自家発電とは

自家発電とは、家庭や企業の敷地内に発電設備を設置し、自ら電気を発電することです。

通常、電気は電力会社から購入する必要がありますが、自家発電の仕組みが整っていれば、自ら作り出した電気を自ら使用することができます。

企業では大規模な太陽光発電や風力発電、水力発電などが取り入れられている例が多く見られますが、家庭でも自家発電は可能です。近年は売電価格の低下により、発電した電気を売電するよりも、自宅で使用して電力会社からの購入量を減らす「自家消費」が主流になっています。

本記事では、家庭用の自家発電に焦点を当てて解説します。

家庭でできる自家発電方法の種類

家庭でできる自家発電方法の種類

家庭では、企業のような大規模な発電方法を取り入れることは困難です。しかし、限られたスペースでもできる自家発電方法も存在します。これらは家庭でも広く取り入れられています。

以下では、家庭でできる自家発電方法とそれぞれの特徴を解説します。

  • 太陽光発電と蓄電池
  • コージェネレーションシステム
  • ポータブル電源と小型ソーラーパネル
  • 手動式・燃料式発電機

太陽光発電と蓄電池

家庭でできる自家発電方法として、太陽光発電が挙げられます。

自宅やカーポートの屋根にソーラーパネルを設置することで、太陽光発電が可能です。太陽光発電は、屋根などに十分なスペースを確保できる戸建て住宅で多く採用されています。

太陽が出ている時間帯であれば、まとまった量の電気を発電できます。太陽光発電システムに加えて蓄電池も導入することで、使い切れなかった電気を貯めて夜間に使用できるため、効率的です。

太陽光発電や蓄電池について詳しくは、以下の記事で紹介しています。

太陽光発電のメリットとデメリットは?設置の判断材料をわかりやすく解説

「太陽光パネル(ソーラーパネル)とは?仕組みやメリット・デメリット、導入方法を解説」

「蓄電池とは?仕組みや種類、メリット、デメリットなどの基礎知識を解説」

コージェネレーションシステム

家庭でできる自家発電として、コージェネレーションシステムがあります。

コージェネレーションシステムは熱電供給システムとも呼ばれています。発電装置で電気をつくると同時に排出される熱を回収し、給湯や暖房に利用する仕組みです。発電するために天然ガスやLPガス、石油、バイオマスなどの燃料が使われます。

家庭用のコージェネレーションシステムとして使われているものの代表例に、家庭用燃料電池システムがあります。これは、都市ガスやLPガスから取り出した水素と空気に含まれる酸素の化学反応によって発電し、発生した熱を給湯や暖房に利用するものです。

また、LPガスなどを燃料にガスエンジンを駆動させて発電し、その際に発生した熱で暖房を行うガスエンジンコージェネレーションも使用されています。

コージェネレーションシステムは、熱を無駄にせず有効活用できるのが大きなメリットです。

ポータブル電源と小型ソーラーパネル

ポータブル電源と小型ソーラーパネルを組み合わせることで、家庭で自家発電を行う方法もあります。

屋根に設置するのではなく、ベランダや庭に広げられるタイプのソーラーパネルを使用するため、屋根にパネルを設置できない家庭や、広い敷地を確保できない家庭でも太陽光発電が可能です。

持ち運び可能な蓄電池であるポータブル電源をセットで導入すれば、災害時やアウトドアシーンでも電気を使えます。

手動式・燃料式発電機

手動式や燃料式の発電機を活用すれば、家庭でも自家発電が可能です。

手動式発電機は、手回し式やペダル式で動かすことで電気をつくる発電機です。人力で発電するため、大型の家電を動かせるほどの発電量は確保できません。ただし、燃料が不要なため導入しやすく、災害時にはスマートフォンやラジオの充電に利用できます。

燃料式発電機は、カセットガスやガソリンなどを使って電気をつくる発電機です。燃料を使用するため室内では使えませんが、燃料さえあれば発電を継続できるため、災害時にも役立ちます。また、手動式よりもまとまった発電量を確保できます。

ただし、ガソリンなどの燃料には使用期限があり、定期的な入れ替えが必要です。

家庭で自家発電を行うメリット

家庭で自家発電を行うと、以下のようなメリットがあります。

  • 電気料金の節約につながる
  • 停電時の備えを整える
  • CO2削減に貢献できる

電気料金の節約につながる

家庭で自家発電を行うことで、電気料金の節約につながる点は大きなメリットです。

発電した電気を自宅で使用すれば、電力会社からの購入を抑えられるため、電気料金を削減できます。特に、太陽光発電や手動式発電機のような方法であれば、発電するための燃料コストもかかりません。

停電時の備えを整える

家庭で自家発電ができれば、災害時にも電気が使えます。

普段は電力会社から安定的に電気が供給されていますが、地震や台風、大雪などの自然災害によって停電する可能性もあります。

電気を蓄えられる蓄電池や、発電を継続できるコージェネレーションシステム、ガスやガソリンなどの燃料を使う発電機があれば、天候の影響を受けずに電気を使い続けることができるでしょう。

電力会社からの電気の供給が長期的に止まってしまっても、自家発電の仕組みがあれば一定水準の生活を維持できます。

CO2削減に貢献できる

自家発電の方法によっては、CO2削減に貢献し、環境負荷を低減することも可能です。

太陽光発電のような再生可能エネルギーは、発電時にCO2を排出しないクリーンなエネルギーです。地球温暖化対策の観点から、CO2排出量の削減は家庭でも意識すべき重要なポイントです。環境保護に関心がある方にとって、自家発電を取り入れることは大きなメリットがあると考えられます。

家庭で自家発電を行う際の課題やデメリット

家庭で自家発電を行うことで多くのメリットを得られますが、自家発電には課題やデメリットが存在するのも事実です。

  • 初期費用やメンテナンス費用がかかる
  • 点検や修理の手間がかかる
  • 導入するための条件を満たせない場合がある

初期費用や維持・管理・メンテナンス費用がかかる

自家発電を導入する場合、初期費用やメンテナンス費用がかかる点はデメリットとされています。

たとえば、太陽光発電と蓄電池は、機器の購入費用や設置工事費用が導入時にかかります。

カセットガスやガソリンを使用する発電機は燃料が必要なので、機器の購入費用に加えて燃料費がかかります。さらに、いずれの方法でも、問題なく使用し続けるためには維持管理やメンテナンスの出費が発生します。

電気料金が節約できる点は自家発電の大きなメリットですが、結果的に出費が上回る可能性がないかには注意が必要です。初期投資の回収に10年前後かかるのが一般的なので、節約によって導入費用を回収するには長期的な視点で考える必要があります。

自家発電方法のひとつである太陽光発電の設置費用について詳しくは、以下の記事で紹介しています。

太陽光発電の設置費用は?相場や内訳、費用対効果を解説

点検や修理の手間がかかる

点検や修理の手間がかかるのも、自家発電を導入する際に考えられるデメリットです。

機器が故障していないかを定期的にチェックし、問題があればその都度対応する必要があります。屋根に設置したソーラーパネルを点検するために足場を組むなど、大規模な点検が必要な場合は、手間に加えて費用も発生します。

導入するための条件を満たせない場合がある

家庭で自家発電を取り入れたいと思っても、導入するための条件を満たせない場合があります。

たとえば、太陽光発電システムを導入して自家発電したいと考えても、日照時間が少ない地域や大雪のリスクがある地域では十分な発電量を確保できず、導入に適さない場合があります。

また、ソーラーパネルやコージェネレーションシステムを導入できる場所がなければ、スペースの問題で断念せざるを得ない場合もあります。

自宅に適したものを選ばなければ、そもそも自家発電できない点はデメリットです。

家庭用自家発電方法を選ぶ際にチェックしたいポイント

家庭用自家発電方法を選ぶ際にチェックしたいポイント

家庭用の自家発電方法はいくつかあるため、自宅に適した方法を選ぶ必要があります。以下のチェックポイントを押さえて、適切に取り入れましょう。

  1. 目的は日常用か非常用か
  2. 住環境や生活スタイルにあうか
  3. 初期費用やランニングコストは許容範囲か
  4. 安心して使えるか

①目的は日常用か非常用か

家庭用の自家発電方法を選ぶ場合、まず目的を明確にすることが重要です。

自家発電を取り入れる目的は、大きく日常用か非常用かに分けられるため、目的にあったものを選ぶ必要があります。

日々の電気料金の節約を主目的とする場合は、太陽光発電でつくった電気を蓄電池に貯めて使う方法や、コージェネレーションシステムで発生した熱を給湯や暖房に活用する方法が適しています。

一方、災害による停電で電気が使えなくなった場合の非常用電源を低予算で確保したいのであれば、燃料式の発電機で家電を使えるようにして手動式の発電機でスマートフォンやラジオの充電をする方法もあります。

目的を達成するためにどの自家発電方法を選べば良いか、考えてみてください。

②住環境や生活スタイルにあうか

家庭で自家発電を取り入れる場合は、住環境や生活スタイルに適しているかどうかを確認する必要があります。自家発電の種類によっては導入条件が決まっており、条件を満たせなければ導入できない場合があるためです。

たとえば、太陽光発電のソーラーパネルは、日当たりが良く広さが確保できる屋根がある場合に設置できます。また、コージェネレーションシステムも設置スペースが必要で、配管や配線の経路も確保しなければなりません。

太陽光発電と蓄電池に興味があるものの、設置スペースがない場合は、小型のソーラーパネルとポータブル電源を選ぶことで、住環境に適した自家発電が可能になります。

③初期費用やランニングコストは許容範囲か

自家発電は種類によって初期費用やランニングコストが発生するため、許容範囲内に収まるかどうかを考える必要があります。

たとえば、太陽光発電であれば購入価格に加えて設置するための工事費用が必要で、導入後は維持、管理やメンテナンス費用がかかります。燃料式発電機であれば購入価格は抑えられますが、燃料費用が必要です。

太陽光発電や蓄電池、エネファームなどのコージェネレーションシステム導入にかかる費用は、補助金などを活用することで抑えられる場合があるため、利用できるものがないか確認してみましょう。

④安心して使えるか

自家発電は、安心して使えるかどうかも重要なポイントです。

方法によっては、使い方を誤ると重大な事故が発生するおそれがあるため、適切に使える環境を整えられるかどうかを確認したうえで導入しましょう。

たとえば、燃料式の発電機はカセットガスやガソリンを使用することから、一酸化炭素中毒になるおそれがあります。室内やテント内での使用は避け、換気できる場所で使用してください。

また、ポータブル電源は蓄電池にリチウムイオン電池を使用しているため、落下などの衝撃によって発熱するおそれがあり、取り扱いに注意が必要です。

燃料式の発電機のように、稼働音が大きく周囲に迷惑をかける可能性がある発電方法もあるため、想定している環境で安心して使えるかどうかはよく考えましょう。

まとめ

自家発電は企業だけでなく、家庭でも導入が可能です。太陽光発電と蓄電池の組み合わせやコージェネレーションシステムなどがあるため、効果や目的に応じて適切な方式を選定することが重要です。

電気料金の節約を目的として自家発電の導入を検討している場合は、電力会社を見直すことも検討すると良いでしょう。電気料金を抑えられる電力会社に乗り換えるのも有効な選択肢の一つです。

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近藤 元博(こんどう もとひろ)

愛知工業大学 総合技術研究所 教授
プロフィール:1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステムの開発、導入を推進。「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」「市村地球環境産業賞」他 資源循環、エネルギーシステムに関する表彰受賞。
その後、経営企画、事業企画等に従事し、技術経営、サプライチェーンマネージメント及び事業継続マネジメント等を推進。
2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて環境経営支援、資源エネルギー技術開発等など社会実証に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 内閣府国土強靭化推進会議 委員他