1kWhとは?

1kWhとは、1kWの電力を1時間消費したときの電力量のことです。電力会社は「電気使用1kWhあたり何円」という電気料金の単価を設定しています。

電力量(kWh)は、「消費電力(kW)×時間(h)」で算出します。そのため、消費電力(W)の大きい製品を長時間使うほど電力量(kWh)も多くなり、電気代も高くなるというわけです。

1kWhあたりの電気代は約31円(税込)

全国家庭電気製品公正取引協議会が目安として定めている電力料金単価は、31円/kWhです。

ただし、電力料金単価は電力会社や契約している電気料金プランによって異なるため、電力会社から送られてくる検針票でご自身に適用されている電力料金単価を確認しましょう。

電力会社ごとに電気料金が違うのはなぜ?

2016年より前は、一般家庭の電気料金は法律で定められた方法によって決められていました。しかし、2016年4月1日以降、電力自由化によって電力事業への新規参入が全面自由化されました。

電力自由化以降の電気料金は、「法令などにより算定される費用」と「電力会社の裁量で算定される費用」の合計額です。電力会社の裁量で算定される費用による価格競争が生まれるようになったため、電力会社ごとに料金が異なる仕組みです。

電気代の内訳

電気代は、「基本料金」「電力量料金(燃料費調整額を含む)」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の3つで構成されています。それぞれについて紹介します。

基本料金

基本料金とは、電力会社やプランによって異なる最低料金のことです。電力使用量にかかわらず、毎月一定額の基本料金が請求されます。中には基本料金を0円としている電力会社もあります。

電力量料金

電力量料金は、電力使用量に応じて支払う料金のことです。電力量料金は3段階料金制をとっている電力会社が多く、使う電気が多いほど電力量料金が高くなり、それに伴い電気代も高くなります。

電力量料金は、電力使用量に応じた料金から燃料費調整額を加算または差し引いて算出します。燃料費調整額とは、原油や石炭などの火力燃料の価格変動を電気料金に反映させるための金額です。

燃料費調整額により、火力燃料の価格が上がると電気料金が上がる仕組みになっています。

また、近年では市場調整料金も追加されています。市場調整料金とは、市場価格の変動を電気料金に反映させるための料金です。一部の電力会社では、この市場調整料金を採用し、市場価格の変動に応じて毎月の電気料金が調整されています。

再生可能エネルギー発電促進賦課金

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、再生可能エネルギーによる電気を買い取るためにかかる料金のことです。電力会社を通じて国に支払われており、「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価×1カ月の電力使用量」で算出されます。

単価は全国一律で、経済産業大臣が年度ごとに設定しています。2024年度(2024年5月分~2025年4月分)の単価は3.49円/kWhです。

世帯人数別の平均的な電気代は?

総務省の2023年家計調査結果によると、世帯人数別の1カ月あたりの平均的な電気代は以下のとおりです。

世帯人数 1カ月あたりの平均的な電気代
1人 6,726円
2人 10,940円
3人 12,811円
4人 13,532円
5人 14,373円
6人以上 18,941円

世帯人数別の平均的な電気代は、1人暮らしで約7,000円、2人以上では1万~2万円程度であることがわかります。

ご自身の世帯の毎月の電気代と比較し、平均額を大きく上回る場合は電気代節約を心掛けると良いでしょう。

家電別の消費電力と電気代

家電別の消費電力と電気代

家電別の消費電力と電気代を解説します。なお、電力料金単価は電力会社や契約している電気料金プランによって異なるものの、ここでは全国家庭電気製品公正取引協議会が目安として定めている31円/kWhを使用します。

エアコン

エアコンの電気代は消費電力または期間消費電力量を用いて算出できます。

消費電力を用いて電気代を計算する場合は、「消費電力( kW )× 電力料金単価 (円/kWh)× 使用時間」で算出できます。なお、エアコンの消費電力は暖房・冷房で異なるので注意が必要です。

たとえば、冷房時の消費電力が400Wのエアコンを1時間使用したときの電気代は、以下のとおりです。

0.4kW×31円/kWh×1=12.4円

1日5時間使用した場合は、12.4円×5時間=62円となります。

期間消費電力量を用いて算出することもできます。期間消費電力量とは、東京の外気温度をモデルとした一定条件のもとでエアコンが1年間に消費する電力の目安量を示したものです。

型番ごとの期間消費電力量は、各メーカーのホームページやカタログなどで確認できます。

期間消費電力量を用いた1年間の電気代は「期間消費電力量(kWh)×1kWhあたりの料金単価(円/kWh)」で算出できます。

たとえば、期間消費電力量が600kWhのエアコン を1年間使用した場合の電気代は、以下のとおりです。

600kWh×31円/kWh×1=1万8600円

冷蔵庫

冷蔵庫の電気代は「年間消費電力量(kWh)× 電力料金単価 (円/kWh)」で算出できます。年間消費電力量は、冷蔵庫の本体や取扱説明書に記載されています。

たとえば、年間消費電力量が300kWhの冷蔵庫の1日あたりの電気代は、以下のとおりです。

300kWh× 31円/kWh÷365日=約25円

電子レンジ

電子レンジの1時間あたりの電気代は「消費電力( kW )× 電力料金単価 (円/kWh)× 使用時間」で算出できます。

電子レンジの一般的な消費電力は、メーカーや機種によって異なるものの、1300~1400W程度です。たとえば、消費電力が1400Wの電子レンジの1時間あたりの電気代を算出すると、以下のようになります。

1.4kW×31円/kWh×1=43.4円

電子レンジを5分間使用した場合の電気代は、以下のとおりです。

43.4円÷60分×5分=約3.6円

洗濯機

洗濯機の消費電力はメーカーや機種によって異なるものの、ドラム式洗濯機は270W程度、縦型洗濯機は495W程度です。

洗濯機の1時間あたりの電気代を「消費電力( kW )× 電力料金単価 (円/kWh)× 使用時間」で算出すると、以下のようになります。

ドラム式洗濯機:0.27kW×31円/kWh×1=約8.4円
縦型洗濯機:0.495kW×31円/kWh×1=約15.3円

ドライヤー

ドライヤーの消費電力はメーカーや機種によって異なるものの、1,200W程度と消費電力が大きい電化製品の1つです。

1回あたりの使用時間は短くても、複数人が毎日使用すれば電気代が膨らんでしまいます。ドライヤーの1時間あたりの電気代を「消費電力( kW )× 電力料金単価 (円/kWh)× 使用時間」で算出すると、以下のようになります。

1.2kW×31円/kWh×1=37.2円

10分あたりの電気代は、6.2円です。

電気代が高くなっている理由

電気代は、様々な要因で高くなっています。ここでは、電気代が高くなっている理由について解説します。

燃料価格の高騰

ロシアのウクライナへの侵攻により、化石燃料の輸出国であるロシアからの調達を制限することになったため、世界的にもエネルギー価格が上昇しました。石炭や天然ガスなどの燃料価格が高騰したことで電気代も高くなっています。

また、電気・ガス価格の激変緩和措置が2024年5月で終了したことも電気代が高くなる要因となります。2023年2月からは、政府が電気やガスの小売事業者に対して支援を行うことで、電気・ガスの利用者が支払う利用料金が値引きされていましたが、電気・ガス価格の激変緩和措置の終了に伴い、2024年6月使用分からは値引きされなくなりました。しかし、政府は「酷暑乗り切り緊急支援」として2024年の8月からの3カ月間、電気・ガス料金の一部補助を再開することを発表しました。

また、2024年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金が昨年度よりも高くなったことも電気代が高くなった要因として挙げられます。再生可能エネルギー発電促進賦課金は、再生可能エネルギーの導入状況や市場価格を踏まえて経済産業大臣が毎年度設定しています。

そして、2024年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金は、1kWhあたり3.49円と発表され、2023年度よりも1カ月あたりの電気代が500円ほど高くなっています。

電力供給不足

2011年3月11日の東日本大震災によって日本の原子力発電所がすべて停止となり、東日本大震災前に稼働していた60基の原子力発電所のうち、2024年4月時点で再稼働しているのは12基のみとなっています。

電力需要に対して供給が不足気味であり、その不足分を火力発電所がまかなっていますが、火力発電の原料が高騰しているために電気代が高くなっているのです。

電気代を節約する方法

電気代を節約する方法を紹介します。

こまめに電源を切る

ほとんどの家電製品は、使用していないときも待機電力としてある程度の電力を消費しています。待機電力を抑えるためには、家電製品の主電源をこまめに切るようにすることが大切です。

ここでは、一部の家電の電気代節約方法を紹介します。

テレビ

テレビは見ていないときに消すだけでなく、長期間見ないときには電源プラグを抜くことが大切です。画面をつけていなくても、電源プラグを挿して待機している状態のときに電力を消費するので注意しましょう。

パソコン

パソコンは、一定時間キーボードやマウスの操作がなかった場合に自動で待機モードになるスリープ機能をうまく活用することで節電できます。

パソコンは起動時に消費電力が大きくなるため、短時間の離席であればシャットダウンするよりスリープの方が節電効果が高くなる可能性があります。

長時間使わないときは電源プラグを抜くようにしましょう。

エアコン

エアコンは、必要なタイミングで使うことを心がけましょう。使用しない場合は、電源プラグを抜いておくことで待機電力の消費も抑えられます。

ただし、エアコンは最初に早く設定温度に近づけるために消費電力が大きくなるため、30分以内の外出であればつけっぱなしにする方が電気代を抑えられる可能性があります。30分以上外出する場合は、電源を切るようにしましょう。

家電製品を見直す

近年の家電製品は10年前に比べて省エネ性能が向上しています。たとえば、エアコンは10年前に比べて約17%、冷蔵庫は約40〜47%、 LEDランプは一般電球に比べて約86%省エネ性能が高くなっています。

そのため、古い家電製品を使い続けるよりも新しいものに買い替えた方が電気代を抑えられる可能性があります。

電力会社やプランを見直す

電気代は電力会社によって異なるため、電力会社や料金プランを見直すことで電気代を抑えられる可能性があります。

電気を多く使う場合は、従量料金が安い、または一律である電力会社を選ぶことで、電気代を抑えられます。一方で、電気をあまり使わない場合は、基本料金の有無など自分の使用量に応じた電力会社の検討が必要です。

また、料金プランが適切でなければ必要以上の電気代を支払っている可能性があります。一定の使用量までは定額のプランや、ガスとセットにすることでおトクになるプランなど、様々なプランが用意されているため、自分にあったプランを選択しましょう。

電力自由化によって好きな電力会社を選べるようになったため、契約している電力会社やプランを見直してみましょう。

まとめ

まとめ

1kWhあたりの電気代は、電力会社や契約している電気料金プランによって異なります。全国家庭電気製品公正取引協議会が目安として定めている電力料金単価は、31円/kWhです。ご自身の電力料金単価は、契約している電力会社から送られてくる検針票、またはインターネットのマイページなどで確認できます。

電気代は「電力量(kWh)× 電力料金単価 (円/kWh)」で算出できます。それぞれの電化製品の電気代を見直して節約につなげましょう。

電化製品を買い替えるには、手間も費用もかかるため、大きな初期費用をかけずに長期的なランニングコストを見直すには、電力会社の見直しも視野に入れて検討しましょう。

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この記事を監修した人
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新井 智美(あらい ともみ)
1級FP技能士・CFP

2006年11月 卓越した専門性が求められる世界共通水準のFP資格であるCFP認定を受けると同時に、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士1級を取得。2017年10月 独立。主に個人を相手にお金に関する相談及び提案設計業務を行う。個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス(、企業向け相談(補助金、助成金の申請アドバイス・各種申請業務代行)の他、資産運用など上記内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、執筆・監修業も手掛ける。