窓用エアコンの電気代は高い？壁掛けエアコンとの比較や節約方法を解説

窓用エアコンとは、窓に設置するタイプのエアコンのことで、「ウインドエアコン」とも呼ばれます。コンパクトさや設置の簡単さが特徴です。

一般的な壁掛けエアコンを設置できない場合や、転居が多く持ち運びに手間をかけたくない方などに適しています。

窓用エアコンと壁掛けエアコンの違い

窓用エアコンと一般的な壁掛けエアコンの主な違いは、以下のとおりです。

一般的な壁掛けエアコンは、部屋のなかに設置する「室内機」と部屋の外に設置する「室外機」に分かれており、配管でつながっています。

一方、窓用エアコンは室内機と室外機が一体になっています。そのため、設置の際に工事が必要な壁掛けエアコンに対し、窓用エアコンでは専用の工事が不要です。

窓用エアコンの主なメリットは、以下のとおりです。

• 簡単に取り付けられる
• 室外機を設置するスペースがいらない
• 引越しの際に手間がかからない

室外機を設置する必要がない窓用エアコンでは、壁掛けエアコンのような設置工事や壁穴が不要です。

そのため、エアコンの室外機を設置するスペースがない場合や、賃貸物件などで工事ができない場合でも使用できます。工事費がかからないため、初期費用を抑えたい方にも向いています。

また、比較的コンパクトで、室内機と室外機が一体になっていることから、持ち運びがしやすい点もメリットの一つです。引越しの際も手間がかからないため、転居が多い方も比較的利用しやすいでしょう。壁掛けエアコンと異なり、使わない時期は取り外して収納しておくことも可能です。

一方、窓用エアコンにはデメリットもあります。

• 大きな部屋を冷やすのには向かない
• 窓を施錠できない
• 音が大きく感じる場合がある

家庭用の壁掛けエアコンでは、6～30畳程度まで幅広く対応しています。しかし、窓用エアコンの対応畳数は概ね4～8畳程度であり、広い部屋を冷やすのには向いていません。

窓用エアコンを設置すると窓の施錠ができなくなるため、補助鍵を付けるなどの防犯対策も必要です。また、窓に設置する構造上、エアコン設置側の窓の開閉が制限されるため、日当たりや換気の面で不便に感じる場合があります。

さらに、室内機と室外機が一体型になっており、壁掛けエアコンと比べて音が室内に伝わりやすい点にも注意が必要です。動作音が気になる方は、静音性に優れた製品を選ぶと良いでしょう。

窓用エアコンの電気代の目安は、1時間あたり20円前後です。製品や使用状況、環境、契約している電力会社などによって異なるため一概にはいえませんが、長時間運転すると電気代が高くなりやすい傾向があります。

窓用エアコンにかかる電気代の計算方法や目安を詳しく見ていきましょう。

窓用エアコンの計算方法

窓用エアコンの電気代の目安は、消費電力をもとに計算できます。

消費電力（kW）×使用時間（h）×電気代（円/kWh）

消費電力（家電製品を動かす際に使われる電力）は、窓用エアコンのカタログや取扱説明書などで確認しましょう。

（円/kWh）とは、1kWh（1kWの電力を1時間消費したときの電力量）あたりの電気代の単価のことで、契約している電力会社やプランによって異なります。

記事内では、電気代の単価を31円/kWh（※1）と仮定して試算します。

なお、1kWhあたりの電気代や消費電力については、以下の記事でも詳しく解説しています。

1kWhあたりの電気代はいくら？電気代の内訳や節電方法を解説

消費電力の計算方法は？電気料金の求め方や節電方法も解説

（※1）公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価です。

窓用エアコンの1時間・1日・1カ月あたりの電気代

冷暖房兼用の窓用エアコンを例に、6畳の部屋での使用を想定した場合の電気代を試算してみましょう。1時間・1日（8時間）・1カ月（8時間×30日間）あたりの電気代の目安は、それぞれ以下のとおりです。

【50Hz】

（※）冷房時の消費電力640W、暖房時の消費電力630Wとして試算しています。

【60Hz】

（※）冷房時の消費電力755W、暖房時の消費電力750Wとして試算しています。

1時間あたりの電気代は20円前後、毎日8時間使用すると1カ月で5,000円前後であり、負担が小さいとはいえません。

なお、窓用エアコンには「冷暖房兼用」のほかに「冷房専用」の製品もあり、消費電力は冷房専用の方が低い傾向があります。

窓用エアコンの1年間あたりの電気代

1年あたりの電気代の目安は、期間消費電力量を使って求められます。期間消費電力量とは、エアコンを1年間使用した場合に消費する電力の目安です。

冷暖房兼用の窓用エアコンの期間消費電力量を1,316kWh、冷房専用の窓用エアコンの期間消費電力量を384kWhと仮定し、1年間あたりの電気代を試算すると、次のように求められます。

では、窓用エアコンと一般的な壁掛けエアコンの電気代に違いはあるのでしょうか。窓用エアコンの消費電力を冷房時640W・暖房時630W、壁掛けエアコンの消費電力を冷房時504W・暖房時482Wと仮定した場合、電気代はそれぞれ以下のとおりです（※2）。

【冷房時】

【暖房時】

また、窓用エアコンの期間消費電力量を1,316kWh、壁掛けエアコンの期間消費電力量を678kWhとした場合の1年間の電気代は、窓用エアコンが約4万796円であるのに対し、壁掛けエアコンは約2万1,018円と半分程度です（※3）。

実際の電気代は製品や使用状況などによって異なりますが、窓用エアコンは壁掛けエアコンと比較して電気代が高い傾向にあることが分かります。

（※2）壁掛けエアコンの消費電力は、冷房能力2.2kW（6畳）のエアコンの平均値をもとに試算しています。
出典：経済産業省 資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ電子版（2025年4月1日）」
（※3）壁掛けエアコンの期間消費電力量は、冷房能力2.2kW（6畳）のエアコンの平均値をもとに試算しています。
出典：経済産業省 資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ電子版（2025年4月1日）」

エアコンの電気代については、以下の記事でも詳しく解説しています。

エアコンの電気代はどれくらい？つけっぱなしは節約になる？計算方法や節電方法を解説

壁掛けエアコンより電気代が高くなりやすいのはなぜ？

窓用エアコンの電気代が高くなりやすい理由の一つとして、インバータが搭載されていない点が挙げられます。

インバータが搭載されている壁掛けエアコンは、運転開始直後に多くの電力を消費し、設定温度に達すると自動で穏やかな運転に切り替わります。

一方、窓用エアコンには一般的にインバータが搭載されておらず、手動で設定温度を変える、もしくは電源を切らなければなりません。自動で出力を制御できないため、余計な電力を消費しやすく、電気代が高くなる傾向があります。

特に、長時間つけっぱなしにする場合は、壁掛けエアコンの方が電気代を抑えやすいでしょう。

エアコンを長時間使用した際の電気代については、以下の記事でも詳しく解説しています。

エアコンを1カ月つけっぱなしにすると電気代はいくら？節電のコツも解説

窓用エアコンは、壁掛けエアコンと比べて電気代が高くなりやすいとお伝えしましたが、使い方の工夫などによって節約できる可能性があります。以下のポイントを意識してみましょう。

1. 直射日光が当たらないようにする
2. サーキュレーターや扇風機を併用する
3. 風量を調整する
4. フィルターをこまめに掃除する
5. 窓用エアコンの背面をふさがない
6. 電力会社やプランを見直す

1 直射日光が当たらないようにする

直射日光が当たると室温が上がりやすく、窓用エアコンの電気代が高くなる原因となります。遮熱カーテンなどを使用し、室温の上昇を抑えて冷房効率を高めましょう。

特に、窓用エアコンは窓に直接設置するため、本体に直射日光が当たると冷房効率が下がってしまいます。そのため、窓の外側にすだれを設置するなどの工夫が必要です。

2 サーキュレーターや扇風機を併用する

窓用エアコンと比べて消費電力が低い「サーキュレーター」や「扇風機」を併用するのも効果的です。

サーキュレーターを併用して室内の空気を循環させれば、冷房効果を高められます。設定温度を下げなくても快適さを維持しやすくなるため、消費電力を抑えることが可能です。

また、扇風機を体に直接当てて、体感温度を下げるのも方法のひとつです。

なお、サーキュレーターの電気代については、以下の記事でも詳しく解説しています。

サーキュレーターの電気代はどのくらい？扇風機との比較や節約ポイントを解説

3 風量を調整する

強風で長時間運転を続けると、電気代がかさむ原因となります。部屋が冷えてきたら弱風に切り替え、余計な電力の消費を抑えましょう。

風量の切り替えを手間に感じる方は、「自動」に設定するのも方法の一つです。風量を「自動」に設定していると、室温に応じて風量を自動で切り替えてくれます。また、タイマー機能などの省エネ機能が搭載されている場合は積極的に活用しましょう。

4 フィルターをこまめに掃除する

窓用エアコンのフィルターは、吸い込んだ空気中のほこりやゴミを取り除く役割をもちます。フィルターにほこりが詰まると冷房能力が低下し、余計な電力消費につながるため、こまめにお手入れしましょう。

なお、お手入れ方法は製品によって異なります。誤った方法で行うとフィルターが破れたり、枠が折れたりする可能性があるため、取扱説明書を確認し、正しい方法で行うことが大切です。

5 窓用エアコンの背面をふさがない

窓用エアコンの背面（温風の吹出口）に障害物があると内部に熱がこもり、冷房効率が低下します。放熱が妨げられる原因として、主に以下のケースが考えられます。

• 窓用エアコンの背面の近くに植木がある
• 窓用エアコンと壁の距離が近い
• 網戸を閉めている

直射日光を避けるために、すだれなどの日よけを使用する場合も、放熱が妨げられないように設置しましょう。

6 電力会社やプランを見直す

窓用エアコンは、長時間運転すると電気代がかさみやすく、使い方の見直しだけで十分な節約効果が得られるとは限りません。特に冷暖房機器は、使用を無理に控えようとすると体に負担がかかる可能性もあります。

窓用エアコンを含む冷暖房機器の電気代が気になる方は、使い方だけでなく、電力会社や料金プランの見直しも検討しましょう。

2016年に電力自由化がスタートして以降、電力会社や料金プランを消費者が自由に選択できるようになりました。電力会社によっては、割引やポイントサービスなどを取り入れている場合もあり、生活スタイルや利用しているサービスなどに応じて選ぶことで、毎月の電気代の負担を軽減できる可能性があります。

各電力会社が提供している料金シミュレーションを利用して電気代がどう変わるか試算し、ご自身にあったプランを選びましょう。

電力自由化については、以下の記事でも詳しく解説しています。

電力自由化とは？目的やメリット・デメリット、電力会社の選び方を解説

窓用エアコンは、窓に直接設置するタイプのエアコンです。専用の工事が不要で、壁掛けエアコンを設置できない場合も使用できる一方で、壁掛けエアコンと比べて電気代が高くなる傾向があります。

直射日光が当たらないようにする、風量を調整するなど、対策を行って電気代を節約しましょう。

また、電気料金を節約したい場合は、電力会社・料金プランを見直すのも効果的です。

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