オール電化住宅とは?

オール電化住宅とは、冷暖房や給湯など、家庭内で使われる機器に必要なエネルギーを電気だけでまかなっている住宅のことです。

一般的な住宅では、電気のほかにも、暖房や給湯にはガス(都市ガスやLPガス)や灯油などが燃料として使われています。

一方、オール電化住宅では、ガスコンロの代わりにIHクッキングヒーターを導入するなど、専用の設備を取り入れることで、電気だけで暮らす「オール電化」を実現しています。

エコキュートは電気給湯器

先述のとおり、オール電化の実現には専用設備の導入が必要です。そして、オール電化住宅に欠かせない機器のひとつにエコキュートがあります。

エコキュートとは、ガス・石油給湯器の代わりとなる電気給湯器のことです。

従来からある電気給湯器とは異なり、エコキュートにはエアコンにも使われているヒートポンプ機能が採用されています。ヒートポンプ機能によって空気の熱でお湯を沸かすため、消費電力は従来型の電気給湯器より約35%も少なく、節電にもつながります。

最近は、さらにエネルギー効率の高い電気給湯器として、太陽光発電を利用する給湯器「おひさまエコキュート」も注目されています。

オール電化住宅のメリット

オール電化住宅での暮らしには、主に次のようなメリットがあります。

光熱費を一元管理できる

一般的な家庭では、光熱費として、電気・ガス(都市ガスやLPガス)・灯油など複数のエネルギーを組み合わせています。それぞれ契約先が異なり、料金の仕組みも違うため、光熱費の管理は複雑になりがちです。

しかし、オール電化住宅にすると、家庭で使うエネルギーのほぼすべてを電気に一本化できます。ガス料金が不要となって、基本料金や料金体系の違いを気にする必要がなくなるなど、原則として電気料金だけで光熱費をスマートに管理できます。

家庭の電気使用量の目安や電気料金との関係は、以下の記事でも詳しく解説しています。

電気使用量の平均はいくら?電気料金との関係や計算方法も解説

ガスや火を使わないため火災などのリスクが低い

日常生活を維持するエネルギーに電気のみを使うオール電化住宅では、ガスや火を原因とする火災などのリスクを下げられるメリットがあります。

ガスコンロを使うと、火災やガス漏れなどのリスクは避けられません。しかし、オール電化住宅に導入されるIHクッキングヒーターはガスや火を使わないうえ、温度過昇防止や切り忘れ防止など、安全に配慮した機能も充実しています。

IHクッキングヒーターでも天ぷら油などを原因とする火災は起こりえますが、ガスコンロに比べて調理中の安全性は高まるでしょう。

ガスコンロを使うときは一酸化炭素中毒も心配事のひとつです。一酸化炭素は無色・無臭のため発生に気づきにくく、深刻な中毒症状を招くおそれもあります。IHクッキングヒーターはガスを必要としないため、一酸化炭素中毒のリスクを防げます。

キッチン周りのお手入れがラクになる

IHクッキングヒーターは天板がフラットで、汚れても掃除しやすい特徴があります。五徳や点火装置などの形状が複雑なガスコンロに比べると、キッチン周りのお手入れに手間がかかりません。

IHクッキングヒーターは魚焼きグリルの内部もフラットな構造となっていることが多く、すみずみまでキレイな状態を保ちやすいと考えられます。

さらに、IHクッキングヒーターを使って調理すると、燃焼による気流の上昇が起こりません。調理中も熱気を感じることがなく、また油や水蒸気が舞い上がりにくいため、換気扇や壁のベタつきを軽減できます。

災害時にガスよりも復旧が早い

災害時、電気やガスなどのライフラインが損害を受けても、電気はガスよりも復旧が早いとされています。そのため、電気の供給が停止しても、オール電化住宅は復旧が早いと考えられます。

日本で発生した過去の地震被害では、停電しても当日から数日で復旧が進み、電気の供給は1週間前後でほぼ再開しています。しかし、たとえば都市ガスが損害を受けると、機器やガス管の点検、破損部分の補修などで復旧に2~3カ月かかっています。

内閣府が想定する首都直下地震では、ライフラインの復旧目標は電力が6日、ガスが55日とされています。オール電化住宅で暮らしていれば、電気の供給が戻り次第、数日のうちに冷暖房も給湯も利用できるでしょう。

さらに、太陽光発電と蓄電池を備えた住宅であれば、電力復旧までの間、自家消費で過ごすことも可能です。

災害時には水が使えず困るケースもあります。そんなときにもオール電化住宅のエコキュートなら、タンク内のお湯や水を生活用水として使えます。エコキュートには、主流の製品で370~460Lものお湯や水が常に貯められており、数日分の生活用水になるでしょう。

オール電化住宅のデメリット

オール電化住宅のデメリット

オール電化住宅で暮らすときには、次のようなデメリットも想定しておく必要があります。

初期費用にお金がかかる

自宅をオール電化住宅にするには、エコキュートやIHクッキングヒーターなどの専用機器の購入と設置が必要です。ガス給湯器やガスコンロは種類が豊富でリーズナブルな製品も選べますが、オール電化対応機器はやや高額の傾向にあります。

ただし、導入にかかる初期費用が割高になっても、ガス会社へ支払ってきた基本料金が不要になる、電力会社のオール電化向けプランでおトクに電気料金を使うなどにより、今よりも毎月のランニングコストを抑えられる可能性もあります。

オール電化住宅にかかるお金は、初期費用とランニングコストの両方を考慮して、長期的な視点で判断することが大切です。

初期費用がネックになっているなら、定額の月額料金のみでオール電化を実現できるリースサービスも選択肢に入れると良いでしょう。

調理器具が制限される

オール電化住宅に欠かせないIHクッキングヒーターですが、使える調理器具が限られている点に注意が必要です。鍋底の形状や材質などによって、IHクッキングヒーターに対応する器具が決まっています。

とは言え、IHクッキングヒーターの普及と技術の向上に伴い、対応する調理器具は年々増えているため、購入するのに苦労はしないでしょう。

IHクッキングヒーターについては、火を使った調理ができなくなる点がデメリットとなる可能性もあります。炎であぶるような調理ができなくなるなど、料理にこだわりがある方は、火を使えない調理に不満を感じるかもしれません。

停電するとすべての機能が使えなくなる

オール電化住宅で最も心配される事態は、停電時にすべての機能が使えなくなることでしょう。

ガスも使っている家庭なら、停電してもガスコンロ(一部を除く)、ガス小型給湯器、ガスストーブ、風呂釜などが使えます。そのため、電気の供給がなくても、温かいお湯でシャワーを浴びる、ガスコンロで調理するなどの行為が可能です。

しかし、災害時はオール電化住宅ならではの強みがあります。エコキュートに貯まったお湯や水はシャワーや蛇口から利用でき、当面の生活用水にも使えます。また、先述のとおり、停電からの復旧が早いことも、災害が起こったときに安心を感じさせるポイントです。

そうは言っても、家じゅうの機器が数日間使えなくなる状況を想定して、停電時の備えとして懐中電灯や携帯ラジオなどの備えはしておきましょう。

オール電化住宅でデメリットを抑えて節約するポイント

昨今は電気料金の高騰が続いており、家庭で使うエネルギーを電気に集約したオール電化住宅では、高額な電気料金にデメリットを感じる方が増えているようです。

電気料金高騰による影響は避けられませんが、オール電化住宅の電気料金を軽減できる対策はあります。

そこで、オール電化住宅でデメリットを感じさせない現実的な節電アイデアを紹介します。

世帯や地域によって異なる電気料金の平均や節約のアイデアは、以下の記事でも詳しく解説しています。

電気代の平均はいくら?世帯・地域・季節別の違いや節約ポイントを紹介

住宅の断熱性能を上げる

住宅の断熱性能を高めるほど外気の影響を受けにくくなるため、住宅内の温度が安定し、冷暖房の節電につながります。

断熱性能とは、住宅内の熱の移動を抑える性能を指します。家庭の電気料金のうち約3割が冷暖房に使われているため、断熱性能アップが電気料金を軽減すると期待されます。

住宅の断熱性能を上げるには、次のようなアイデアが考えられます。

  • 二重ガラスや樹脂製のサッシなどによって、窓の断熱性能を高まる
  • 厚手のカーテンや外付けのブラインドなどで、住宅内への日差しや熱を遮る
  • 壁や床、天井に使われる断熱材をより厚く、性能の高いものへ変更する

最先端の省エネ住宅「ZEH」を検討する

これからマイホームを建てる、あるいは住み替える予定があるなら、「ZEH」住宅を検討するのもおすすめです。

「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」は「ゼッチ」とも呼ばれる高度な断熱性能を持つ住宅で、効率的な断熱設備による省エネ、太陽光発電によるエネルギー産出を実現し、家庭でのエネルギー収支ゼロまたはマイナスを可能とします。

オール電化は、ZEH住宅としての機能を達成する手段として広く採用されています。

国は2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、2030年度以降の新築住宅でのZEH水準の確保を推進しています。そのため、今後はZEH住宅が標準的な住宅となり、オール電化住宅の普及はさらに進むと考えられます。

太陽光発電や蓄電池を設置する

ガスの基本料金がなくなる、電力会社のプランによっては電気料金を軽減できるなど、光熱費ダウンが期待されるオール電化住宅ですが、昨今の電気料金高騰で節約効果を実感しにくくなっています。

電気料金を抑えたいなら、太陽光発電や蓄電池の導入を検討しましょう。

太陽光発電で生じた電力を自家消費すると、電気料金を下げられます。さらに、生じた電力を貯められる蓄電池を併用すれば、天気の悪い日や夜間でも自家消費が可能です。節電に役立つだけではなく、災害時の停電にも備えられるメリットもあります。

ただし、太陽光発電と蓄電器の設置には高額な初期費用がかかり、経済産業省のデータによると、2024年における住宅用の太陽光発電の設置費用は28.6万円/kWとなっています(※1)。導入後の節電効果と照らし合わせながら、設置を検討しましょう。

太陽光発電の設置費用やメリット、デメリットは以下の記事で詳しく解説しています。

太陽光発電の設置費用は?相場や内訳、費用対効果を解説

太陽光発電のメリットとデメリットは?設置の判断材料をわかりやすく解説

(※1)出典:経済産業省 調達価格等算定委員会「令和7年度以降の調達価格等に関する意見」

家電や電気機器の設定を見直す

同じオール電化住宅でも、専用機器の使い方次第で電気料金の節約になります。

例えば、エコキュートには「省エネモード」や「おまかせモード」「節約モード」などと呼ばれる節電に適したスペックが備わっています。日頃の使い方から、使う時間や必要な湯量を予測してムダのない給湯を行うもので、設定するだけで自然と節電できるでしょう。

ほかにも、エコキュートには節電につながる以下のような様々な使い方があります。

  • 「自動保温」機能を解除して、温度を上げたいときはその都度「足し湯」を活用する
  • 旅行などで長期不在する場合は「使用休止」設定で、お湯の沸き上げを停止しておく
  • 夜間など使わないときは、リモコンの表示を消して待機電力を軽減する

また、オール電化住宅の専用機器に限らず、家電の使い方も見直しましょう。特に電気料金のかかるエアコンは、設定温度を1℃上げ下げするだけでも節電になります。

オール電化住宅を検討中なら電力会社やプランの見直しも進めよう

オール電化住宅を検討するにあたって、電気料金がどれだけ上がるかを気にする方も多いでしょう。ガスの基本料金がなくなるなど、光熱費を電気に集約することで節約のメリットはあっても、電気料金が高騰している今、光熱費の上昇を懸念する声が多いようです。

そこで、電力会社やプランを見直して、電気料金の根本的な節約を目指す方法もおすすめです。

電力自由化がはじまって以来、様々なプランやサービスを提供する新電力が増えています。電力会社やプランによって、基本料金の有無や電気料金など料金体系が異なります。

そのため、ご自身のライフスタイルや希望に応じた電力会社やプランを選ぶと、無理なく節約につながると期待されます。

電力自由化の概要、電力会社の選び方や切り替え方法は、以下の記事でも詳しく解説しています。

電力自由化とは?メリット・デメリットや電力会社の選び方を解説

まとめ

まとめ

オール電化住宅は、光熱費を電気に一元化することで家計管理に役立つほか、ガスや火を使わないため安全な暮らしにもつながります。また、停電しても復旧が早いため、災害時にも不自由を感じる期間は少ないでしょう。

ただし、電気料金が高騰している今、オール電化住宅の電気料金が気になる方も増えているようです。住宅の断熱性能を上げる、太陽光発電や蓄電池を導入するなどの方法のほか、電力会社やプランの見直しも節電につながると期待されます。

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大岩 俊之(おおいわ としゆき)

家電製品総合アドバイザー。スマートマスター。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。