一人暮らしにかかるガス代の平均

総務省統計局「家計調査(2024年)」によると、一人暮らしにかかるガス代は1カ月あたり平均3,056円です(※1)。

ただし、ガスの種類や契約するガス会社、お住まいの地域、季節によってガス代は変動するため、平均額は目安にとどめておくと良いでしょう。

上記を踏まえたうえで、一人暮らしにかかる1カ月あたりのガス代の平均額を、季節別・地域別にさらに詳しく紹介します。

なお、ガス代を含めた一人暮らしの光熱費の平均については、以下の記事で詳しく解説しています。

一人暮らしの光熱費の平均はいくら?電気・ガス・水道料金の内訳や節約方法を解説

(※1)出典:総務省統計局「家計調査(2024年度)」

【季節別】一人暮らしにかかるガス代の平均

季節別の一人暮らしにかかるガス代の平均額は以下のとおりです(※2)。

季節(月) 1カ月あたりのガス代の平均額
冬(1~3月) 3,884円
春(4~6月) 3,068円
夏(7~9月) 2,209円
秋(10~12月) 2,471円

1~3月の寒い季節にガス代が増えるのは、暖房器具や給湯器を使う機会が増えるためだと推測できます。

(※2)出典:総務省統計局「家計調査(2024年度)四半期」

【地域別】一人暮らしにかかるガス代の平均

次に、お住まいの地域別に、一人暮らしにかかるガス代の平均額をみてみましょう(※3)。

地域 1カ月あたりのガス代の平均額
北海道・東北地方 3,566円
関東地方 3,074円
北陸・東海地方 2,877円
近畿地方 3,076円
中国・四国地方 2,790円
九州・沖縄地方 2,883円

冬に気温が低く、暖房を使う機会が多いと考えられる地域では、ガス代も高くなる傾向がわかります。

厳しい冬で有名な北海道・東北地方と穏やかな気候で知られる中国・四国地方では、ガス代の平均額に1,700円以上の差が出ています。

(※3)出典:総務省統計局「家計調査(2024年度)地方別」

ガス代の計算方法

家庭で使われるガスの種類には、都市ガスとプロパンガスがあります。同じガスであっても主原料や性質、家庭への供給方法などに違いがあり、一人暮らしにかかるガス代は、ガスの種類によっても変わる可能性があります。

都市ガスはメタンを主成分とする天然ガスです。道路下のガス管を通じて家庭へ供給されるガスで、その名のとおり、人口の多い都市部で普及しています。経済産業大臣の認可を必要とする公共料金で、事業者間でのガス料金の差はほとんどありません。

プロパンガスはプロパンやブタンを主成分とする液化石油ガスで、事業者に配送されるガスボンベに充填されて各家庭へ供給されます。ガスボンベを配送・設置できればどんな場所でも使えるため、全国に広く普及しています。

また、都市ガスとは違い、プロパンガス料金は事業者が独自に決める自由料金のため、事業者間で料金差が生じやすい傾向があります。

それでは、都市ガスとプロパンガスのガス代にはどれほどの違いがあるのか、計算方法と具体的な計算例を紹介します。

都市ガス代の計算方法

都市ガスの料金は「二部料金制」で計算されます。二部料金制とは、毎月の使用量に応じた固定の「基本料金」と、1㎥あたりの単位料金に当月のガス使用量を掛けあわせた「従量料金」を合算する計算方法です。

  • 都市ガス代の計算式:基本料金+従量料金(単位料金×ガス使用量)

基本料金や単位料金の設定はガス事業者により異なりますが、都市ガスは公共料金のため、事業者間で大きな料金差はみられません。

一人暮らしの都市ガス代の計算例

一人暮らしの1カ月あたりのガス使用量を14㎥として、東京ガスの料金設定をもとに計算してみましょう(※4)。ただし、単位料金は原料費調整額により変動します。

料金表 1カ月のガス使用量 基本料金 基準単位料金
A 0~20㎥ 759.00円 145.31円/㎥
B 20~80㎥ 1,056.00円 130.46円/㎥
C 80~200㎥ 1,232.00円 128.26円/㎥
D 200~500㎥ 1,892.00円 124.96円/㎥
E 500~800㎥ 6,292.00円 116.16円/㎥
F 800㎥超 1万2,452.00円 108.46円/㎥
  1. ガス使用量が14㎥であることから、Aの基本料金759.00円と従量料金145.31円/㎥を適用します。。
  2. 数値を先ほどの計算式に当てはめます。
    基本料金759.00円+従量料金145.31円/㎥×14㎥=2,793.34円
  3. 1円未満を切り捨てた当月の都市ガス代は2,793円となります。

(※4)出典:東京ガス「ガス料金表(一般料金契約)」

プロパンガス代の計算方法

プロパンガスの料金は、都市ガスと同じ「二部料金制」、二部料金制に設備利用料を加えた「三部料金制」、最低使用量までは固定料金を支払う「最低責任使用料金制」のいずれかで計算されるのが一般的です。

  • 二部料金制:基本料金+従量料金(単位料金×ガス使用量)
    都市ガスと同じ「基本料金+従量料金」で計算する方法で、プロパンガスの9割近くがこの方式を採用しています。
  • 三部料金制:基本料金+従量料金(単位料金×ガス使用量)+設備利用料
    ガスボンベを使うのに必要な機器のレンタル料、ガスボンベの配送・設置料などのコストとして設備利用料を徴収する料金制度です。
  • 最低責任使用料金制:固定の基本料金+従量料金(単位料金×ガス使用量)
    一定の使用量までが「最低使用量」で固定使用料金がかかり、決められた使用量を超えると「従量料金(単位料金×ガス使用量)」が加算されます。

三部料金制で加算される設備利用料は、二部料金制・最低責任使用料金制では、基本料金や従量料金に含まれています。プロパンガス事業者によって計算方法が異なるため、計算前に確認しておきましょう。

一人暮らしのプロパンガス代の計算例

一人暮らしの1カ月あたりのガス使用量を6㎥として、都市ガスと同じ二部料金制を採用するプロパンガス事業者の料金設定をもとに計算してみましょう。ただし、単位料金は原料費調整額により変動します。

料金表 1カ月のガス使用量 基本料金 基準単位料金
A 0~5㎥ 2,761.00円 740.25円/㎥
B 5~10㎥ 2,761.00円 652.25円/㎥
C 10~15㎥ 2,761.00円 630.25円/㎥
D 15~25㎥ 2,761.00円 608.25円/㎥
E 25~50㎥ 2,761.00円 586.25円/㎥
F 50㎥超 2,761.00円 531.78円/㎥
  1. ガス使用量が6㎥であることから、料金表Bの基本料金2,761.00円と従量料金652.25円/㎥を適用します。
  2. 先ほどの二部料金制の計算式に当てはめます。
    基本料金2,761.00円+従量料金652.25円/㎥×6㎥=6,674.5円
  3. 1円未満を切り捨てた当月のプロパンガス代は6,674円となります。

一人暮らしでガス代を抑えたいときの節約方法

一人暮らしでガス代を抑えたいときの節約方法

一人暮らしでガス代を節約したいなら、ガスを使う暖房や給湯、ガスコンロなどの機器の使い方を工夫して、ガス使用量を減らすのが近道です。

それでは、一人暮らしでも今すぐ実践できるガス代の節約方法を紹介します。

1 シャワーヘッドを替える

一人暮らしだと、浴槽にお湯をためず、シャワーだけでバスタイムを済ませる日も珍しくないでしょう。

浴槽にお湯をためるのに比べると、シャワーだけで済ませた方が経済的だと思われがちですが、シャワーで使うお湯の量は意外と多く、わずか1分間のシャワーで約11~12Lものお湯を使うとの指摘があります。

シャワーから出る熱いお湯にもガス給湯器が使われています。そこで、おすすめなのがシャワーヘッドを節水タイプのものに替えることです。

節水タイプのシャワーヘッドは、お湯の勢いはそのままでも、一般的なタイプより使うお湯の量を減らせます。そのため、同じ時間シャワーを使っても自然と節水できるでしょう。その結果、ガス給湯器で沸かすお湯の量が減り、ガス代の節約につながります。

2 シャワーの使用時間を減らす

節水タイプのシャワーヘッドに替えるとともに、シャワーを使う時間そのものを減らす意識も大切です。

髪を洗うときや体を洗うときにはシャワーをこまめに止めるなど意識するだけで、シャワーの使用時間を減らせます。減らした時間がそのままガス代の節約になります。

浴槽にお湯をためてお風呂につかるときにも、ためるお湯の量をやや少なめの設定にすると、ガス代を減らすのに役立ちます。

お風呂にまつわる電気料金の知識や情報は、以下の記事で詳しく解説しています。

追い焚きの電気代はいくら?お湯の入れ直しとの比較や節約方法を解説

3 ガスコンロの炎をコントロールする

お湯を沸かすときなどガスコンロを使っていると、少しでも時短したい気持ちから火力を強火にしがちです。しかし、鍋底からはみ出した炎は鍋に熱を伝えられず、無駄なガス代になってしまいます。

ガスの無駄づかいを避けるために、ガスコンロを使用中は鍋底からはみ出さない範囲で炎をコントロールすると良いでしょう。

また、鍋に火をかけるときは、効率良く調理できるように、熱を逃さないようにフタを使うのがおすすめです。フタをして調理するだけで、ガス使用量を約11%減らせるとのデータもあります。

4 圧力鍋や無水鍋などを活用する

調理時間が長めの煮物などの料理をつくるときは、圧力鍋や無水鍋、保温鍋などを使い、加熱時間を短縮する工夫を取り入れましょう。こうした鍋がなくても、料理が煮立ったら、早めに火を消して弱火や予熱で調理するだけでもガス代を節約できます。

また、煮込む食材にひと工夫するのもおすすめです。たとえば、野菜はあらかじめ電子レンジでやわらかくしておき、ガス調理の時間を減らすなどの方法があります。

このように、できるだけガスコンロを使う時間を減らすように工夫すると、ガス代を下げられるだけではなく、調理にかかる時間も軽減できます。

5 給湯器の設定温度を下げる

キッチンで洗い物などにお湯を使うときには、ガス給湯器の設定温度を下げて、ガス代の節約を狙いましょう。

あるガス会社のデータによると、ガス給湯器の設定温度を40℃から37℃へ下げると、1日2回の食器の手洗いで約3円、ひと冬で約300円の節約になります。

また、ガス給湯器はガスコンロを使うより、効率良くお湯を沸かせます。そのため、ガス給湯器のお湯を使ってガスコンロで沸騰させる方法を取り入れることで、ガス使用量を抑えながらお湯を沸かせるでしょう。

使いたいときに必要な量のお湯を沸かすことも、効率的なガスの利用につながります。多めにお湯を沸かしても、結局ほとんど使わないのであれば、冷めていくお湯の分だけガス代に無駄が生じることになります。

6 ガスファンヒーターの使い方を工夫する

寒い季節はガスファンヒーターの使用によるガス代も気になるところです。ガスファンヒーターを使うときは、使用を控えて寒さをガマンするのではなく、設定温度を適温にすることが大切です。

環境省のデータでは、ガスファンヒーターの設定温度を1℃下げるだけでも、ひと冬で約1,320円のガス代を節約できるとのデータもあります。

ほかにも、次のような工夫でガス代を抑えられると期待できます。

  • お出かけ前や睡眠前には少し早めにスイッチを切る
  • 室内の熱循環を考えて、冷気の強い窓際に設置する
  • 体感温度を上げるために、部屋の湿度を適度に保つ
  • ガスファンヒーターの性能を維持するために、フィルター掃除をこまめにする

使わないときはこまめに消すことも、ガス代節約に欠かせない行動です。毎日の使用時間を1時間短くすると、ひと冬で2,000円超のガス代を節約できる可能性もあります。

一人暮らしのガス代が気になったら電力会社やプランの見直しもおすすめ

ガス代の節約を考えるなら、家計に占める割合が増え続けている電気料金の見直しも同時に進めるのがおすすめです。

便利な家電の増加や電気料金高騰などから、家計に占める電気料金の割合は年々増加傾向にあります。ガス代と同じ光熱費であり、毎日の生活に欠かせない支出だからこそ、コストの見直しで無駄を軽減しましょう。

電力自由化がはじまって以来、様々なプランやサービスを提供する新電力(新たに参入した電力会社)が増えています。電力会社やプランによって基本料金の有無や電気料金が異なるため、契約を変更すると、今までと同じ生活でも節電できる可能性があります。

また、都市ガスを利用している場合、電力会社の提供するガスとのセットプランを契約すると、おトクな割引料金が適用される可能性もあります。

ただし、電力会社の変更は原則として契約名義人しか行えません。賃貸物件やマンションで一人暮らしをしていて管理会社や大家さんが契約者の場合、ご自身の判断で電力会社を変更できない可能性があります。

また、マンション全体で一括して電気契約をしている場合は、ご自身で電力会社を変更できるか、管理組合に確認しておきましょう。

電力自由化の概要や、電気と都市ガスのセット申込みのメリット・デメリットは、以下の記事で詳しく解説しています。

電力自由化とは?メリット・デメリットや電力会社の選び方を解説

電気とガスをまとめるのはデメリットがある?メリットとあわせて解説

まとめ

まとめ

一人暮らしの生活にかかるガス代は、使っているガスの種類、お住まいの地域や季節などにより異なりますが、1カ月あたり平均約3,056円です。

家庭に供給されるガスには都市ガスとプロパンガスがありますが、ガス代のほとんどは、ガス使用量に応じた基本料金と従量料金で計算されます。ガスボンベの配送や設置などにコストのかかるプロパンガスの方が、都市ガスよりもガス代が高めの傾向です。

ガス料金を節約するには、シャワーや給湯器、ガスコンロなどの使い方を工夫するのがおすすめです。さらに光熱費全体を節約したいなら、ぜひ電力会社やプランも合わせて見直しましょう。

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新井 智美(あらい ともみ)

1級FP技能士・CFP

2006年11月 卓越した専門性が求められる世界共通水準のFP資格であるCFP認定を受けると同時に、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士1級を取得。2017年10月 独立。主に個人を相手にお金に関する相談及び提案設計業務を行う。個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス(、企業向け相談(補助金、助成金の申請アドバイス・各種申請業務代行)の他、資産運用など上記内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、執筆・監修業も手掛ける。