電気自動車の電気代は充電設備によって異なる

電気自動車の充電設備は「普通充電」と「急速充電」に大別され、どちらを利用するかで電気代(充電料金)が異なります。

項目 普通充電 急速充電
使用電源 単相交流100~200V 三相交流200V
出力 3~6kW 30kW~
設置コスト 低め 高め
充電時間 長い(8~16時間程度) 短い(30分程度)

普通充電は主に自宅(戸建住宅やマンション)に設置されているほか、商業ビルや屋外駐車場などにも設置されています。出力が低く充電に時間がかかりますが、家庭用コンセントを利用でき、電気代を抑えやすいのが特徴です。

一方、急速充電はガソリンスタンド、高速道路のSA/PA、道の駅などに多く設置されており、外出先での継ぎ足し充電や緊急時に適しています。必要なときに短時間で充電できるというメリットがある一方、料金は設置事業者が設定した単価に基づいて決まるため、利用者が電気代をコントロールする工夫は難しいと言えます。

電気自動車にかかる電気代(充電料金)の計算方法と目安

電気自動車にかかる燃料コストは、大きく分けると次の2つで構成されます。

電気自動車の充電設備は「普通充電」と「急速充電」に大別され、どちらを利用するかで電気代(充電料金)が異なります。

燃料コスト 特徴
自宅充電にかかる電気代 契約している電力会社や料金プランに応じて決まる
外充電にかかる充電料金
(充電スタンドの利用料金)
充電サービスの料金体系に応じて決まる

ここでは、自宅充電と外充電に分けて、電気代の計算方法や目安を紹介します。

自宅充電にかかる電気代の目安

自宅充電にかかる電気代(目安)の計算式は以下のとおりです。

充電1回あたりの電気代 = 出力(kW)× 電気代単価(円/kWh)× 充電時間(h)

以下の条件で試算した場合、電気代の目安は1,105.5円と求められます。

(例)バッテリー容量40kWh、出力3.0kW、電気代単価36.85円/kWh、充電時間10時間

3.0kW × 36.85円× 10時間 = 1,105.5円

また、バッテリーを0%から満タンになるまで充電した場合の電気代の目安は、以下の式で計算できます。

フル充電した場合の電気代 = バッテリー容量(kWh)× 電気代単価(円/kWh)

上記の前提条件をもとに試算すると、フル充電した場合の電気代の目安は約1,474円です。

40kWh × 36.85円/kWh = 約1,474円

なお、この場合、フル充電に必要な時間は約13.3時間(40kWh ÷ 3.0kW)と求められます。

1kWhあたりの電気代や、電気自動車の自宅充電について詳しくは、以下の記事で紹介しています。

1kWhあたりの電気代はいくら?電気代の内訳や節電方法を解説

電気自動車を自宅で充電するには?設備導入の流れや費用を解説

外充電にかかる充電料金の目安

外充電する場合の充電料金は、充電サービス事業者が採用している料金体系によって異なります。

一般的に、1カ月の利用料金は、「毎月固定の月額料金(基本料金)」と充電時間に応じて料金が加算される時間課金制の料金の合計となります。

1カ月の利用料金 = 月額料金 + 使用料金(時間課金制)

たとえば、27.5円/分の充電スタンドで30分充電した場合、料金は825円となります。

27.5円 × 30分 = 825円

なお、充電サービスによっては、月額料金が0円で、使用量に応じた従量課金制となっている場合もあります。

電気自動車の1カ月あたりの電気代をシミュレーション

次に、具体例を挙げて電気自動車にかかる1カ月あたりのコストをシミュレーションしてみましょう。1カ月あたりの電気代は以下の式で求められます。

1カ月あたりの電気代 = 走行距離(km) ÷ 電費(km/kWh)(※1)× 電気代単価(円/kWh)

(※1)電費とは、ガソリン車の燃費に相当する概念で、電気自動車が1kWhの電力で何km走れるかを示すエネルギー効率のことです。

前提条件

  • 電費:7km/kWh
  • 電気代単価:36.85円/kWh

上記の前提条件に基づき、月間走行距離が500kmおよび800kmの場合の1カ月あたりの電気代を試算すると、以下のようになります。

ケース①月間走行距離500km
(片道10kmの通勤×20日、休日の買い物やレジャーで月100km)

1カ月あたりの電気代 = 500km ÷ 7km/kWh × 36.85円/kWh = 約2,632.14円

ケース②月間走行距離800km
(片道20kmの通勤×20日)

1カ月あたりの電気代 = 800km ÷ 7km/kWh × 36.85円/kWh = 約4,211.43円

なお、上記はあくまで概算であり、実際の金額は走行距離や電費、電力会社の料金プランなどによって大きく変動します。

電気自動車の電気代とガソリン車のガソリン代を比較

電気自動車の購入を検討する際、電気代とガソリン代のどちらがコストを抑えられるか気になる方もいるでしょう。先ほどの試算結果をもとに、両者のコストの違いを紹介します。

1カ月あたりのガソリン代は次の式で計算できます。

1カ月あたりのガソリン代 = 走行距離(km) ÷ 燃費(km/ℓ)× ガソリン代単価(円/ℓ)

ガソリン車の燃費を19.8km/ℓ、ガソリン代単価を173.5円/ℓとした場合、月間走行距離500km・800kmのケースで試算すると、1カ月あたりの電気代・ガソリン代はそれぞれ以下のとおりです。

ケース①月間走行距離500km
(片道10kmの通勤×20日、休日の買い物やレジャーで月100kmを想定)

電気自動車 ガソリン車
1カ月あたりのコスト 約2,632.14円 約4,381.31円

ケース②月間走行距離800km
(片道20kmの通勤×20日)

電気自動車 ガソリン車
1カ月あたりのコスト 約4,211.43円 約7,010.1円

上記の試算結果から、電気自動車の1カ月あたりの燃料コストは、ガソリン車に比べて約1,600〜2,600円安いことがわかります。年間に換算すると、さらに大きな差が生じます。

電気自動車の電気代(充電料金)を抑える方法

電気自動車の電気代(充電料金)を抑える方法

電気自動車の燃料コストは、ガソリン車に比べて安い傾向がありますが、工夫次第でさらに節約できる可能性があります。主な節約ポイントは以下のとおりです。

  • エコドライブを意識して電費を良くする
  • 無料の充電スタンドを利用する
  • 充電サービスの料金プランを見直す
  • 電力会社や料金プランを見直す
  • 太陽光発電を導入する

エコドライブを意識して電費を良くする

電気自動車もガソリン車と同様に、運転の仕方や走行条件によってエネルギー効率(電費)が変わります。普段からエコドライブを意識することで電費が向上し、結果的に電気代の節約にもつながります。

具体的には、以下のポイントを意識しましょう。

  • アクセルは優しく踏み込む
  • 前方車両との車間距離を長くとって速度を一定に保つ
  • 減速時は早めにアクセルを離す
  • エアコンの設定温度を控えめにする
  • シートヒーターを活用する
  • 長時間停車する際はEVシステムをオフにする習慣を付ける
  • 不要な荷物は下ろして走行する

電気自動車でも、急発進や急加速は電費の悪化を招く要因となります。発進時は穏やかにアクセルを踏み込み、停止が予測される場合は早めにアクセルから足を離しましょう。速度変化の少ない穏やかな運転は、電気代の節約だけでなく、安全運転にもつながります。

無料の充電スタンドを利用する

市役所や地域のエネルギーセンター、公園、空港などの一部施設では、電気自動車の普及や集客を目的として、無料の充電スタンドを設置している場合があります。また、ショッピングモールなどでも、集客を目的に無料の充電スタンドを設けている場合があります。

生活圏内に無料の充電スタンドがあれば、外出時の充電料金を抑えることが可能です。「1回あたり30分まで」などの制限が設けられているほか、別途駐車料金が発生する場合もあるため、利用前に確認しましょう。

充電サービスの料金プランを見直す

充電サービスの料金プランを見直すことで、外充電時の充電料金を抑えられる可能性があります。多くの事業者が充電サービスを提供しており、一つの事業者が複数のプランを用意している場合や、会員登録の有無で料金が変わる場合など様々です。

たとえば、自宅充電が主で外充電の頻度が低い場合は、時間単価がやや高くても、基本料金が0円のプランを選んだ方がコストを抑えられる可能性があります。複数の料金プランを比較し、自身の利用状況に合ったものを選ぶことが大切です。

なお、充電サービスを利用するには、充電認証カード(充電スタンドを利用するための会員カード)や専用のアプリが必要です。会員登録していなくても利用できるサービスもありますが、料金は一般的に会員と比べて割高になります。

電力会社や料金プランを見直す

電気自動車の自宅充電を含め、電気代全体を節約するには、電力会社や料金プランの見直しが効果的です。

電気自動車は夜間に充電することが多いため、夜間の電気代が安い料金プランを選べば、電気代を節約できる可能性があります。ただし、昼間も在宅して家電を多く使う家庭では、全体の電気代も考慮したうえで料金プランを選ぶことが重要です。

電力会社によっては、ガスやインターネットなどのセット割引や長期割引、ポイントサービスを提供している場合もあります。現在の契約内容を確認し、ライフスタイルにあった料金プランを選びましょう。

また、料金プランを見直すとともに、電気代が安い時間帯を把握し、その時間帯に充電することも大切です。

電力会社・プランの見直しについて詳しくは、以下の記事で紹介しています。

電力会社や電気プランは乗り換えできる?電気料金は変わる?選び方や注意点を解説

電気代が安い時間がある料金プランはおトク?向いている世帯や注意点、節約方法を解説

太陽光発電を導入する

電気自動車と太陽光発電を組み合わせることも、燃料コストを抑える方法のひとつです。自宅の太陽光発電システムで発電した電気を電気自動車の充電に回せば、充電料金を抑えられます。

また、V2H設備(電気自動車に搭載された蓄電池の電力を家庭に供給するシステム)を備えていれば、電気自動車に蓄電した電気を家庭で使用することも可能です。

太陽光発電の導入にはまとまった初期費用がかかるほか、発電量が天候に左右されるといった注意点もあるため、導入は慎重に検討する必要があります。

太陽光発電のメリット・デメリットについて詳しくは、以下の記事で紹介しています。

太陽光発電のメリットとデメリットは?設置の判断材料をわかりやすく解説

電気自動車の充電設備の設置費用

自宅に設置する普通充電器には、主にコンセントタイプとスタンドタイプがあります。

コンセントタイプは、充電設備や工事費用が安く、比較的手軽に導入できます。一方、スタンドタイプは、コンセントタイプに比べて導入費用が高めです。

普通充電器の種類 充電設備の購入費用 工事費用
コンセントタイプ 数千~1万円程度/台 数万~数十万円
スタンドタイプ 10~数十万円/台 数十万円

また、V2Hシステムを設置する場合は、一般的に100万~300万円程度の設備費用がかかります。ただし、補助金の活用によって初期費用を抑えられる場合があるため、補助要件や申請期間などを事前に確認しましょう。

まとめ

電気自動車にかかる燃料コストは、自宅充電にかかる電気代と、外充電にかかる充電料金に大別されます。

「自宅充電する場合の電気代は、電費や走行距離などによって大きく異なりますが、一般的にはガソリン車のガソリン代より安く済む傾向があります。エコドライブを意識して電費を改善する、無料の充電スタンドを活用するなどの工夫によって、さらなる節約も可能です。

一方、外充電にかかる充電料金は、無料充電スポットの活用や料金プランの見直しによって節約できる可能性があります。

また、電気自動車の電気代を抑えるには、充電時間や家庭全体の電気の使用状況を踏まえて、ご自身にあった料金プランに見直すことも重要です。

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この記事を監修した人
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大岩 俊之(おおいわ としゆき)

家電製品総合アドバイザー。スマートマスター。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。