電気代が上がっているか確認する3つの手順

電気代が上がる原因を探すときは、まず使用量を確認し、次に前年同月や前月と比較して原因を絞り込むことが大切です。

使用量の増加に心当たりがない場合は、漏電の可能性も視野に入れましょう。

この項目では、電気代が上がっているか確認する3つの手順を解説します。

検針票・電力会社アプリで使用量を確認する

検針票には今月の使用量(kWh)・請求金額・検針日などが記載されています。

お客様番号や供給地点特定番号は契約切り替えに必要な情報のため、第三者へ不用意に見せないよう注意しましょう。

スマートメーターが導入されている家庭では、電力会社のウェブサイトやアプリから日ごと・時間ごとの使用量を細かく確認できます。

どの時間帯に電気を多く使っているかが把握しやすくなります。

電気代の内訳には、電力量料金に加えて燃料費調整額や再エネ賦課金などが反映されます。そのため、請求金額が上がっていても使用量自体は変わっていないケースもあります。

まずは金額ではなく、使用量(kWh)を確認することが、原因特定の第一歩です。

電気料金の詳しい計算方法について詳しくは、以下の記事で紹介しています。

電気料金の計算方法は?料金の決まり方を知って効率的に節約しよう

前年同月・前月と比較して原因を絞り込む

電気使用量は季節によって大きく変動するため、前月比だけでなく前年同月比での比較も重要です。

冷暖房を使う夏や冬は、電気使用量が増えるのが一般的です。前年同月比でも大きく増えている場合は、生活面で変化がなかったかを確認しましょう。

また、在宅ワークの開始やペットを飼いはじめる、家族構成の変化などによって使用量が増えることもあります。

電気代が上がっているのに使用量(kWh)が変わっていない場合は、燃料費調整額や再エネ賦課金など、料金制度の影響が考えられます。

使用量と金額の両方が増えている場合は、生活上の原因と社会的な原因が重なっている可能性が高いといえます。

漏電が疑われるケースのチェック方法

使用量の増加に心当たりがない場合や、異常な増加が見られる場合は、漏電の可能性を確認しましょう。

通常は漏電などで異常電流が流れると、漏電ブレーカーが自動で作動して電気を遮断します。

安全ブレーカーを1つずつ上げていき、特定のブレーカーを上げた時点で漏電ブレーカーが再び作動した場合は、その回路(部屋や場所)で漏電が発生している可能性が高いと考えられます。すべてのブレーカーを上げても漏電ブレーカーが作動しない場合は、漏電以外の原因が考えられます。

漏電箇所を特定するための確認手順は、以下のとおりです。

  1. 分電盤の安全ブレーカーを下げる
  2. アンペアブレーカーを上げる
  3. 漏電ブレーカーを上げる
  4. 安全ブレーカーを1つずつ上げていく

漏電箇所が特定できた場合は、該当する安全ブレーカーを下げた状態にしたうえで、建物の管理会社や電気工事店、契約中の電力会社へ点検・修理を依頼してください。ご自身での確認が不安な場合は、無理をせず専門業者に相談しましょう。

電気代が上がる「社会的・制度的な原因」

電気代が上がる「社会的・制度的な原因」

電気代の値上がりは、家庭での電気使用量の増加だけが原因ではありません。

個人の努力では防ぐことが難しい社会的・制度的な背景が大きく影響している場合も多くあります。

ここでは主な3つの原因を紹介します。

燃料費の高騰

日本の発電の約76%は火力発電(石炭・LNG・石油)が占めており、発電用燃料のほぼ全量を海外からの輸入に依存しているのが現状です。

ところが、2022年2月のロシアによるウクライナ侵略をきっかけに、世界的にエネルギー資源の調達競争が発生し、LNG価格が急騰しました。

欧州が代替調達に動いたことで、日本を含むアジア市場にも価格高騰が波及しています。

LNG市場では、供給能力の伸びが需要に追いつかず、需給の逼迫した状態が続いており、IEAも供給余力の低下を指摘しています。

こうした国際的な燃料費の変動は、燃料費調整額として毎月の電気代に直接反映される仕組みとなっており、電気代の値上がりにつながっています。

再エネ賦課金の上昇

再エネ賦課金は、再生可能エネルギーの普及に必要な費用を電気利用者が広く負担する仕組みです。

正式名称は再生可能エネルギー発電促進賦課金で、FIT制度(固定価格買取制度)などに必要な費用の一部として徴収されています。

賦課金単価は毎年度見直されており、2026年度は4.18円/kWhに設定されています(※1)。

この単価は、2026年5月検針分から2027年4月検針分まで適用されます。

月400kWhを使用する家庭では、再エネ賦課金だけで月1,672円、年間で20,064円の負担になります。

具体例として、経済産業省が公表する賦課金単価の推移では、2025年度の3.98円/kWhから2026年度に0.20円引き上げられ、はじめて4円台となっています。

(※1)出典:経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」

円安の進行

円安の進行も電気代の値上がりの要因の一つです。

燃料費調整制度では、燃料価格を円建ての日本着ベース価格に換算し、毎月の電気代に反映しています。

2022年のウクライナ侵略後、燃料価格の高騰と急激な円安が同時に進行し、その結果、2022年の最も価格が高騰した時期には、LNG輸入価格は2022年1月比で約1.7倍、石炭は約2.8倍に達しました。

円安は、輸入コストの高騰をさらに押し上げる要因となっており、資源エネルギー庁によると、日本の化石燃料輸入額は2020年から2022年までの2年間で22兆円以上増加しました(※2)。

化石燃料の取引は米ドル建てが主流のため、円安の局面が続く昨今では、輸入燃料のコスト増が家庭の電気代につながる構造となっています。

(※2)出典:資源エネルギー庁「エネルギーに関するさまざまな動きの今がわかる!「エネルギー白書2024」」

家庭の電気代が上がりやすい「生活上の原因」

電気代が高くなる原因は、社会的な仕組みだけではありません。

季節による冷暖房の使用や在宅時間の増加、古い家電の使用や待機電力なども、電気代を押し上げる要因になります。

季節による電気代の変動

家庭の電気使用量は季節や昼夜で大きく異なります。

近年は、冷暖房の使用状況によって、夏季・冬季と春季・秋季の使用量の差が拡大しています。

家庭で消費電力が大きい電化製品の代表例は、エアコンなどの空調機器です。冷暖房の使用が増える夏(7〜9月)・冬(12〜3月)は、電気代が大きく上昇しやすい傾向があります。

一般的な従量電灯プランでは、使用量が増えるほど料金負担が大きくなりやすい仕組みです。料金の仕組みは電力会社やプランによって異なるため、契約中の料金プランもあわせて確認しましょう。

世帯ごとや地域別の電気代平均について詳しくは、以下の記事で紹介しています。

電気代の平均はいくら?世帯・地域・季節別の違いや節約ポイントを紹介

リモートワークや家族構成の変化による使用量の増加

在宅時間が増えると、昼間の電力使用量が増えやすくなります。

特にテレワークをしている場合は、照明・エアコン・パソコンなどの稼働時間が長くなりやすいです。

また、家族の人数が増えるほど、照明や家電の使用時間も長くなる傾向にあります。

古い家電の利用や待機電力が積み重なる

冷蔵庫・エアコン・照明などの主要家電は、旧型機器ほど消費電力が大きい傾向があります。10年前の冷蔵庫と比べて最新機種は約21〜30%、エアコンは約14%省エネ性能向上がみられます。

古い家電を長く使い続けると、気付かないうちに電気代が高くなっていることもあります。また、使っていない家電のコンセントを抜いたり節電タップを活用したりすることで、待機電力を削減できます。

【家電別】今すぐできる節電対策

【家電別】今すぐできる節電対策

ここからは、家電ごとに今すぐ実践できる節電対策を紹介します(※3)。

(※3)出典:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」

エアコンの節電ポイント

エアコンのフィルターの汚れは、消費電力を大きく増やす原因です。2週間に1度を目安に掃除することで、年間約990円の節約効果が期待できます。

冷房の設定温度は室温28℃を目安にし、風量を自動設定することで無駄なフル稼働を防げます。また、短時間(30分程度)の外出であれば、電源をこまめに切るよりも、つけっぱなしの方が節電になる場合もあります。

夏は扇風機やサーキュレーターと併用して空気を循環させると、設定温度を上げても快適に過ごしやすくなります。

サーキュレーターの効果的な使い方について詳しくは、以下の記事で紹介しています。

サーキュレーターの使い方は?冷暖房や換気など目的別に効果的な置き場所を解説

冷蔵庫・照明・給湯器の節電ポイント

冷蔵庫の設定温度を「強」から「中」に変えることで、年間約1,910円の節約効果が期待できます。食品を詰めすぎると冷気の循環が悪くなるため、スペースに余裕を持たせましょう。

照明は蛍光灯からLED電球に交換すると、消費電力を約50%削減できます。さらにLED電球は寿命も長く、交換の手間や買い替えコストも抑えられます。

給湯器の設定温度を季節にあわせて調整したり、追い焚きを減らしたりすることも電気代の節約につながります。

待機電力を減らすポイント

待機電力を減らすには、家電の使用頻度に合わせた対策が有効です。まず、シーズンオフのエアコンや電気ストーブなど、長期間使用しない家電は、電源プラグを抜いておきましょう。

一方、頻繁に使う家電にはスイッチ付きの節電タップが便利です。都度電源プラグを抜く手間をかけずに、スイッチの切り替えだけで手軽に待機電力を減らせます。

また、テレビや洗浄便座など、常時通電している機器の使い方を季節によって見直すことでも節約効果が期待できます。不要な機能(温水洗浄便座のヒーターなど)をオフにすることで、電気代の節約につながります。

電力会社・料金プランの見直しもおすすめ

2016年4月の電力小売全面自由化により、すべての消費者が電力会社や料金プランを自由に選べるようになりました。

電力自由化後は、セット割引やポイントサービス、時間帯別料金など多様な料金プランが登場しています。

電力会社の切り替えは、申し込み先の電力会社で手続きできるため、利用者の負担は小さくて済みます。

切り替え時は、検針票などに記載されたお客様番号や供給地点特定番号が必要になることが多くあります。

乗り換え先を選ぶ際は、料金の安さだけでなく、契約期間や解約手数料などもあわせて確認しましょう。

新電力の特徴や従来の電力会社との違いについて詳しくは、以下の記事で紹介しています。

新電力とは?従来の電力会社との違いや節約につなげるための選び方を解説

まとめ

電気代が上がる原因は、社会的な要因と家庭内の要因に分けられます。まずは検針票やアプリで使用量を確認し、電気代の上昇原因が料金単価によるものか、使用量によるものかを切り分けることが対策の第一歩です。

エアコンのフィルター掃除や設定温度の見直しなど、今日からできる節電対策を組み合わせると効果が高まります。

生活習慣の見直しに加えて料金プランの乗り換えも検討することで、継続的な電気代の削減につながります。

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新井 智美(あらい ともみ)

ファイナンシャルプランナー。2006年11月 卓越した専門性が求められる世界共通水準のFP資格であるCFP認定を受けると同時に、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士1級を取得。2017年10月 独立。主に個人を相手にお金に関する相談及び提案設計業務を行う。個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス)の他、資産運用など上記内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、執筆・監修業も手掛ける。これまでの執筆・監修実績は3,000本以上。