVAはどのようなケースでの利用に適しているのでしょうか。

先述のとおり、kVAは電力ロスを含めた電気機器への電力供給量(理論値)を示しています。そのため、電力機器を使うためにどれだけの電力が必要になるかを予測できます。

通常、kVAは大容量の電力を必要とする場面で使われます。たとえば、発電所やデーターセンターなどの施設、発電機などの電力管理で、kVAが利用されています。

家庭で使用される電力を意識するのにも役立つ

大容量の電力を使う法人だけではなく、一般家庭で使う電気料金を考えるときにも、kVAは役立ちます。kVAを知っていると、日頃どれだけの電力が必要なのかを意識できるでしょう。

あまり耳慣れないと思われがちなkVAですが、家庭で見かけることも珍しくありません。実際、家電にはkVAが表記されているものも多くあり、またkVAの数値を契約条件とするプランを用意している電力会社も存在します。

特に電力使用量が大きくなりやすい次のような家庭では、kVAを意識しておくと良いでしょう。

  • オール電化住宅で暮らしている
  • 夜間蓄熱式電気機器や電気自動車を使用している
  • 家族の人数が多い

家庭の電気料金を抑えるには?

kVAを把握すると、家庭で使う電気料金への意識が高まり、節電につながる可能性があります。家庭の電気料金を節約したいなら、さらに次のようなアイデアを実践するのがおすすめです。

家庭でかかる電気料金の内訳や節電につながる方法は、以下の記事でも詳しく解説しています。

1kWhあたりの電気代はいくら?電気代の内訳や節電方法を解説

1 エアコンなど家電の使い方を見直す

エアコン・照明・冷蔵庫の3つの家電だけで、家庭の電気料金の6割以上を消費しています。さらに、使用する季節による違いはあるものの、エアコンだけでも全体の3~4割を占めています(※1)(※2)。

以下のように多くの電気料金を消費する家電を中心に使い方を見直すと、効果的な節電を実践しやすいでしょう。

エアコン
  • 適正な設定温度にする(室温は夏28℃、冬20℃が目安)
  • フィルターを定期的に掃除する(月に1~2度を推奨)
  • カーテンを活用する
  • 室外機のまわりにモノを置かない
  • 睡眠時はタイマーを活用する
照明
  • LED電球に取り換える
  • 調光や人感センサーを活用する
  • 使わないときはこまめに消す
  • こまめに掃除して本来の明るさを保つ
冷蔵庫
  • 庫内の温度設定を変える
  • モノを詰め込みすぎない
  • ムダなドアの開閉を避ける
  • ドアは手際良く開閉する

エアコンや冷蔵庫の電気代については、以下の記事でも詳しく解説しています。

エアコンの電気代はどれくらい?つけっぱなしは節約になる?計算方法や節電方法を解説

冷蔵庫の電気代はどれくらい?計算方法や節電方法を解説

(※1)出典:経済産業省資源エネルギー庁「夏季の省エネ・節電メニュー ご家庭の皆さま 東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州(令和5年6月)」
(※2)出典:経済産業省資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」

②最新の省エネ家電へ買い替える

年々、家電の省エネ性能は向上を続けています。同じ家電を長く使っているなら、省エネ性能の高い最新の家電に買い替えることで節電につながる可能性が高いでしょう。

たとえば、2023年製と13年製を比べると、冷蔵庫は約28~35%、LEDランプは白熱電球より約86%、エアコンは約15%の省エネになると言われています(※3)。

(※3)出典:経済産業省資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」

2 電力会社やプランを見直す

電気料金を少しでも抑えたいとお考えなら、電力会社や電気料金プランの見直しも検討してみましょう。

電力自由化がはじまって以来、新規に電力事業に参入する新電力が増えました。これまでにないプランやサービスを提供するところも多く、消費者の選択肢が増えています。

どの電力会社でどんなプランを選ぶかによって、基本料金の有無、電気料金単価などが異なるため、暮らしを変えなくても毎月の電気料金が変わる可能性があります。

そのため、ご自身のライフスタイルや希望に応じた電力会社やプランを選ぶと、自然と節電につながると期待されます。

電力自由化に関する基礎知識は、以下の記事でも詳しく解説しています。

(※3)出典:電力自由化とは?目的やメリット・デメリット、電力会社の選び方を解説

まとめ

まとめ

kVA(キロボルトアンペア)は、電力機器が供給可能な総電力量(皮相電力)を表す単位です。同じく電力を表す単位であるkW(キロワット)は、実際に消費される有効電力を示しており、電力のロス(無効電力)を含むkVAとは違いがあります。

通常、kVAは発電所や工業用機器などの大規模な設備で使われる電力量の把握に用いられますが、家庭でも把握しておくと節電への意識が高まるなどメリットがあります。

kVAなど家庭で使う電力量が気になりはじめたら、省エネ家電への買い替えなどのほか、電力会社や電気プランの見直しもおすすめです。おトクなサービスのある電力会社、ライフスタイルにあったプランを選ぶだけで、電気料金を自然と節約できる可能性があります。

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新井 智美(あらい ともみ)

1級FP技能士・CFP

2006年11月 卓越した専門性が求められる世界共通水準のFP資格であるCFP認定を受けると同時に、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士1級を取得。2017年10月 独立。主に個人を相手にお金に関する相談及び提案設計業務を行う。個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス(、企業向け相談(補助金、助成金の申請アドバイス・各種申請業務代行)の他、資産運用など上記内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、執筆・監修業も手掛ける。