エアコンの100Vと200Vの違い

エアコンをはじめとする家電は、動かすために「電気」が必要となります。そもそも電気にかかわる単位には次の3つがあり、電圧(V)はそのひとつです。

①消費電力(電気の働く力)を示すワット(W)
②電流(電気の流れの大きさ)を示すアンペア(A)
③電圧(電流を押し出す強さ)を示すボルト(V)

水の流れでたとえるなら、電流(A)は水の流れる量、電圧(V)は水の流れる勢い、消費電力(W)は水量や勢いから生まれるパワーとなります。また、消費電力と電流、電圧の関係は次の計算式で表せます。

  • 消費電力(W)=電流(A)×電圧(V)

なお、電気にかかわる単位は、以下の記事で詳しく解説しています。

アンペアとは?ボルト・ワットの違いなど電気の基礎知識や節約方法を解説

200Vのエアコンは100Vよりパワーが強い

日本の家電は一般的に100Vの電圧を採用していますが、種類によっては200Vのものも存在します。家庭に電気を流す配線には、電線が2本の単相2線式と電線が3本の単相3線式があり、単相3線式の配線であればどちらの電圧でも使えるようになっています。

先述のとおり、電圧(V)は「電流を押し出す力」を示しており、200Vのエアコンには100Vの2倍のパワーがあります。そのため、より強いパワーが必要だと判断された製品には、200Vが採用されます。

エアコンのほかにも、ビルトインIHクッキングヒーター、海外の食洗機や洗濯乾燥機などのハイパワー家電は、200Vとなっているケースが多いようです。

100Vと200Vのエアコンはコンセントの形状が違う

エアコンを含む家電用のコンセントは、一般的に100V用と200V用で形状が異なります。これはプラグの差し間違いによるトラブルを防ぐのが目的で、誰にでもわかりやすいように見た目に違いを出しているためです。

  • 100Vコンセント:2つのタテ穴が横に並んでいる。
  • 200Vコンセント:3つの穴が開いている。

100Vと200Vのエアコンでは必要なアンペア数にも注意する

200Vのエアコンと100Vのエアコンのどちらを選ぶにしても、エアコンを使う場合は必要なアンペア数にも注意しましょう。

エアコンの消費電力(W)は、エアコンの使い方、使う部屋の環境、外気温と室温の差などによって変わり、そのとき必要な消費電力に応じてアンペアの量が変化します。

200Vのエアコンは広い部屋(畳数)に対応する場合が多く、消費電力が大きくなる傾向にあります。そのため、200Vのエアコンを使うには余裕あるアンペア数が必要です。

エアコンで使うアンペア数の目安は、消費電力から求められます。

一般的な家庭では対応する電圧が100Vのため、エアコンが100Vでも200Vでも必要なアンペア数は電圧を100Vとして計算します。たとえば暖房時に消費電力の最大値が2,500Wのエアコンの場合、200Vのエアコンに必要なアンペア数は次のようになります。

  • 2500(W)÷100(V)=25(A)

エアコンだけで25Aを使う可能性があるため、30Lサイズの電子レンジ(15A)や食洗機(13A)、ヘアドライヤー(12A)など、ほかの家電と併用しても問題のない、余裕あるアンペア契約をしておくことが大切です。

エアコンが100Vでも200Vでも電気料金は同じ?

200Vのエアコンは、100Vのものより「電流を押し出す力」が2倍強くてパワフルです。そうなると、電気料金が高いイメージを持つ方もいるでしょう。しかし実際には、消費電力が同じなら使われる電気の量は変わらず、電気料金は同じです。

先述のとおり、消費電力(W)は「電流(A)×電圧(V)」で計算します。仮に消費電力がどちらも2,000Wのエアコンであれば、消費電力が同じである以上、電圧が100Vでも200Vでも消費電力の数値には影響しないため、電気料金は変わりません。

ほかにも、20Aを必要とする100V仕様のエアコンの場合、同じシリーズなら200V仕様のエアコンは10Aで使えることが多く、「消費電力が同じ=電気料金が同じ」とされる理由となっています。

また、同じ広さ(畳数)の部屋で100Vと200Vのエアコンを使う場合、パワーの強い200Vのエアコンの方がより早く設定温度に達するため、結果として電気料金が安くなる可能性があります。

ただし、電気料金にかかるエアコンの消費電力や冷暖房効率は、使う部屋の環境や使い方などで変わります。100Vと200Vのエアコンでどちらがおトクなどとは言い切れないため、あくまで参考程度にとどめておきましょう。

100Vと200Vのエアコンはそれぞれ何畳までの部屋に向いている?

100Vと200Vのエアコンはそれぞれ何畳までの部屋に向いている?

100Vと200Vの境目となる目安が「14畳程度の部屋」です。メーカーや製品によって異なりますが、14畳より小さいと100V仕様、14畳より大きいと200V仕様となるエアコンが多くあります。電圧の違いが生じる基準として「14畳」を覚えておくと良いでしょう。

とは言え、目安畳数だけでは、100Vと200Vのどちらのエアコンが適しているか判断できません。

たとえば、天井が高い部屋、吹き抜けがある部屋などは空間が広い分、同じ畳数の部屋でも高い冷暖房効率を求められます。性能に申し分ないエアコンでも、大きな窓から日差しが差し込む部屋では、期待するような冷房効果を感じられない場合もあるでしょう。

逆に、高気密・高断熱の家であれば、広い空間があっても100Vのエアコンでじゅうぶんな性能を発揮できる可能性があります。

100Vと200Vのエアコンで悩んだら、目安畳数を基準にしながら、部屋の造りや建物の構造などから総合的に判断するのがおすすめです。

100Vから200Vへコンセントの取り換えが必要な場合

日本の家電の多くは100Vを採用しているため、一般的な家庭のコンセントは100Vに対応したものになっていることがほとんどです。そのため、200Vのエアコンを検討しているなら、エアコン設置場所近辺に200V用のコンセントがあるか確認しなければなりません。

200V用のコンセントへの取り換えや増設が必要な場合は、電気工事専門業者へ工事を依頼します。

そもそもエアコンはほかの家電より消費電力が大きく、ブレーカーの誤作動、火災や感電などのリスク回避のため、専用コンセントの設置が求められます。設置場所によっては、専用コンセントのための配線工事が発生する可能性もあるでしょう。

家庭内の電線は、100Vに対応する単相2線式とどちらの電圧にも対応する単相3線式に分かれます。単相2線式の家庭で200Vのエアコンを使うには、電線の変更工事も必要です。

部屋の広さにあうエアコンを選ぶポイント

「目安畳数14畳」は、100Vと200Vのどちらのエアコンが適しているかを判断する基準となります。

そこで、使う部屋の広さにあわせてエアコンを選ぶポイントを解説します。

エアコンの「目安畳数」はやや大きめを選択する

店頭やカタログなどで製品のスペックを見ると、エアコンごとに設定された「目安畳数」がわかります。

  • 目安畳数:JIS(日本工業規格)による平均的な住宅(木造・南向き、洋室)でエアコンを使うケースを想定したもの。

目安畳数は「8~12畳」のように幅をもたせた表記となっています。これは、木造住宅と鉄筋住宅では建物や部屋の気密性に違いが出るためです。たとえば目安畳数「暖房8~10畳、冷房8~12畳」のエアコンは、次のような環境下に適していると読み取れます。

①木造戸建住宅(平屋)・南向き・和室で暖房8畳・冷房8畳
②鉄筋住宅(中間層)・南向き・洋室で暖房10畳・冷房12畳

エアコンは、使う部屋より少し広めの目安畳数を選ぶのがおすすめです。目安畳数ギリギリの部屋だと、設定温度に達するまで時間がかかって電気料金が高くなる、エアコンをフル稼働させる時間が増えて負担がかかるなどの心配も考えられます。

広さだけではなく部屋の環境も考慮する

ゆとりある目安畳数のエアコンを選んでも、部屋の広さに適しているとは必ずしも言えません。エアコンの冷暖房効率は使う部屋の環境に影響を受けるため、窓の位置や大きさ、日当たり、天井の高さなどを考慮することが大切です。

次のような特徴のある部屋で使う場合には、目安畳数が部屋より大きめのエアコンや200Vのエアコンがおすすめです。

  • キッチン続きのリビングである。
  • 南側または北側に大きなガラス窓がある(日当たりの影響が大きい)。
  • マンションの高層階に部屋がある。
  • 天井が高い、または吹き抜けがある。

たとえば、10畳程度の部屋であれば100Vのエアコンのパワーでもじゅうぶんですが、部屋の造りや建物の断熱性を考慮すると、200Vを選んだ方が節電になる可能性もあります。

寒冷地には200Vのハイパワーのエアコンがおすすめ

エアコンに設定される目安畳数は、東京の外気温を基準としています。そのため、氷点下に達するような寒さの厳しい地域では、暖房時の目安畳数に注目して、できるだけ余裕あるサイズを選ぶと良いでしょう。

また、寒い地域では、部屋の広さにかかわらず、100Vよりパワーのある200Vのエアコンを選んだ方がパワフルな暖房が期待されます。

寒冷地のエアコン選びでは、ほかにも経済産業省資源エネルギー庁の推進する「統一省エネラベル」が参考になります。エアコンに「寒冷地仕様」表記があるかチェックしましょう。

エアコン選びのタイミングで電力会社やプランの見直しを

エアコン選びのタイミングで電力会社やプランの見直しを

節電を心がけながら効率良くエアコンを使いたいなら、電力会社や電気料金プランの見直しもおすすめです。

電力自由化が始まってから、それまでにない様々なプランやサービスを提供する新電力が増えています。電力会社やプランによって基本料金の有無や電気料金単価が異なるため、電力の使用量は同じでも電気料金が変わる可能性があります。

ご自身のライフスタイルや希望にあわせて電力会社やプランを選ぶと、これまでどおりエアコンを使っても、自然と節電になることも期待されます。

なお、電力自由化は、以下の記事で詳しく解説しています。

電力自由化とは?目的やメリット・デメリット、電力会社の選び方を解説

まとめ

エアコンは、使い方や部屋の環境、外気温との差などによって求められるパワーが変わるため、一般的な家電に多い100V仕様のほか、200Vの製品も多くみられます。

200Vのエアコンは、100Vに比べると電気を押し出す力が2倍強いため、100Vよりもすばやく設定温度を実現できます。製品により異なりますが、おおよそ目安畳数14畳を境に、100Vと200Vに分かれるエアコンが多いようです。

ただし、部屋の造り、窓の大きさや位置、建物の構造などでは、10畳程度の部屋でも200Vのエアコンを使う方が節電になる場合もあります。また、200Vのエアコンは200V用コンセントでしか使えないため、状況によっては取り換えや増設工事が必要です。

エアコンの電気料金を少しでも抑えたいとお考えなら、電力会社や電気料金プランの見直しもおすすめです。おトクなサービスのある電力会社、ライフスタイルにあったプランを選ぶだけで、電気料金を削減できる可能性があります。

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大岩 俊之(おおいわ としゆき)

家電製品総合アドバイザー。スマートマスター。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。