プロパンガスの料金は高い?都市ガスより高くなる理由や節約方法を解説
プロパンガスを使っていて、「料金が高い」と感じる方も多いかもしれません。
実際のところ、プロパンガスの料金は都市ガスに比べると割高な傾向があります。さらに、昨今の燃料費高騰の影響もあり、プロパンガスを使う家庭のガス料金は、家計へ負担を与える一因になっているとも考えられます。
本記事では、プロパンガスの平均的な料金や都市ガスに比べて料金が高いとされる理由、効率的な節約方法などを解説します。あわせて、電力会社やプランの見直しで、光熱費全体をコストダウンする考え方を紹介します。
プロパンガス料金は平均どれくらい?
都市ガスより割高とされるプロパンガスですが、毎月どれくらいの料金がかかっているのでしょうか。まずは、プロパンガス料金の平均を紹介します。
プロパンガス料金は1カ月平均8,000円ほど
経済産業省「家庭用液化石油ガス市況調査(速報版)」によると、2024年12月27日時点の家庭向けプロパンガスの小売価格は、5㎥あたり平均5,612円となっています(※1)。
| エリア | 5㎥あたりのプロパンガス料金 |
|---|---|
| 全国 | 5,612円 |
| 北海道 | 6,702円 |
| 東北 | 6,078円 |
| 関東 | 5,242円 |
| 中部 | 5,547円 |
| 近畿 | 5,476円 |
| 中国 | 5,934円 |
| 四国 | 5,471円 |
| 九州・沖縄 | 5,605円 |
一般家庭で使われるプロパンガスの使用量は1カ月あたり平均7㎥ほどとされていることから、「5,612円×1.4=7,857円」が家庭におけるプロパンガス料金のひとつの目安となるでしょう。
ただし、お住まいの地域や家族構成など、プロパンガスの使用量は環境や条件によって変わります。先のデータで言えば、同じ日でも、北海道は平均6,702円、近畿地方の平均5,476円と、およそ1,200円の違いが出ています。
プロパンガス料金は年々上昇しており、使用量は変わらなくても、今後料金が上がる可能性もあります。実際、10㎥あたりの小売価格を見ると、2021年8月の最低平均価格は7,996円であるのに対して2024年10月は9,115円と、1割ほど上昇しています(※2)。
(※1)出典:経済産業省資源エネルギー庁「家庭用液化石油ガス市況調査(速報版)」
(※2)出典:経済産業省資源エネルギー庁「家庭用LPガス小売価格の推移」
プロパンガスは都市ガスより本当に高い?
ガスには、日本全国で広く供給されるプロパンガスのほか、ガス管の敷設された都市部を中心に供給される都市ガスもあります。一般的に、「プロパンガスが高い」とされるのは、比較される都市ガスとの料金差によるものです。
総務省統計局「家計調査(2024年度)」によると、3人家族で使われるガス料金の平均は5,121円となっています(※3)。
| 世帯人数 | ガス料金の平均 |
|---|---|
| 平均 | 4,109円 |
| 単身者 | 3,056円 |
| 2人家族 | 4,497円 |
| 3人家族 | 5,121円 |
| 4人家族 | 5,015円 |
| 5人家族 | 4,284円 |
上記データには都市ガスとプロパンガスの両方が含まれているため、先述したプロパンガス料金の平均5,612円(使用量5㎥)を考えると、プロパンガスは都市ガスよりも割高であると推測できます。
(※3)出典:総務省統計局「家計調査(2024年)」
プロパンガスが都市ガスの料金より高い理由
ここからは、なぜプロパンガス料金は高いのか、考えられる理由を解説します。
ガス事業者が料金を自由に設定できる
都市ガスは、経済産業省から認可を受けた料金設定を採用することが決まっています。そのため、どの事業者と契約しても、ガス使用量に応じた料金を支払うことになります。
一方、プロパンガスには法律上の規制はなく、事業者が独自に決められる自由料金です。公共料金の都市ガスとは異なり、事業者ごとに差があることもプロパンガスの料金に影響しているようです。
なお、2017年のガス自由化によって、都市ガスも事業者やサービスを自由に選べるようになり、今では都市ガスも契約先によって料金差が生じますが、プロパンガスほどの料金のバラつきは見られません。
個別に供給コストがかかる
敷設されたガス管から供給される都市ガスは、原則として、「基本料金」にガス使用量に応じた「従量料金」を加算したわかりやすい料金設定です。
しかし、プロパンガスを利用するには、家庭へガスボンベを配送・設置してもらう必要があります。こうした各家庭へのガスボンベの配送・設置にかかる供給コストが、プロパンガス料金を高くする原因のひとつと考えられます。
ほかにも、家庭ごとにガスボンベの使用状況や環境が異なるため、点検や修繕などの管理費も個別に必要です。
ガスボンベの設置や配送などにかかる料金は古くからの慣習による部分が大きく、なかには料金設定がわかりにくい事業者もあります。
設備費などのコストを含む可能性がある
プロパンガス事業者のあいだでは、長年、ガスボンベの利用に必要な機器の無償貸付(貸付配管)と呼ばれる不透明な商慣習が続いてきました。
機器の無償貸付(貸付配管)とは、たとえば、集合住宅のオーナーに機器を無償で貸し出す一方で、住民からは機器の利用料を上乗せしたガス料金を請求するなどの行為です。
しかし、2024年4月に事業者による無償貸与を禁止する省令の改正が実施されており、プロパンガスの料金設定は以前より明確なものへと変化しています。
とは言え、プロパンガスは事業者が自由に料金設定できる点に変わりありません。そのため、ガスボンベなどの供給機器に関連したコストは事業者間で差が出やすく、事業者が違っても価格差の少ない都市ガスに比べると、料金が割高になる一因とされます。
事業者間で競争が起こりにくい
実はプロパンガス業界の自由化(規制緩和)は都市ガスより早く、1997年に実施されています。都市ガスと同じように、消費者はプロパンガス事業者をいつでも自由に選べるのですが、実際には都市ガスほど自由化が浸透しているとは言えません。
自由な選択が浸透しづらい背景には、プロパンガス事業者から貸し出されているガス供給設備の存在だとの指摘があります。事業者を変更するには、貸与された機器の返却が必要なため、手間や負担を考えて事業者を変えない消費者が多いようです。
プロパンガスは全国に広く普及しており、事業者数もたくさんありますが、そのなかには既存事業者の関連会社も多数含まれています。契約先を変えるつもりが、結局のところ同じ料金体系の事業者と契約している可能性もあります。
このように、消費者に事業者を変える考えが浸透していない、既存事業者の関連会社が多いなどの理由から、料金の違いによる顧客獲得競争が起こりにくいと思われます。
プロパンガスの料金を計算する方法
プロパンガス料金は事業者ごとに異なりますが、料金の計算方法は二部料金制・三部料金制・最低責任料金制の大きく3つに分かれます。
そこで、それぞれの計算方法とプロパンガス料金の計算例を具体的に紹介します。
- 基本料金2,035円+従量料金649円 × 7㎥(4,543円)= 6,578円
計算の結果、この事業者のプロパンガス料金は6,578円とわかります。
プロパンガスと都市ガスで二部料金制の料金はどれくらい違う?
定額の基本料金とガスの使用量に応じた従量料金による二部料金制は、多くの都市ガスでも採用されています。そこで、同じ二部料金制で、プロパンガスとの料金差がどれくらいあるのか、ある都市ガス事業者の料金設定を参考に計算してみます。
家庭での1カ月あたりの平均的な都市ガス使用量を16㎥として、都市ガスの料金を計算します。
- 基本料金759.00円+従量料金145.31円×16㎥=3,083.96円
多くの事業者が「1円以下を切り捨てる」と規定していることから、この事業者の都市ガス料金は3,083円となります。先ほどのプロパンガス料金6,578円と比べると、プロパンガス料金は都市ガスの約2倍にもなります。
2 三部料金制
三部料金制は、固定の「基本料金」と毎月のガス使用量に応じた「従量料金」に加え、プロパンガスに必要な機器の利用料金などの「設備利用料」の3つの料金から構成される料金制度です。
二部料金制のプロパンガス事業者でも設備利用料は発生するため、設備利用料を加味した基本料金や従量料金が設定されています。
設備利用料は事業者による不透明な慣習が問題視されてきましたが、2024年4月の省令改正により、三部料金制の徹底や料金制度の透明化などが定められました。
設備利用料は、不要な場合は0円、毎月固定料金など、事業者ごとに扱いが異なります。
家庭でのプロパンガスの1カ月あたりの平均使用量を7㎥として、あるプロパンガス事業者の三部料金制を参考に料金を計算してみます。
- 基本料金1,980円+従量料金671円 × 7㎥+ 設備料金200円 =6,877円
計算の結果、この事業者のプロパンガス料金は6,877円とわかります。
3 最低責任料金制
プロパンガス事業者のほとんどは、二部料金制か三部料金制のいずれかです。しかし、中小規模のLPガス販売店や古くから営業している事業者のなかには、まれに最低責任料金制で料金を計算するところもあります。
最低責任料金制とは、一定量までのガス使用量(最低使用量)が固定の「基本料金」に含まれた料金制度です。
たとえば、最低使用量を5㎥とする最低責任料金制の場合、5㎥までは基本料金で使用できますが、5㎥を超えると使用量に応じた従量料金が適用されます。
ただし、基本料金に含まれる料金の範囲が不明瞭であることから、2025年の省令改正が施行されて以降、最低責任料金制は減少傾向です。
プロパンガスの料金を節約する方法
都市ガスより割高な料金になる可能性の高いプロパンガスですが、工夫次第で節約も可能です。そこで、今すぐ取り入れられるプロパンガス料金の節約方法を紹介します。
1 プロパンガス事業者を変更する
プロパンガスは事業者が独自に料金を設定しているため、同じガス使用量でも、事業者の変更でガス料金を抑えられる可能性があります。そこで、お住まいのエリアで利用可能な事業者を比較・検討して、リーズナブルな事業者への切り替えるのもおすすめです。
プロパンガスは、ガスボンベを設置できる場所なら全国どこでも利用できるため、事業者数が都市ガスに比べて非常に多くあります。実際、都市ガスは全国で200事業者ほどであるのに対し、プロパンガスの事業者数は2万以上だとされており、選択に困りません。
ただし、賃貸住宅の場合、建物の所有者や管理会社がガス事業者と契約することになるため、入居者が事業者を自由に選べないおそれもあります。そのため、切り替えが可能かどうか、大家さんや管理会社に事前に確認するように気を付けましょう。
2 ガスの使用量を抑える
プロパンガスにしても都市ガスにしても、支払う料金はガスの使用量に応じて増えていくため、ガスの使用量を抑えると節約になります。
ガスの使用量を抑えるには、日頃のガスの使い方を見直すことが大切です。ガス料金の節約につながる具体的なアイデアは、以下の記事で詳しく解説しています。
ガス代節約方法22選!すぐできるキッチンやお風呂のガス代節約ポイントを紹介
3 都市ガスへ切り替える
都市ガスの供給エリアにお住まいなら、プロパンガスから都市ガスへの切り替えが可能です。ガスの使用量にもよりますが、ガスボンベの配送料などがかからないため、都市ガスへ切り替えるとガス料金を抑えられる可能性が高いでしょう。
ただし、都市ガスの供給エリアでも、切り替えるには自宅の敷地内へガス管を引き込む工事と工事代が必要です。
引き込み工事の主な流れは次のとおりです。
- ガス工事の事前調査
- ガス工事の認可申請とプロパンガスの解約手続き
- 道路でのガス管引き込み工事
- 自宅敷地内のガス管引き込み工事
- 自宅での都市ガスへの切り替え
自宅敷地内へのガス管引き込みにかかる工事費用は、おおむね5~20万円の範囲内で、住戸の状況により異なります。平均すると10~16万円ほどとなります。
都市ガスの供給エリアを把握されていないなら、まずはエリアの確認からはじめましょう。
光熱費の高さが気になったら電気料金も見直そう
プロパンガスの料金が気になりはじめたら、光熱費全体をいっしょに見直しましょう。
ガスと同じように電力も自由化しているため、電気に関しても、様々なプランやサービスを提供する新電力(新たに参入してきた電力会社)をいつでも自由に選択できます。
電力会社やプランごとに基本料金の有無や電気料金の単価が異なるため、電力会社を変えるとこれまでと生活を変えなくても節電できる可能性があります。プロパンガスを見直すタイミングで電力会社やプランも見直して、ご自身の希望にあった契約を検討しましょう。
また、新電力のなかには、電気と都市ガスをセットの申込みで、おトクな特典や料金の割引を受けられる電力会社もあります。光熱費全体を抑えるのに効果的なため、都市ガスへの切り替えとともにぜひ検討してみてください。
電力自由化の概要や、電気と都市ガスのセット申込みのメリット・デメリットは、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
プロパンガスは、ガスボンベを設置できる場所ならどこでも利用できるため、日本国内に広く普及しています。
ただし、事業者が自由に料金設定できる、ガスボンベの配送や設置にコストがかかる・家庭ごとに機器の契約や保守が必要になるなどの理由から、都市ガスよりも高値の傾向がみられます。
プロパンガスの料金が高いと感じたら、事業者の変更やガス使用量の節約、都市ガスへの切り替えなどを検討しましょう。
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