洗濯機の電気代はタイプと乾燥方式で異なる

洗濯機には、大きく「縦型」と「ドラム式」の2つのタイプがあり、洗濯の仕組みや電気代が異なります。また、洗濯乾燥機の場合、乾燥方式によっても電気代に違いが生まれます。

洗濯機にかかる電気代を理解するために、まずはそれぞれの特徴を把握しましょう。

洗濯機のタイプは「縦型洗濯機」と「ドラム式洗濯機」

縦型洗濯機とドラム式洗濯機の主な特徴は、それぞれ以下のとおりです。

項目 縦型洗濯機 ドラム式洗濯機
洗濯の仕組み 洗濯機の底の羽を回転させ、洗濯物同士をこすりあわせて汚れを落とす ドラムを回転させ、洗濯物をたたき洗い・もみ洗いする
主な特徴
  • 泥などの固形汚れに強い
  • ドラム式と比べて衣類の傷み・からみが多い傾向がある
  • 少ない水量で洗える
  • 皮脂汚れに強い
  • 衣類の痛み・からみを抑えやすい
  • 本体価格が高め

一般的に、ドラム式洗濯機は本体価格が高めですが、電気代・水道代を抑えやすい傾向があります。なお、洗浄力は縦型洗濯機とドラム式洗濯機で大きく変わりません。

ドラム式洗濯機の電気代については以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

ドラム式洗濯機の電気代はどれくらい?節電方法や選び方も解説

洗濯機のタイプは「縦型洗濯機」と「ドラム式洗濯機」

乾燥機能付き洗濯機(洗濯乾燥機)の乾燥方式は、大きく「ヒーター式」と「ヒートポンプ式」の2種類です。

ヒーター式 ヒーターで温めた空気を衣類に当てて乾燥する方式
ヒートポンプ式 ヒーターを使わず、湿気を含んだ空気を除湿して低温乾燥する方式

ヒーター式は、ヒートポンプ式と比べて電気代が高くなる乾燥方式です。また、乾燥時に発生した水蒸気を水で冷却して排水するため、水道代もかかります。

一方、ヒートポンプ方式はヒーターや水を使用しないため、省エネ・節水が可能です。

なお、縦型洗濯乾燥機の一般的な乾燥方式はヒーター式で、ドラム式洗濯乾燥機にはヒーター式とヒートポンプ式があります。

洗濯機の電気代はいくら?タイプ別に比較

洗濯機の電気代は、洗濯のみであれば1回あたり2~3円程度です。ただし、乾燥機能を使う場合は洗濯機のタイプと乾燥方式によって電気代が大きく変わります。

この章では、洗濯機にかかる電気代の計算方法と目安を紹介します。

洗濯機の電気代の計算方法

洗濯機の1回あたりの電気代は、以下の式で算出できます。

消費電力量(kWh)×電気代単価(円/kWh)

消費電力量は消費電力に運転時間を乗じたもの、つまり、運転する際に消費する電力量のことです。

電気代単価は1kWhあたりの電気代のことで、電力会社や料金プランによって異なるため、電力会社のマイページなどで確認しましょう。本記事内では、31円/kWh(公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価)として試算します。

なお、1kWhあたりの電気代の目安については、以下の記事でも詳しく解説しています。

1kWhあたりの電気代はいくら?電気代の内訳や節電方法を解説

【洗濯のみ】洗濯機の1回あたり・1カ月あたりの電気代

洗濯機で洗濯した場合の1回あたり・1カ月あたり(1日1回・30日間で試算)の電気代の目安は、以下のとおりです。なお、縦型洗濯乾燥機の消費電力を110Wh、ドラム式洗濯乾燥機の消費電力を75Wh(ヒートポンプ式)・80Wh(ヒーター式)と仮定して試算しています。

区分 消費電力量 1回あたりの電気代の目安 1カ月あたり(1日1回・30日間)の電気代の目安
縦型洗濯乾燥機 110Wh 約3.41円 約102.3円
ドラム式洗濯乾燥機
(ヒートポンプ式)
75Wh 約2.33円 約69.9円
ドラム式洗濯乾燥機
(ヒーター式)
80Wh 約2.48円 約74.4円

洗濯のみの場合、それほど電気代の負担は大きくないことが分かります。

【洗濯+乾燥】洗濯機の1回あたり・1カ月あたりの電気代

次に、洗濯機を洗濯~乾燥まで稼働した場合の1回あたり・1カ月あたりの電気代の目安を紹介します。

区分 消費電力量 1回あたりの電気代の目安 1カ月あたり(1日1回・30日間)の電気代の目安
縦型洗濯乾燥機 2200Wh 約68.2円/回 約2,046円
ドラム式洗濯乾燥機
(ヒートポンプ式)
870Wh 約26.97円/回 約809.1円
ドラム式洗濯乾燥機
(ヒーター式)
1,880Wh 約58.28円/回 約1,748.4円

洗濯機は乾燥時に多くの電力を消費するため、洗濯のみの場合と比べて電気代が高くなります。また、洗濯機のタイプ・乾燥方式によって消費電力量が異なるため、電気代にも大きな差が生じます。

なお、洗濯機の乾燥機を使う場合と、浴室乾燥機で乾燥する場合の電気代には大差がありません。洗濯乾燥機と浴室乾燥機の電気代の比較について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

浴室乾燥機にかかる電気代は?使い方による消費電力の違いと節約のポイントを紹介

洗濯機の水道代はいくら?

洗濯1回あたりの水道代の目安は、標準使用水量をもとに計算できます。

標準使用水量×水道代単価(円/m³)

たとえば、標準使用水量が80Lの場合、1回あたりの水道代の目安は20.96円と求められます。

80L÷1,000=0.08 m³
0.08 m³×262円/m³(※1)=20.96円

ここでは、縦型洗濯乾燥機の標準使用水量を115L、ドラム式洗濯乾燥機の標準使用水量を83Lと仮定し、洗濯1回あたり・1カ月あたり(1日1回・30日間で試算)の水道代を試算しました。

項目 1回あたりの水道代の目安 1カ月あたり(1日1回・30日間)の水道代の目安
縦型洗濯乾燥機 約30.13円 約903.9円
ドラム式洗濯乾燥機 約21.75円 約652.5円

このように、縦型洗濯乾燥機とドラム式洗濯乾燥機では、ドラム式の方が水道代を抑えられる傾向があります。ただし、上記は一例であるため、あくまでも目安のひとつとして参考にしてください。

(※1)一般社団法人 日本電機工業会調べ(2023年7月現在)

洗濯機の電気代を節約するポイント

洗濯機の電気代を節約するポイント

洗濯機の電気代は、縦型・ドラム式や乾燥方式によって変わります。また、使い方の見直しによっても電気代の節約が可能です。

  1. まとめ洗いで洗濯回数を減らす
  2. 洗剤を入れすぎない
  3. 乾燥フィルターをこまめに掃除する
  4. 自然乾燥を併用する
  5. 洗濯コースを使い分ける
  6. 最新の洗濯機に買い替える
  7. 電力会社・料金プランを見直す

①まとめ洗いで洗濯回数を減らす

少ない量で毎日洗濯するよりも、なるべくまとめて洗い、洗濯回数を減らした方が電気代・水道代を節約できます。

資源エネルギー庁によると、定格容量(洗濯・脱水容量6kg)の4割を入れて洗う場合と、8割を入れて洗う回数を半分にした場合を比較すると、後者は年間約180円の省エネ・年間約4,360円の節水になります(※2)。

ただし、洗濯物を入れすぎると回転が悪くなり、洗浄力が低下します。まとめ洗いする際は、洗濯機の定格容量の7~8割を目安にしましょう。

また、乾燥する際もなるべくまとめることで節約になりますが、洗濯時と同様、洗濯物の入れすぎには注意が必要です。

(※2)出典:経済産業省「無理のない省エネ節約」

②洗剤を入れすぎない

洗濯物の汚れは、洗剤の量が多いほど落ちやすくなるわけではありません。洗剤を落とすためにすすぎの時間が長くなり、余計な電気代・水道代につながるため、洗濯物の量に応じて適量の洗剤を入れましょう。

また、「洗剤自動投入機能」付きの洗濯機を選ぶのも手段の一つです。適量の洗剤を自動で投入してくれるため、洗剤の使いすぎを防止でき、余計な電力の消費も抑えられます。手動で洗剤を入れる必要がないため、洗濯の手間・負担も軽減するでしょう。

③乾燥フィルターをこまめに掃除する

乾燥フィルターが目詰まりすると、乾燥時間が長くなり、余計な電気代がかかります。乾きムラや故障の原因になることもあるため、こまめにお手入れしましょう。

お手入れ方法が誤っているとフィルターが破れる可能性もあるため、取扱説明書などで確認し、正しい方法でお手入れすることが大切です。

④自然乾燥を併用する

洗濯乾燥機は、洗濯時よりも乾燥時に多くの電力を消費します。時間があるときは自然乾燥を併用し、なるべく乾燥機の稼働時間を減らすことが節約のポイントです。

資源エネルギー庁によると、8時間の自然乾燥後、未乾燥のものを補助乾燥した場合、乾燥機のみで乾燥させる場合(2日に1回使用)と比べて年間約1万2,230円の節約が可能です(※3)。

(※3)出典:経済産業省「無理のない省エネ節約」

⑤洗濯コースを使い分ける

汚れの程度などに応じて洗濯コースを使い分けることで、電気代や水道代を節約できる可能性があります。

例えば、パジャマや肌着などの汚れがひどくない洗濯物や、少量の洗濯には、「お急ぎコース(スピードコース)」を活用するのがおすすめです。軽い汚れを短時間で洗濯するため、消費電力を抑えられます。

一方、泥などで汚れがひどい場合は、お急ぎコースで洗濯すると十分に洗浄できない可能性があります。洗濯物の状態に応じて、適したコースを選択しましょう。

⑥最新の洗濯機に買い替える

古い洗濯機を長い期間使っている方は、最新機種に買い替えるのも方法の一つです。洗濯機の省エネ性能は年々向上しているため、買い替えによって電気代の負担を軽減できる可能性があります。

また、縦型洗濯乾燥機を使っており、乾燥機能を頻繁に使う方は、ドラム式洗濯乾燥機に買い替えると電気代を抑えやすいでしょう。

⑦電力会社・料金プランを見直す

電気代の節約には、電力会社・料金プランの見直しも効果的です。

2016年の電力自由化以降、利用者が自由に電力会社を選べるようになり、様々な事業者が電力事業に参入しました。

セット契約による割引やポイントサービスなど、料金プラン・サービス内容が多様化しているため、家族構成や生活リズム、利用しているサービスなどに応じて選ぶと、電気代を節約できる可能性があります。

各電力会社が提供する料金シミュレーションなどを利用し、複数の電力会社・料金プランを比較・検討して選びましょう。

電力自由化については以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

電力自由化とは?目的やメリット・デメリット、電力会社の選び方を解説

電気代を節約するための洗濯機の選び方

電気代を節約するための洗濯機の選び方

電気代を節約するためには、洗濯機の選び方も重要です。買い替えを検討している方、洗濯機の電気代を抑えたい方は、以下のポイントに着目して選びましょう。

  1. 消費電力量を確認する
  2. 人数や洗濯量に適したものを選ぶ
  3. ヒートポンプ式のドラム型洗濯機を選ぶ
  4. 省エネ機能付きの洗濯機を選ぶ

①消費電力量を確認する

洗濯機は、トップランナー制度の対象ではないため、店頭などで表示されている省エネラベルで省エネ性能を比較できません(※4)。各メーカーのホームページやカタログ、取扱説明書などを確認し、なるべく消費電力量(消費電力に時間をかけたもの)が小さいものを選びましょう。

また、洗濯機の節約を考える際、水道代も重要な項目の一つです。消費電力量とあわせて、標準使用水量も確認しましょう。

(※4)トップランナー制度とは、省エネ機器の普及を促進するための制度で、家電製品などの省エネ基準を、機器ごとに、現在商品化されている製品のうち最も優れている機器の性能以上にするものです。

②人数や洗濯量に適したものを選ぶ

容量の大きい洗濯機ほど消費電力も大きくなる傾向があるため、家族の人数や洗濯量に適したものを選ぶことが重要です。

1日の洗濯量の目安は、1人約1.5kgです。したがって、少なくとも洗濯・脱水容量が「1.5kg×家族の人数」以上のものを選びましょう。

前述のとおり、毎日洗濯するよりもまとめ洗いして洗濯回数を減らした方が電気代を抑えられます。また、毛布や布団などの大物洗いも考慮し、やや大きめの容量を選ぶのがおすすめです。

区分 洗濯・脱水容量の目安
1~2人暮らし 6~7kg程度
ファミリー 8kg以上

なお、洗濯乾燥機の場合、洗濯・脱水容量と乾燥容量が異なる点にも注意が必要です。

③ヒートポンプ式のドラム型洗濯機を選ぶ

ドラム型洗濯機は、縦型洗濯機と比べて本体価格が高めです。しかし、省エネ性(節電・節水)が高く、長期的に見るとコストを抑えやすい傾向があります。

また、乾燥方式がヒートポンプ式のドラム式洗濯乾燥機は、ヒーター式と比べて電気代を抑えられます。

④省エネ機能付きの洗濯機を選ぶ

近年の洗濯機は、センサーやAIなどを活用した省エネ機能が充実しています。以下は省エネ機能の一例です。

  • 水温が高いときに自動で洗濯時間を短縮する
  • 洗剤がすすぎやすい場合にすすぎの回数を減らす
  • 衣類から出る水分量が少ない場合に自動で脱水時間を短縮する
  • 衣類の量にあわせて水位を調整する

AIなどを活用した洗濯機は設定を任せることができるため、無駄な電力の消費を抑えやすいだけでなく、時短にもつながります。

まとめ

洗濯機1回あたりの電気代の目安は、洗濯のみなら2~3円程度、洗濯+乾燥の場合は25~70円程度です。また、1回あたり20~30円程度の水道代がかかります。

ただし、実際の電気代は、洗濯機の種類や乾燥方式などによっても異なります。一般的に、縦型洗濯機やヒーター式の洗濯乾燥機は電気代が高くなる傾向があります。まとめ洗いで洗濯回数を減らすなど、使い方を見直して電気代の負担を抑えましょう。

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大岩 俊之(おおいわ としゆき)

家電製品総合アドバイザー。スマートマスター。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。