家庭の電気料金はエアコンの占める割合が高い

毎月の電気料金が気になると、エアコンの節約が真っ先に思い浮かぶ方も多いでしょう。実際、エアコンは家庭でかかる電気料金のなかで、特に高い割合を占めています。

経済産業省資源エネルギー庁によると、夏に使うエアコンの電気料金は全体の38.3%と、4割近くに達しています(※1)。 電気の使用割合が2番目に高い照明14.9%、3番目の冷蔵庫12.0%と比べても、エアコンにかかる電気料金の大きさがわかります。

冬に電気を使う暖房器具は、エアコンに限らず、電気ストーブやこたつもあります。それでも、暖房にかかる電気料金32.7%のうちエアコンは17.0%となっており、暖房費の半分を占めている状況です(※2)。

(※1)出典:経済産業省資源エネルギー庁「夏季の省エネメニュー ご家庭の皆様 東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州」
(※2)出典:経済産業省資源エネルギー庁「冬季の省エネメニュー ご家庭の皆様 東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州」

エアコンの仕組みと電気料金

エアコンの電気料金を節約するために、エアコンがどのように部屋を冷やし、暖めるのか、まずは冷暖房の仕組みを理解しておきましょう。

エアコンは室外機と室内機がセットになって機能する家電です。機能としては正反対とも思える冷房と暖房ですが、室外機と室内機を使った空気の循環である点は変わりません。

  • 冷房:部屋の熱い空気を取り込み、エアコン内の熱交換器で余分な熱を取り除いた後、冷えた空気を部屋に戻す。
  • 暖房:屋外の冷たい空気を取り込み、エアコン内の熱交換器で空気に含まれる熱を受け取った後、温かい空気を部屋に送り出す。

上記の仕組みを踏まえたうえで、エアコンの具体的な電気料金を確認していきましょう。

エアコンの電気料金を計算する方法

効率良く節約するには、日頃エアコンにどれだけの電気料金がかかっているのかを把握しておくことが大切です。

エアコンをはじめ、家電にかかる電気料金はご自身でも簡単に計算できます。

ただし、エアコンには冷房と暖房があり、夏と冬で使う機能が変わるため、期間消費電力(冷房は5月23日~10月4日の135日間、暖房は11月8日~4月16日の160日間)を確認し、1日の使用時間を6時から24時の18時間として計算します。

エアコンの期間消費電力は、メーカーの公式サイトやカタログなどにある製品の仕様書に記載されています。

エアコンの電気料金は次の計算式で求められます。

  • 夏の1カ月あたりのエアコンの電気料金(円)=【期間消費電力(kWh)÷135(日)×30(日)】×電気料金単価(31円/kWh)
  • 冬の1カ月あたりのエアコンの電気料金(円)=【期間消費電力(kWh)÷160(日)×30(日)】×電気料金単価(31円/kWh)

電気料金単価は、契約する電力会社やプランによって変わります。ここでは、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が発表する電気料金の目安単価で、主要電力会社10社の平均単価31円/kWh(税込)を用います。

上記の計算式を使って、あるメーカーのエアコン(目安畳数10畳のスタンダードモデル)の電気料金を計算してみましょう。

  • 夏の1カ月あたりのエアコンの電気料金(円)=273(kWh)÷135(日)×30(日)×31(円/kWh)=1,880.66円
  • 冬の1カ月あたりのエアコンの電気料金(円)=640(kWh)÷160(日)×30(日)×31(円/kWh)=3,720円

エアコンで1カ月にかかる電気料金は、冷房で約1,900円、暖房で約3,700円が目安です。

夏の冷房と冬の暖房で電気料金が変わる理由

通常、同じエアコンでも夏の冷房と冬の暖房にかかる電気料金には差があり、冬の方が電気料金は高くなる傾向があります。この理由は、外気とエアコンの設定温度の温度差だと考えられます。

7~8月の最高気温は35℃を超える日が多く、12~2月の平均気温は7~8℃ほどです。仮に夏の外気を35℃・冬の外気を7℃とし、エアコンの設定温度をそれぞれ冷房25℃・暖房22℃とすると、外気との温度差は夏が10℃で冬が15℃となります。

エアコンは設定温度に達するまで運転し続けるため、外気との温度差が大きい冬ほど電気料金がかかると考えられます。

節電へつながるエアコンに最適な環境づくり

ムダなく性能を発揮できる環境に整えるだけでも、エアコンの電気料金を節約できる可能性があります。エアコンの節約方法を知る前に、エアコンの環境を節電に適したものにチェンジしましょう。

1 室外機まわりをすっきりさせる

エアコンの室外機まわりは、定期的に整理整頓するなどして、風通しの良いすっきりした状態を維持しましょう。

室外機の吹き出し口あたりにモノを置くと、冷暖房効率が下がるおそれがあります。

冷房時は室外機の吹き出し口から熱風が吹き出します。モノでふさがれると、せっかく取り除いた熱を再び吸い込んでしまう可能性があります。また、暖房時は、熱を受け取った後の冷たい空気をじゅうぶんに吹き出さない原因にもなります。

ほかにも、室外機を覆うカバーは避けましょう。室外機からの空気の排出や吸入を妨げると冷暖房効率が下がり、電気料金の上昇につながりかねません。

2 エアコンのフィルターはこまめに掃除する

エアコンのフィルターは、2週間に1度を目安にこまめな掃除を心がけましょう。

冷房時は部屋の暖かい空気を吸い込んで冷たい空気を吹き出し、暖房時は屋外の冷たい空気を吸い込んで暖めた空気を吹き出すなど、エアコンは空気を循環させることで機能します。

もしフィルターが目詰まりしているとスムーズな空気交換が叶わず、エアコンを必要以上に稼働させてしまうことも考えられます。

経済産業省資源エネルギー庁によると、フィルター掃除を月に1~2回行うと年間約990円の節約になる可能性があります(※3)。

(※3)出典:経済産業省資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」

夏の冷房も冬の暖房も!エアコンの節約方法8選

夏の冷房も冬の暖房も!エアコンの節約方法8選

エアコンの電気料金を抑えたいからと、使わずに我慢するのは現実的ではありません。そこで、誰にでも採り入れやすいエアコンの節約につながるアイデアを8つ紹介します。

毎日のちょっとした行動と工夫で、電気料金の節約を実現しましょう。

①風向きを工夫して冷暖房効率をアップさせる

暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ向かう性質を利用して、風向きをコントロールすると、空気の循環が進んで冷暖房効率がアップします。

  • 冷房のとき:天井あたりにたまった暖気を飛ばすように、エアコンの風向きを上向きまたは水平にする。
  • 暖房のとき:床にたまった冷気(冷気だまり)を飛ばすように、エアコンの風向きを下向きにする。

部屋の空気が効率良く循環すれば、設定温度にすばやく達するため、エアコンの電気料金を抑えられます。

②サーキュレーターで温度ムラをすばやく解消

エアコンの風向きを工夫する以外にも、サーキュレーターや扇風機の併用によって、室温のムラをスムーズに解消する方法もおすすめです。

とくに、夏の冷房時はサーキュレーターなどの風を利用することによって、設定温度以上に体感温度を下げるのにも役立ちます。

涼しさや暖かさを感じる体感温度は、温度だけではなく、湿度や風、服装など、様々な要素の影響を受けます。体に風が当たると体感温度は下がるため、エアコンの風が人に届くように、サーキュレーターなどの置く位置を調整しましょう。

冬の暖房時も、サーキュレーターなどの風があれば、より効率的に空気が循環します。

サーキュレーターについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

サーキュレーターと扇風機の違いは?エアコンとの併用で電気代がおトクになる?

サーキュレーターの電気代はどのくらい?扇風機との比較や節約ポイントを解説

③部屋の湿度にも注目する

人が快適に感じる環境には湿度の影響も大きいとされるため、湿度にも注目するとムダな電気料金を節約しやすくなるでしょう。

湿度が高いと暖かく、湿度が低いと寒く感じやすいとされます。そこで、少しでも早く部屋を快適にするには、ジメジメした夏は湿度を低めに、乾燥しやすい冬は湿度を高めにするのがおすすめです。

人や住まいにとって快適な湿度は40~60%とされています。エアコンの機能、加湿器や除湿器を活用して、その範囲内で湿度をコントロールしましょう。

④カーテンで夏の外気を遮断して冬の室温を守る

エアコンの冷暖房効率を上げると、ムダな電気料金を抑えられます。断熱カーテンや厚手のカーテン、窓に貼る断熱シートなどを活用して、エアコンを使う前後の室温を安定させましょう。

夏は、日中や外出中にカーテンを閉めておくと、エアコンで冷やした空気を逃しにくく室温の上昇も防ぎやすくなります。強い日差しを防ぐために、すだれや緑のカーテンを窓の外に設置するのも効果的です。

冬に暖房を使うときは、日中はカーテンを開けて日差しを部屋に取り込み、夜間はカーテンを閉めて冷気を遮断すると、室温の低下を防ぎやすくなります。

⑤夏は28℃・冬は20℃を目安に室温をコントロールする

環境省は省エネと快適性を両立できる室温として、夏は28℃、冬は20℃を推奨しています(※4)。推奨温度を参考に、過度に寒すぎず暖かすぎない快適な室温を意識すると、自然と節約につながるでしょう。

経済産業省の試算によると、設定温度を1℃変えたときの節約効果は次のとおりです(※5)。

  • 外気31℃の夏に、設定温度を27℃から28℃に上げると年間940円の電気料金を節約
  • 外気6℃の冬に、設定温度を21℃から20℃に下げると年間約1,650円の電気料金を節約

なお、この「室温」とは、エアコンの設定温度ではなく実際の室内温度、つまり体感温度である点に注意しましょう。

たとえば、暑い夏、エアコンの設定温度が28℃でも部屋の環境によっては室温が30℃を超えることもあります。そうなると、快適性を保てず、健康に悪影響となるおそれもあります。

(※4)環境省「家庭のエネルギー事情を知る」
(※5)経済産業省資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」

⑥最新のエアコンへの買い替えを検討する

家電のなかでも特に高額のエアコンは、壊れるまで使うなどして、頻繁に買い替えない方が多いかもしれません。

しかし、家電は年々進化しており、最新のエアコンは省エネ性能が大きく上昇しています。そのため、最新のエアコンに買い替えるだけでも、電気料金を抑えられる可能性があります。

たとえば、10年前のエアコンに比べて、最新のエアコンは年間約6,000円の電気料金を節約できる言われています(※6)。

(※6)出典:環境省「デコ活 くらしの中のエコろがけ」

⑦必要ないときは電源を切る

長時間の外出やほかの部屋へ移動するときなど、必要がなくなったらエアコンの電源を切りましょう。エアコンの使用時間を1日あたり1時間短縮するだけで、冷房で年間約580円、暖房で年間約1,260円の電気料金を節約できます(※7)。

ただし、電源のON・OFFをあまりにこまめに行うと、使いっぱなしにするよりも、かえって電気料金がかさむ可能性もあります。

エアコンは、外気温と設定温度との温度差が大きい「使いはじめた直後」に、多くの電力を消費します。やがて設定温度に近づくと、電力の消費が緩やかになります。

そのため、30分程度の外出など、短時間のうちにまたエアコンを使う予定があるなら、つけっぱなしにしておくのも良いでしょう。

(※7)出典:経済産業省資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」

⑧電力会社やプランを見直す

エアコンの電気料金を節約したいなら、毎日の使い方を工夫するとともに、電力会社や電気料金プランを見直すのもおすすめです。

電力自由化がはじまって以降、新規事業者が続々と参入し、様々なプランやサービスを提供する新電力が登場しています。電力会社やプランによって基本料金の有無や電気料金単価など料金体系が異なるため、電力使用量が同じでも電気料金が変わる可能性もあります。

ご自身のライフスタイル、求めるサービスを見直して、希望を叶える電力会社やプランを探してみましょう。

電力自由化については、以下の記事でも詳しく解説しています。

電力自由化とは?目的やメリット・デメリット、電力会社の選び方を解説

まとめ

夏の冷房も冬の暖房も!エアコンの節約方法8選

エアコンは家庭の電気料金で特に負担の大きい家電で、節約したいと考える方は多いでしょう。

節電を実現するには、まずエアコンの仕組みを理解することが大切です。エアコンの冷暖房効率を下げないように、室外機まわりの整理整頓や室内機のフィルター掃除を行うなど、電気料金の節約に適した環境を整えることからはじめてください。

風向きの工夫、サーキュレーターや扇風機の併用、カーテンの活用など、毎日のちょっとしたアイデアが電気料金の節約につながります。

また、エアコンの電気料金を少しでも節約したいとお考えなら、電力会社や電気プランの見直しもおすすめです。おトクなサービスのある電力会社、ライフスタイルにあったプランを選ぶだけで、今よりも電気料金を削減できる可能性があります。

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大岩 俊之(おおいわ としゆき)

家電製品総合アドバイザー。スマートマスター。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。