新電力とは?従来の電力会社とは異なる特徴を解説

新電力会社を選ぶことで、月々の電気料金を節約できる可能性があります。その理由を理解するには、まず新電力に関する基本知識を押さえることが大切です。まずは、新電力の概要と従来の電力会社との違いを確認しましょう。

新電力会社と従来の電力会社の違い

新電力とは、電力の小売自由化をきっかけに、消費者が新たに選べるようになった新規参入の電力会社のことです。

2016年に家庭向け電力の小売が自由化されるまで、消費者は原則として各地域の既存の電力会社と契約していました。しかし、電力の小売が全面自由化されてからは、家庭ごとに希望する電力会社を選んで契約できるようになりました。

電力の小売自由化をきっかけに、様々な会社が小売電気事業に参入し、いわゆる新電力と呼ばれるようになりました。

新電力と呼ばれる電力会社には、大きく2種類あります。もともと別の主力事業を持ち、小売電気事業を追加した会社と、当初から小売電気事業を主軸に設立した会社です。

電力自由化について詳しくは、以下の記事で紹介しています。

電力自由化とは?目的やメリット・デメリット、電力会社の選び方を解説

新電力会社の部門や電気料金の仕組み

電力自由化以前は、地域の既存電力会社が発電から送配電、小売を一貫して担っていました。しかし、電力の小売自由化により、小売に特化して参入する新電力会社が増えました。

自社で発電を行う新電力会社もありますが、多くの会社はJEPX(日本卸電力取引所)で仕入れたり、発電所を持つ事業者から購入したりした電気を販売しています。

電力自由化によって新電力が登場して以降、電気料金の仕組みも変化しました。

電力自由化の前は「総括原価方式」により、安定供給に必要な費用(総原価)を電気料金として回収する仕組みが採用されていました。現在の電気料金は、燃料費や経費、電力の購入費用などを含む電源費と、送配電網を利用するための託送料金などによって、構成されています。

新電力会社のシェア推移

経済産業省資源エネルギー庁の報告によると、家庭を含む低圧分野における新電力のシェアは、2024年10月時点で約25.6%です(※1)。2016年の全面自由化以降、増減を繰り返しながらも、約4分の1程度のシェアを占めています。

供給区域別に見ると、低圧分野の新電力シェアが最も高い東京は、2024年10月時点で35%を超えています。既存電力会社との契約が大きく置き換わったとまではいえないものの、電力の小売自由化の影響は一定程度表れているといえるでしょう。

(※1)出典:経済産業省資源エネルギー庁「電力小売全面自由化の進捗状況について」

新電力会社のメリット

新電力会社のメリット

電力自由化以降、新電力のシェアが増えている背景には、消費者にとってメリットがあることも一因です。以下では、具体的なメリットを解説します。

  • 電気料金が安くなる可能性がある
  • セット割引など独自のサービスで出費を抑えやすい
  • 再生可能エネルギーの利用や地域貢献などの付加価値があることも

電気料金が安くなる可能性がある

新電力会社と契約することで、電気料金が安くなる可能性があります。

電力の小売自由化には、電力小売事業者の参入を促して競争を高め、電気料金の抑制につなげるという目的のひとつがありました。その結果、低料金を売りにする新電力会社も増えました。

新電力会社は独自の料金プランを提供しているため、ニーズに合うものを選べば電気料金を抑えられる場合があります。

セット割引など独自のサービスで出費を抑えやすい

新電力会社のメリットのひとつは、独自のサービスを利用することで出費を抑えられる点です。

新電力会社の中には、電力の小売事業に加えて、ほかの事業も展開している企業が参入しているケースがあります。そのため、各社の事業と電気契約を組み合わせたサービスが提供されている場合があります。

たとえば、インターネット回線やガスとセットで契約すると、割引やポイント還元の上乗せを受けられるプランを用意する会社が多いです。また、電気の契約に応じてガソリン代が割引になるサービスを提供している会社もあります。

契約内容の組み合わせ次第では、出費の抑制につながるでしょう。

再生可能エネルギーの利用や地域貢献などの付加価値があることも

新電力会社を選択することで、付加価値を得られるケースがあります。

たとえば、再生可能エネルギー由来の電気を提供するプランを選べば、CO2排出の削減につながることもあります。自宅に再生可能エネルギー設備を導入するのが難しい場合でも、地球温暖化の抑制に貢献できるでしょう。

また、地域密着を掲げて新電力として参入する会社もあり、売上の一部を地域の取り組みに還元するなど、地域貢献につながる仕組みを設けている例もあります。こうしたプランを選ぶことで、地域を応援することにつながる場合があります。

新電力会社のデメリットや注意点

新電力会社にはメリットがある一方で、デメリットもあります。デメリットを確認し、注意点として踏まえたうえで、新電力会社と契約するかどうかを決めましょう。

  • 電気料金が高くなる可能性がある
  • 倒産や事業撤退のリスクがある
  • 解約金が発生する場合がある

電気料金が高くなる可能性がある

新電力会社と契約すると、従来と比べて電気料金が高くなる可能性があります。

新電力会社は多様なプランがあるからこそ、自分にあわないものを選ぶと電気料金が高くなることがあります。

たとえば、夜間に在宅時間が長いにもかかわらず、夜間の電気料金が高いプランを契約すると、月々の電気料金が高くなりやすいです。

新電力会社の電気料金が高くなる可能性があるもうひとつの理由は、市場連動型プランが一定数あることです。市場連動型プランの場合、市場の動向によって電気料金が左右されるため、急に高騰する可能性があります。

従来、既存電力会社の一部プランでは規制料金が適用されており、電気料金の変更には原則として経済産業大臣の認可が必要でした。しかし、電力自由化後は規制料金に加えて自由料金のプランが広がり、新電力では自由料金を採用するケースが多くなりました。

規制料金は燃料費調整に上限が設けられている一方、自由料金では上限がない(または上限が異なる)場合があります。そのため、燃料価格が高騰すると、電力量料金が上がりやすくなります。そのため、新電力会社の電気料金が既存電力会社よりも高くなることがあります。

新電力会社を選ぶ場合は、プラン内容を確認したり、事前にシミュレーションしたりして本当に安くなるかどうかを見極めることが大切です。

市場連動型プランの電気料金について詳しくは、以下の記事で紹介しています。

市場連動型プランの電気料金はどう決まる?仕組みやメリット・デメリットを解説

倒産や事業撤退のリスクがある

新電力会社は、既存電力会社に比べて倒産や事業撤退のリスクが高いというデメリットがあります。実際に、電力市場の価格高騰を受けて事業継続が難しくなり、倒産や事業撤退に至った例もあります。

経済産業省資源エネルギー庁の調査によると、小売電気事業者の登録数は2025年1月末時点で747社ですが、電力自由化以降、事業廃止や法人の解散などが126件ありました(※2)。

小売電気事業者が廃業や撤退をする場合は、あらかじめ消費者に周知することが求められるため、原則として突然電気が使えなくなることはありません。しかし、乗り換え先を選ぶ手間が発生するため、経営状況などを確認したうえで契約先を選ぶことが大切です。

(※2)出典:経済産業省資源エネルギー庁「電力小売全面自由化の進捗状況について」

解約金が発生する場合がある

新電力会社のプランによっては、解約時に解約手数料や違約金が発生することがあります。特に契約期間が設定されているプランでは、契約期間内の解約で違約金が発生することが多いです。

ただし、解約金が発生しない新電力会社やプランもあります。解約金の発生を避けたい場合は、契約前に確認することで無駄な出費を抑えられるでしょう。

電気料金節約につながる新電力会社の選び方

新電力会社への切り替えは、電気料金の節約につながる可能性があります。そのため、切り替えを検討している方も多いのではないでしょうか。

新電力会社に切り替える場合は、以下のポイントを押さえて選ぶことで失敗を防ぎやすくなるため、確認してみてください。

  • 住んでいる地域での契約に対応している会社を選ぶ
  • ライフスタイルやニーズにあわせてプランを選ぶ
  • 特典や割引で選ぶ

住んでいる地域での契約に対応している会社を選ぶ

新電力会社を選ぶときは、住んでいる地域で契約できるかどうかを確認しましょう。

電力自由化により、住んでいる地域以外の電力会社とも契約できるようになりました。しかし、特定の地域限定で電力を供給している電力会社もあります。

住んでいる地域が電力会社の契約可能エリア内かどうかをまず確認することが大切です。

ライフスタイルやニーズにあわせてプランを選ぶ

新電力会社は、ライフスタイルやニーズにあったプランを選ぶことで節約につながる可能性があります。

新電力会社はプランが豊富です。世帯人数を想定したプランのほか、時間帯や曜日で電気料金が変わるプランなど、様々な選択肢があります。何が自分にあっているかを考えたうえで、プランを選びましょう。

現在の電気使用量や使用時間帯、電気料金などを確認しておけば、自分にあうプランを探しやすくなります。

特典や割引で選ぶ

新電力会社を選ぶときは、特典や割引の内容を確認することが大切です。

特典や割引が適用されることで、長期的な電気料金が変わる場合があります。できるだけ電気料金を抑えたい場合は、どのような条件でおトクになるのかをきちんと確認しましょう。

たとえば、電気とガス、または電気とインターネット回線をセットで契約すると、割引やポイント還元の上乗せが受けられるプランもあります。また、電気の契約期間中にガソリン代が割引になるプランを提供している電力会社もあるため、確認してみてください。

新電力会社への切り替え方法

現在契約している電力会社から新電力に切り替える際は、切り替え先の会社のウェブサイトや電話、窓口などから申し込みを行いましょう。現在契約中の電力会社の解約手続きは、原則として切り替え先の新電力会社が代行します。

切り替え先の電力会社の供給開始時期は契約内容によって異なるため、申し込み時に確認しましょう。

なお、電力会社の切り替え手続きでは、以下の情報が必要です。

  • 現在契約している電力会社名
  • 現在契約している電力会社のお客様番号
  • 供給地点特定番号

電力会社の切り替え手続きや必要な情報について詳しくは、以下の記事で紹介しています。

電力会社や電気プランは乗り換えできる?電気料金は変わる?選び方や注意点を解説

供給地点特定番号の調べ方は?必要なケースや番号を使った手続き方法を解説

まとめ

新電力会社は、電力自由化以降に小売電気事業へ参入した事業者で、多様なプランを提供しているのが特徴です。自分にあうプランを選べば、電気料金の節約につながる可能性があります。ライフスタイルやニーズにあわせてプランを選択し、特典や割引の内容も確認して、新電力会社を選びましょう。

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近藤 元博(こんどう もとひろ)

愛知工業大学 総合技術研究所 教授
プロフィール:1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステムの開発、導入を推進。「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」「市村地球環境産業賞」他 資源循環、エネルギーシステムに関する表彰受賞。
その後、経営企画、事業企画等に従事し、技術経営、サプライチェーンマネージメント及び事業継続マネジメント等を推進。
2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて環境経営支援、資源エネルギー技術開発等など社会実証に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 内閣府国土強靭化推進会議 委員他