蓄電池は元が取れない?設置コストと回収期間から費用対効果を解説
家庭の電気料金を節約する手段の一つとして、蓄電池の導入が注目されています。
しかし、いざ導入を検討しはじめると「蓄電池は元が取れない」といった意見を見聞きして、不安を抱く方もいるでしょう。なぜ、電気料金の節約に役立つはずの蓄電池が「元が取れない」と言われるのでしょうか。
本記事では、蓄電池の費用対効果や「元が取れない」とされる理由、コスト回収に役立つ知識、電気料金の節約に役立つ情報を紹介します。
蓄電池は「元が取れない」と言われる理由
蓄電池とは、電気を蓄えて必要なときに放電できる設備です。
太陽光発電と組み合わせれば、昼間の余剰電力を蓄えて夜間や雨の日も自家消費することが可能です。また、太陽光発電を設置していない家庭でも、電気料金単価の安い夜間に電力を蓄え、日中に使用すれば、電気料金の節約に効果的です。
太陽光パネルを設置していない家庭でも、使い方次第で電気料金を抑えることが可能です。さらに太陽光発電と組み合わせれば、売電と自家消費の両方が可能となるため、蓄電池は電気料金の節約効果が高いと期待されています。
しかし、「蓄電池は元が取れない」という意見があるのも事実です。主な理由として次のような事情が考えられます。
- 初期費用が高い
- 寿命がある
- メンテナンスの負担が増える
- 自家消費できる電力量に限度がある
- 補助金制度の利用がむずかしい
①初期費用が高い
「元が取れない」と言われる主な理由の一つが、蓄電池の導入にかかる初期費用の高さです。初期費用が高額なため、蓄電池を活用して電気料金を節約しても、導入コストを回収できないのではないかという懸念もあります。
経済産業省のデータによると、2023年時点の家庭用蓄電池の導入にかかるコストは、工事費を含めて平均12.1万円/kWhとなっています(※1)。このデータを基にすると、4~5人が暮らす家庭に適した一般的な容量10kWhの蓄電池の導入には、平均121万円の費用がかかる計算になります。
政府は家庭への蓄電池普及を進めていて、2030年時点での導入コストを7万円/kWhにする目標を掲げています。実際に蓄電池の初期費用は年々下がっているものの、依然として高額であることには変わりはありません。
(※1)出典:経済産業省「定置用蓄電システムの現状と課題」
②寿命がある
蓄電池には、太陽光パネルやパワーコンディショナーと同じく、寿命があります。
蓄電池の寿命はおおむね10~15年ほどとされています。容量が大きく充放電の頻度の少ない蓄電池は寿命が長くなる傾向がありますが、製品の仕様や使用環境などによって寿命は大きく左右されます。
寿命に達したからといって突然使えなくなることは稀ですが、寿命が近づくと出力の低下や蓄電容量の減少といった性能劣化が生じる可能性があります。その結果、十分な節電効果が得られなくなるため、定期点検や修理、製品交換などのランニングコストが発生する場合もあります。
③メンテナンスの負担が増える
蓄電池は大がかりなメンテナンスの必要がなく、維持にはほとんどお金がかかりません。さらに、製品によっては、メンテナンスモードや遠隔監視システムにより、蓄電池の稼働状況を定期的に確認できる機能が搭載されています。
しかし、ほぼメンテナンスフリーとはいえ、蓄電池の設置後は、定期的な清掃やエラー確認など、故障やトラブルを未然に防ぐための対応が必要となる場合があります。
また、エラーが発生した場合にはメーカーによるメンテナンスが必要となり、数万円単位の想定外の費用が発生する可能性もあります。
④自家消費できる電力量に限度がある
蓄電池を使った電気料金の節約は、蓄電池に蓄えた電力を使うことが前提です。しかし、太陽光パネルを設置済みの家庭と蓄電池だけの導入を考える家庭では、蓄電池の効率的な使い方が異なります。
太陽光発電と併用する場合
電力会社への売電価格が固定されるFIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)期間中は買取価格が固定されますが、FIT期間(一般に10年間)終了後は売電価格が大きく下がる傾向にあります。
2012年は42円/kWhでしたが、2025年には15円/kWhまで低下(※2)しており、自由価格となる卒FIT後は7~11円/kWhになると予想されています。そのため、売電では大きな収益を上げられず、電気料金の十分な節約につながらない可能性があります。
そこで、太陽光発電による余剰電力や夜間の安い電力を蓄電池に貯めておき、夜間や天候の悪い日に活用すれば、電気料金の支出を減らせると期待できます。
しかし、太陽光発電の電力量が増える日中は家庭での電力消費が少ないため、多くが余剰電力に回る一方、蓄電池に蓄えられる電力には限界があります。そのため、計画どおりに電力の効率的な利用を実践できるかは不透明です。
蓄電池を単体で使う場合
蓄電池のみの導入でも、電気料金単価の安い夜のうちに蓄電し、電気料金単価が高めに設定されている日中、夜間に貯めた電力を使うと、電気料金を抑えられる可能性があります。
しかし、先ほどと同様、蓄電池の容量には限度があるため、夜間に貯めた電力を日中に有効活用できると保証されているわけではありません。そのため、蓄電池の導入が電気料金の軽減になるとは断言できないのです。
(※2)出典:経済産業省資源エネルギー庁「太陽光発電について」
⑤補助金制度の利用がむずかしい
再生可能エネルギーの普及は国の施策の一つとなっており、国や自治体は補助金制度で蓄電池の導入を後押ししています。こうした補助金制度を利用すれば、蓄電池の初期費用を大幅に削減できる可能性があります。
ただし、補助金制度には対象者・対象機器・申請期限などの条件が定められており、申請の可否をご自身で判断するのは煩雑な場合があります。また、制度上の予算上限に達すると、申請が早めに打ち切られるケースも珍しくありません。
多くの自治体では補助金制度の内容が年度ごとに更新されるため、蓄電池の導入を検討している方は、早めにお住まいの自治体へ確認しておくことが推奨されます。
蓄電池で「元を取る」には?
「元が取れない」と評されることのある蓄電池ですが、家庭に導入して「元を取る」ためには、次のポイントを押さえて利用するのがおすすめです。
- 補助金制度を活用して初期費用を抑える
- 適切な容量を選択する
- 単機能型よりハイブリッド型を選ぶ
- ピークシフトを最大限利用する
①補助金制度を活用して初期費用を抑える
先述のとおり、一般的な家庭向けの蓄電池(10kWh)は、導入に平均121万円の費用がかかるとされています(※1)。しかし、国や自治体による補助金制度を利用すれば、初期費用の負担を減らすことも可能です。
たとえば、東京都の「令和7年度 家庭における蓄電池導入促進事業」では、東京都内の既築住宅に非常時の蓄電池を新たに導入する際に補助が受けられます。補助金額は蓄電池と設置工事費を含めて12万円/kWhです。
蓄電池の初期費用が少ないほど、導入コストの回収期間も短くなります。
ただし、この制度を利用するには、太陽光発電システムが設置済であるか、または蓄電池と同時に設置することが条件になります。太陽光発電を設置しない場合は、再生可能エネルギーの電力メニューと契約していることが条件です。
補助金制度は必ずしも利用できるとは限らず、補助金額も制度によって異なるため、事前の確認が重要です。
②適切な容量を選択する
蓄電池は容量選びによっても費用対効果が変わります。大きすぎると製品の価格が高くなって導入コストがかさみ、小さすぎると蓄えられる電力が少なく、導入コストの回収に時間がかかります。
日常の電力使用量や太陽光パネルの有無などを踏まえ、家庭ごとに適切な蓄電池容量を選定することが重要です。
蓄電池の容量は、一般的に1~2人家族が5kWh前後、4~5人家族が10kWh前後、大容量を希望するなら15kWh前後が目安とされています。
③単機能型よりハイブリッド型を選ぶ
蓄電池の種類には、シンプルな単機能型と太陽光パネルと連携できるハイブリッド型があります。
| 単機能型蓄電池 | 電力の蓄電と放電に特化したシンプルな蓄電池で、専用のパワーコンディショナー(パワコン)の設置が必要。 |
|---|---|
| ハイブリッド型蓄電池 | 1台のパワコンで太陽光パネルと蓄電池を連携できるため、効率的な電力変換が可能で、省スペース化も図れる。 |
蓄電池を活用して少しでも導入コストの早期回収を目指す場合は、ハイブリッド型の導入が効果的です。ハイブリッド型は単機能型より出力が高い傾向があり、蓄えた電力を有効に活用できます。
また、単機能型とハイブリッド型の大きな違いとして、必要なパワコンの数が挙げられます。太陽光パネルと併用する場合、単機能型では2台のパワコンが必要ですが、ハイブリッド型では1台で対応できます。
パワコンが1台で済むことで、省スペース化に加え、直流から交流への変換工程が減り、発電効率の向上が期待できます。
④ピークシフトを最大限利用する
電力会社が提供するピークシフトプランを活用することで、蓄電池の導入コストを回収しやすくなると考えられます。
ピークシフトプランとは、日中の電力使用が多い時間帯の料金を高く、深夜帯の料金を安く設定することで、昼夜に料金差を設けた料金プランのことです。料金の安い深夜帯に電力を蓄電池に充電し、料金の高い日中に放電することで、電気料金の削減が可能になります。
一般的な時間帯別料金プランを参考に、電気料金単価の昼夜の料金差を11円/kWhと仮定して、どれくらい節約できるかを試算してみます。
- 毎晩5kWhの電力を蓄電池に貯めて、日中の電力として使用した場合
1日あたりの電気料金の節約額:5kWh×11円/kWh=55円
上記の結果から、蓄電池とピークシフトの活用により 1年(365日)で約20,000円の節約になるとわかります。
ただし、多くの電力会社でピークシフトプランの新規受付が停止されているため、節約できる金額は以前ほど大きくない可能性もあります。
時間帯で料金差を設けた電力会社のプランに関する疑問は、以下の記事で詳しく紹介しています。
蓄電池を導入して「元を取る」のにかかる期間
ここまで、蓄電池の導入において「元が取れない」とされる理由や、「元を取る」ための方法について解説してきました。では、様々な工夫を行ったうえで、蓄電池の「元を取る」にはどれくらいの期間がかかるのでしょうか。
経済産業省のデータによる2023年時点の蓄電池の平均導入費用(121万円)を基に、導入コストの回収にかかる期間をシミュレーションします。
①ピークシフトプランの活用によって節約できる電気料金
ある電気プランで昼夜の電気料金単価に11円/kWhの差があり、毎晩5kWhの電気を蓄電池に貯めて日中に使う場合、1年(365日)の節約金額は「5kWh×11円/kWh×365日=20,075円」になります。
②太陽光発電による5kWhの電気を売らなかったときに得られない売電収益
2025年時点のFIT価格は15円/kWhのため、電力会社から得られなかった売電収益は「5kWh×15円/kWh=75円」で、1年(365日)で27,375円の収益減となります。
③太陽光発電による5kWhを自家消費したときに節約できる電気料金
太陽光発電による5kWhを売電せずに蓄電池に貯めて、電力会社の電気(電気料金単価35円/kWh)を使わずに自家消費すると「5kWh×35円/kWh=175円」の電気料金を使わずに済みます。1年(365日)に換算すると、63,875円分の電気料金を節約できます。
これらの試算結果から、蓄電池の導入コスト121万円を回収するには、ピークシフトプランを活用した場合で約60年かかります。一方、太陽光発電による5kWhを売電せずに自家消費し、②と③の差額36,500円を年間節約できたと仮定すると、回収期間は約33年となります。
補助金を利用できなければ蓄電池で「元は取れない」
上記のとおり、蓄電池単体で節約できる電気料金は年間約20,075円、売電せず太陽光発電の余剰電力を活用した場合は年間約36,500円の節約が見込まれます。この場合、導入コスト121万円の回収には相当な期間を要する可能性があります。
さらに積極的に節約を行えば、回収期間を短縮することも可能になります。それでも、個人の努力だけで大幅に回収期間を短縮するのは難しく、蓄電池で効果的に「元を取る」ためには、国や自治体の補助金制度の活用が不可欠です。
ご自身が利用可能な補助金制度の内容や条件について、事前によく確認することが大切です。
災害への備えとしてなら蓄電池で「元は取れる」
シミュレーション結果からも明らかなように、補助金制度を利用しなければ、蓄電池の導入で「元が取れない」ケースも存在すると考えられます。
しかし、蓄電池の導入は、災害や停電などで電力の供給が絶たれたときに非常用電源として使えるなど、万が一の備えとしても大きな意義があります。たとえば、家庭用蓄電池として一般的な容量5〜10kWhであれば、冷蔵庫や照明、スマートフォンの充電など、家庭の基本的な電力を一昼夜程度まかなうことができます。
経済的な観点からは導入判断が難しい蓄電池ですが、万が一の際に家族の安心を確保できることを考えれば、「元を取る」以上の価値があるとも言えるでしょう。
設置場所の確保
蓄電池を導入するには、適した設置場所を確保しておかなければなりません。単機能型蓄電池や、パワコン一体型でないハイブリッド型蓄電池の場合は、蓄電池本体に加えてパワコンの設置スペースも別途必要となります。
蓄電池には、屋内設置型と屋外設置型があり、製品によって適した設置場所が異なります。また、屋外に設置する場合は、直射日光や雨風の影響を避ける必要があり、設置場所に一定の制限が生じる可能性があります。
蓄電池のサイズや設置可能な場所の条件については、事前にメーカーに確認することが重要です。
太陽光パネルやパワコンへの影響
太陽光パネルを設置済みの家庭では、導入する蓄電池のタイプによって、太陽光発電の使用に影響が出る可能性があります。
単機能型蓄電池の場合、太陽光パネルと蓄電池のそれぞれにパワコンが1台ずつ必要となります。そのため、直流から交流への変換工程が増えることで、発電効率が低下するおそれがあります。
ハイブリッド型蓄電池を導入する際は、既設の太陽光パネル用パワコンを取り外し、新しいパワコンに交換する必要があるため、太陽光パネルがメーカー保証の対象外となる可能性があります。
導入する蓄電池の種類によって影響が異なるため、事前にメーカーに確認しておきましょう。
電気料金を節約したいなら電力会社やプランの見直しを検討しよう
蓄電池の導入には多額の費用がかかるため、節電効果だけでコストを回収しようとすると、回収までに長期間を要する可能性があります。
補助金制度を利用すればコストの回収は現実的になりますが、適用条件や申請期間、補助金額などは制度ごとに異なっており、利用の可否を含めて入念なリサーチが必要です。
そのため、災害や停電への備えだけでなく、経済的なメリットを重視して蓄電池を導入しようと考えている場合、「元が取れない」可能性も否定できません。
電気料金の節約を実現したい場合は、電力会社や契約プランの見直しも有効な手段です。
電力自由化以降、様々なプランやサービスを提供する新電力を自由に選択できるようになりました。契約する電力会社やプランによって基本料金の有無や電気料金の単価が異なるため、電力会社やプランの乗り換えるだけで、電気料金が下がる可能性もあります。
まずは契約中の電力会社やプランを確認して、ご自身の希望やライフスタイルに合った新電力を検討してみましょう。
電力会社やプランを乗り換えるときの方法や、乗り換えによる変化などについて詳しくは、以下の記事で紹介しています。
まとめ
蓄電池が「元が取れない」と言われる主な理由は、その高額な初期費用にあります。たとえば、家庭向けの一般的な10kWhの蓄電池では、工事費込みで平均121万円の導入費用がかかるとされています。
蓄電池は使用方法によって電気料金の節約が可能ですが、節約を継続しても導入コストの回収には長期間を要する可能性があります。国や自治体による補助金制度を活用すれば、導入コストの回収が現実的になる可能性は高まります。ただし、制度の適用条件や時期によっては利用できない場合もあるため、事前の確認が不可欠です。
蓄電池は災害や停電時の備えとして導入するだけでも十分な価値があるといえます。一方で、電気料金の削減を目的とする場合は、電力会社や料金プランの見直しも併せて検討することが効果的です。
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