エアコンの仕組み

エアコンは、室内機と室外機がセットになっており、2つをつなぐパイプの中を「冷媒」という熱を運搬する物質が循環しています。冷媒を介して室内外の空気を交換し、部屋の温度を調整しているのです。

電気代を抑えるコツを把握するために、まずはエアコンの仕組みを理解しておきましょう。

冷房の仕組み

冷房の仕組み

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「空調 | 無理のない省エネ節約 省エネポータルサイト」(加工して使用)

冷房時は、室内機が室内の熱を集め、室外機を経由して外に放出することで部屋の温度を下げています。

冷房をつけると室内の熱い空気が室内機に取り込まれ、熱交換器と呼ばれる部品によって冷媒に伝えられ、室外機に運ばれて熱が室外に放出されます。
冷房使用中に室外機から熱風が出ているのは、冷媒がパイプを通って室外に熱を排出しているためです。

冷媒は熱を放出した後に減圧機で減圧され、低温になった状態で室内機に戻ります。そして、熱交換器で冷たい空気となって室内に放出されることで室温が下がる仕組みです。

暖房の仕組み

暖房の仕組み

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「空調 | 無理のない省エネ節約 省エネポータルサイト」(加工して使用)

暖房時は、室外機が外気の熱を集め、室内機から部屋に暖かい空気を放出することで室温を上げています。

暖房をつけると室外機の熱交換器が外気の熱を集めて冷媒に乗せます。熱を乗せた冷媒を圧縮機で圧縮することで、冷媒の温度が上昇します。高温になった冷媒が室内機に送られ、熱交換器を通過して暖かい風を吹き出す仕組みです。

除湿・送風との違い

冷房と除湿は、使用目的が異なります。冷房は部屋の温度を下げることを目的として使用するのに対し、除湿は部屋の湿度を下げるために使います。

エアコンの除湿機能は、湿度の高い室内の空気を室内機が吸い込み、吸い込んだ空気の温度を下げて室外のホースから水滴として排出することで部屋の湿度を下げています。

空気は温度が高いとたくさんの水分を蓄えられ、温度が低くなると蓄えられる水分量が減る性質があるため、空気の温度が下がって空気中に蓄えられなくなった水分は水滴になるのです。

エアコンによっては、弱冷房除湿と再熱除湿の2種類の除湿機能が搭載されています。弱冷房除湿は湿度を下げつつ冷たい空気を室内に送る機能で、再熱除湿は温度を下げた空気を適度に温めてから室内に送り出す機能です。

弱冷房除湿は冷房よりも電気代が安くなる傾向があり、再熱除湿は冷房よりも電気代が高くなる傾向があります。

ただし、除湿と冷房では使用目的が異なり、使用環境や使用方法によって電気代が変わるため、湿度を下げたいときは除湿を使い、室温を下げたいときは冷房を使うのがおすすめです。

また、エアコンには送風機能が搭載されているものもあります。送風は、室内の温度や湿度を変えずに空気を循環させる機能です。冷房や暖房のように熱交換器を使わないため、運転時の電気代が安い傾向があります。

エアコンの電気代の計算方法

エアコンを稼働させるときに電気代が気になる方は多いでしょう。ここでは、エアコンの電気代を算出する方法を紹介します。

エアコンの消費電力から電気代を計算する方法

エアコンの電気代は「消費電力( kW )× 電力料金単価 (円/kWh)× 使用時間(h)」で算出できます。
エアコンの消費電力は、型番によって異なるため、取扱説明書やメーカーのホームページで確認しましょう。ただし、暖房・冷房で消費電力が異なることを考慮する必要があります。

電力料金単価は電力会社や契約している料金プランによって異なるため、検針票などで確認しましょう。ここでは、全国家庭電気製品公正取引協議会が目安として定めている31円/kWhを使用して冷房時の電気代の計算例を紹介します。

たとえば、400Wのエアコンを1時間使用したときの電気代は以下のとおりです。

0.4kW×31円/kWh×1h=12.4円

1日あたり5時間使用した場合の1カ月(30日間)の電気代は、1,860円です。

エアコンの期間消費電力量から電気代を計算する方法

エアコンの電気代は、消費電力以外に期間消費電力量を用いて算出することもできます。期間消費電力量とは、東京の外気温度をモデルとして一定条件のもとにエアコンの1年間あたりの消費電力の目安量を示したものです。

型番ごとの期間消費電力量は、各メーカーのホームページやカタログなどで確認できます。期間消費電力量を用いた1年間の電気代は「期間消費電力量(kWh)×1kWhあたりの料金単価(円/kWh)」で算出できます。

たとえば、期間消費電力量が600kWhのエアコンを1年間使用した場合の電気代は、以下のとおりです。

600kWh×31円/kWh×1=1万8600円

エアコンの推奨設定温度は?

環境省は、夏は室温を28℃、冬は20℃とすることを推奨しています。ただし、これはエアコンの設定温度ではないため、温度計で室温を確認しながら快適な室温を保てるように調整する必要があります。

エアコンは、室内が設定温度になるように運転を自動で調整するため、外気温の影響で一時的に室温が上下したり、温度のムラができたりする場合があります。

そのため、温度計で室温を確認しながら快適な室温を保てるようにエアコンの設定温度を調整しましょう。

なお、夏の冷房時の温度設定を1℃高くすると約13%消費電力が削減でき、冬の暖房時の温度設定を1℃低くすると約10%消費電力の削減につながるといわれています。

エアコンのつけっぱなしは節約になる?

エアコンはつけっぱなしにしておく方が電気代を安くできる可能性があります。なぜなら、エアコンは電源を入れた直後に設定温度に早く近づけるために消費電力が大きくなるからです。

快適な温度になったタイミングで電源を切って、しばらくしてから再びつけるような使い方をすると、エアコンは少しでも早く室内の温度を設定温度に近づけようとして余計に電力を消費してしまいます。

そのため、外気温や室内の状況によって異なるものの、30分以内の外出であればつけっぱなしにしたほうが電気代を抑えられる可能性が高いといえるでしょう。

すぐにできるエアコンの電気代を節約する方法

すぐにできるエアコンの電気代を節約する方法

エアコンの電気代は、以下のような点を意識することで節約できます。

  • フィルターを定期的に掃除する
  • 室外機の前に物を置かない
  • 室外機への直射日光を避ける
  • 風量を自動に設定する
  • 扇風機やサーキュレーターを併用する
  • 窓に断熱シートを貼る
  • 湿度を調整する

それぞれの節約方法を詳しく紹介します。

フィルターを定期的に掃除する

エアコンのフィルターが目詰まりしていると冷暖房の効果が下がり、余計な電気を消費してしまうため、フィルターを定期的に掃除することが大切です。

フィルターをきれいにすることで、冷房時で約4%、暖房時で約6%の消費電力を削減できるといわれています。フィルターが目詰まりしていると冷暖房の効果が下がり、余計な電気を消費してしまいます。

なお、自動掃除機能付きのエアコンであっても、油汚れやタバコのヤニ、ペットの毛などはきれいに取り除けないため、月に1、2回を目安にフィルターを取り外して水洗いしましょう。

室外機の前に物を置かない

エアコンは室外機から熱を放出したり集めたりして室内の温度を調整しています。そのため、室外機の前に物を置いて吹き出し口を塞いでしまうと、冷暖房の効果が下がって余分な電力を消費してしまいます。

室外機がスムーズに空気を循環できるように、室外機の周囲は整理しておきましょう。

室外機への直射日光を避ける

エアコンは、冷房時に室内の熱を室外機から排出することで室温を下げています。そのため、室外機が直射日光にさらされて高温になっていると、熱の排出効率が下がって多くの電気を使うことになります。

室外機の熱の排出効率を高めるためには、日除けカバーや植木で日陰をつくり、室外機が高温にならないようにすることが大切です。ただし、日除けカバーや植木が室外機の吹き出し口を塞いでしまうと冷暖房効率が下がるので注意しましょう。

風量を自動に設定する

エアコンの風量は、「強」や「弱」など様々なモードがありますが、「自動」に設定するのがおすすめです。自動モードに設定しておくことで、電源を入れた直後は室温が設定温度になるように強風で運転し、設定温度に近づくと自動で微風に切り替わるため、効率的に運転できます。

電気代を抑えようとして最初から弱風や微風に設定すると、設定温度に達するまでの時間が長くなり、余計に電気を使うことになるので注意しましょう。

扇風機やサーキュレーターを併用する

暖かい空気は上に向かい、冷たい空気は下に向かう傾向があるため、エアコンを使用した際に室内に温度ムラができる場合があります。温度ムラがあると、エアコンは設定温度に達していないと判断して余計な電力を消費するので注意が必要です。

温度ムラを防ぐためにも、エアコンを使用する際は扇風機やサーキュレーターを併用して空気を循環させましょう。

窓に断熱シートを貼る

窓に断熱シートを貼ると、外気の影響を受けにくくなり、エアコンの無駄な電力消費を抑えられます。

断熱シート以外にもカーテンや簾(すだれ)などを使って直射日光を遮断するのも効果的です。

湿度を調整する

快適な環境は温度だけでなく湿度によっても左右されます。たとえば、暖房時に湿度を上げれば、設定温度が低くても暖かく感じられます。

エアコンの消費電力を抑えるためにも、暖房使用時は空気清浄機の加湿機能や加湿器を用いて湿度を調整しましょう。

根本的にエアコンの電気代を節約する方法

エアコンの電気代は、こまめな掃除や使い方の見直しによって抑えられます。しかし、根本的にエアコンの電気代を節約するためには、買い替えや電力会社の乗り換えを検討するのが効果的です。

ここからは、根本的にエアコンの電気代を節約する方法を紹介します。

古いエアコンを買い替える

近年のエアコンは省エネ性能が向上しており、10年前と比べて約17%の省エネを実現しています。そのため、10年以上前のエアコンを使用している場合は、買い替えることで電気代の節約が期待できます。

エアコンの寿命は10年程度といわれています。古いエアコンを使い続けている場合は、新しいエアコンに買い替えることを検討してみましょう。ただし、エアコンの購入費としてまとまった費用が必要となるため注意が必要です。

電力会社やプランを見直す

電気代は電力会社によって異なります。そのため、電力会社やプランを見直すことで電気代を抑えられる可能性があります。また、プランが適切でなければ必要以上の電気代を支払っている可能性もあるので注意が必要です。

電力自由化によって好きな電力会社を選べるようになったため、電力会社やプランを見直してみましょう。

まとめ

まとめ

エアコンの電気代は、消費電力から計算できます。電気代を抑えるためには、フィルターを定期的に掃除したり、使い方を見直したりすることが大切です。

また、10年以上前のエアコンを使っている場合は買い替える、比較的新しいエアコンを使っている場合は電力会社やプランを見直すなども効果的です。無理なく取り組める範囲でエアコンの電気代を節約しましょう。

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大岩 俊之(おおいわ としゆき)

家電製品総合アドバイザー。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。