1カ月の平均的な食費はいくら?

食費を節約しようと思っても、1カ月の平均的な食費がいくらなのかわからなければ、どのくらい抑えればいいのか判断できません。まずは、1カ月の平均的な食費について、総務省の2023年家計調査のデータ(※1)をもとに解説します。

(※1)出典:総務省統計局「2023年 家計調査」

世帯人数別の1カ月の食費

世帯人数別の1カ月あたりの食費は、以下のとおりです。

世帯人数 1カ月あたりの食費
単身世帯 42,584円
二人世帯 72,399円
三人世帯 85,557円
四人世帯 90,712円

単身世帯の1カ月の食費は約42,000円です。二人世帯は約72,000円なので、2倍まではいかないものの1.7倍ほどに増えていることがわかります。

3人、4人と世帯人数が増えるにしたがって食費も増えますが、増加の幅は緩やかになっていきます。子どもの成長に伴い食費は増加する傾向があるため、子どもが大きくなると平均よりも食費が大幅に増えるケースもあるでしょう。

世帯収入別の1カ月の食費

世帯収入別の1カ月の食費とエンゲル係数は以下のとおりです。

年収 1カ月あたりの食費 エンゲル係数
200万円未満 53,207円 34.3%
200~250万円 61,613円 31.2%
250~300万円 65,783円 32.6%
300~350万円 71,000円 31.4%
350~400万円 72,696円 29.5%
400~450万円 76,855円 29.5%
450~500万円 78,226円 29.3%
500~550万円 77,590円 28.4%
550~600万円 79,839円 27.8%
600~650万円 82,067円 28.0%
650~700万円 84,003円 28.2%

世帯の年収が増えるにつれて、食費の平均額も増えていく傾向があります。とはいえ、年収の増加幅ほど増えているわけではありません。

家計に占める食料費の割合であるエンゲル係数は、年収が低いほど高いのがわかります。つまり、年収が高くなるほど、支出のうち食費が占める負担は抑えられていくということです。

ただし、どの年収であってもエンゲル係数は30%前後で推移しています。食費は家計の支出のうち、3割ほどを占めているといえるでしょう。家計のエンゲル係数が高いと感じたら、食費を節約できる余地があると考えられます。

世帯主の年齢階級別の1カ月の食費

世帯主の年齢階級別の1カ月の食費とエンゲル係数は、以下のとおりです。

世帯主の年齢階級 1カ月あたりの食費 エンゲル係数
29歳以下 41,509円 22.9%
30〜39歳 64,792円 26.8%
40〜49歳 79,060円 26.7%
50〜59歳 73,316円 24.7%
60〜69歳 72,790円 27.3%
70歳以上 61,591円 29.7%

20代の若い世代は収入が少ないため、食費が抑えられておりエンゲル係数も低くなると考えられます。収入が増えていく30〜49歳は、20代に比べて支出できる食費額も増えるため、エンゲル係数が高くなりやすいです。子育て世帯が増えることも、30〜40代が20代に比べて食費が増える理由と推測できます。

また、60歳以上は定年退職する方が増えるため、多くの世帯で収入が減少します。収入の減少に伴って支出も減少しますが、食費は大きく減少しないのでエンゲル係数が高くなると考えられます。

食費を節約する方法

食費を節約する方法

世帯人数や年収ごとの食費平均額と比較して、家計の食費が多く負担が大きいと感じるなら、食費を節約する方法を考え実践してみましょう。

食費を節約する方法としておすすめなのが、以下の6つです。

  • 食費の予算を決める
  • 外食や中食の頻度を減らして自炊する
  • 買い物に行く頻度を週1〜2回にする
  • 安い食材を選ぶ
  • 食材の保存方法を工夫する
  • お弁当やマイボトルを持つ

それぞれ詳しく解説します。

食費の予算を決める

1カ月あたりいくら食費にあてているのか把握しなければ、どのくらい節約すべきかわかりません。食費を節約したいなら、まず食費の予算を決めることが大切です。

食費を抑えたいなら、エンゲル係数25%を目安として予算を決めるのがおすすめです。エンゲル係数は、「(食費÷消費支出)×100」の計算式で求められます。

例えば、現在の食費が月5万円で消費に使える生活費が15万円だった場合、「(5万円÷15万円)×100」でエンゲル係数は33%です。エンゲル係数を25%に抑えるためには、やりくりをして8%分である1万2,000円節約する必要があります。

ただし、エンゲル係数25%というのはあくまで目安です。厳しい節約は続かないので、無理のない範囲で少しずつ食費を抑えていきましょう。

外食や中食の頻度を減らして自炊する

外食だけでなく、お惣菜やお弁当を買う中食の頻度を減らして自炊をすることで、食費を抑えられる可能性は高まります。外食や中食は忙しいときでも美味しい食事を楽しめる方法ですが、頻繁に利用していると食費がかさみやすいからです。

総務省の2023年家計調査のデータをもとに、外食と調理食品購入にあてた費用が食費に占める割合を以下の表にまとめました。

世帯 食費 外食 外食 食費に占める
外食の割合
食費に占める
調理食品の割合
単身世帯 42,584円 9,915円 7,733円 23% 18%
二人世帯 72,399円 9,483円 11,056円 13% 15%
三人世帯 85,557円 13,408円 13,364円 15% 15%
四人世帯 90,712円 17,137円 13,050円 18% 14%

単身世帯では特に外食や調理食品購入が多く、食費の2割近くを占めています。外食を頻繁にしている、お弁当やお惣菜を買う回数が多いと感じているなら、頻度を抑えてみましょう。

しかし、料理が苦手だったり忙しかったりすると、外食や中食に助けられることもあるでしょう。上手に取り入れることで時間に余裕が生まれたり、ストレスから解放されたりするメリットがあるので、外食や中食を完全に断つと決めなくても問題ありません。

食費を抑えるために、無理のない範囲で自炊の回数を増やすのがおすすめです。手間がかからない料理からはじめてみる、休日にまとめて作り置きをするなどの方法を取り入れてみましょう。

買い物に行く頻度を週1〜2回にする

自炊をするなら食材を買いに行かなければなりませんが、買い物の頻度は週1〜2回に抑えるのがおすすめです。

買い物中に多くの商品を見ていると、不要なものまで買ってしまう可能性が高まります。買い物の回数を減らせば、無駄遣いを抑えられるでしょう。特売日やセールの時間などをねらえば、食費を抑えながらまとめ買いができます。

つい不要なものまで買ってしまうと自覚している場合は、買うべきものを決めた状態で買い物に行くと、予算内で買い物がしやすいでしょう。

安い食材を選ぶ

自炊するときは、安い食材を選んで購入すれば食費を抑えやすくなります。旬の食材は安いうえに栄養価が高いので、積極的に購入しましょう。

季節を問わず安く買える食材をメインにして、献立を決めるのもおすすめです。一般的なスーパーでは、鶏胸肉や豆腐、卵、もやし、トマト缶などが通年安く売られている傾向があります。

業務用スーパーなど、食材を安く購入できる店を利用するのもおすすめです。

食材の保存方法を工夫する

食材の保存方法を工夫すれば、食材の廃棄を減らして上手に食費を節約できます。

基本は賞味期限内に使い切れる量だけを購入し、多く購入してしまったときは冷蔵庫や冷凍庫を活用しましょう。肉や魚、ほうれん草やブロッコリーなどの野菜は冷凍保存できるので、安いときにまとめ買いして冷凍保存するのもおすすめです。

保存が効かない生野菜などの食品は、作り置きのおかずに調理すれば数日間保存できます。作り置きをしておくと、忙しくてつい外食したりお弁当やお惣菜を買ったりしてしまう可能性も抑えられるでしょう。

お弁当やマイボトルを持つ

ランチで外食が多い場合は、お弁当を持っていくようにすると食費を抑えられる可能性が高いです。

ランチ代を1,000円とした場合、平日20日間毎日ランチをすると、月のランチ代は2万円になります。

前日の作り置きを活用する、毎日が難しければ週の半分はお弁当を持参するなど、できるだけ負担を軽くしながらお弁当作りをはじめてみてください。

また、ついペットボトル飲料を買ったりカフェに寄ったりしてしまうなら、マイボトルを活用するのがおすすめです。飲み物を自宅で作って持ち歩けば、無駄に飲み物を買わなくなり、節約できます。

食費を節約するときの注意点

必要以上の外食や無駄な買い物を抑えれば、食費を節約できる可能性が高まります。しかし、食費の節約に注目しすぎると思わぬデメリットが起こることもあるので注意が必要です。食費を節約するときは、以下の注意点を意識してみてください。

色々なことを同時にはじめない

自炊頻度を増やしたり、買い物を計画的にしたり、お弁当やマイボトルを持参したりと、食費を抑える方法はたくさんあります。食費を抑えたいと気合いを入れるのはいいことですが、まずは何か1つからはじめるのがおすすめです。

一気に様々な行動をはじめると、制約が増えます。食生活に大きな変化が生じた結果、モチベーションを保てず、節約を継続できなくなるケースはめずらしくありません。

効果的な節約方法を知るのは大切ですが、無理せず1つずつ実践していきましょう。週1回の自炊を2〜3回に増やす、スーパーの特売日を覚えるなど、段階を踏んで良い習慣に変えていくと無理なく節約できるようになります。

食事の栄養バランスや彩りに気を配る

食費を抑えたいと思っても、栄養バランスや彩りを後回しにしないように注意してください。

食費を抑えたいと思うあまり食事を抜くと、健康を害する可能性があります。医療費がかかるようになれば、食費を抑えても最終的な支出は減らせません。また、食事を抜くと穴埋めのために間食が増えるケースもあります。食費を抑えても浪費が増えれば、節約はできないでしょう。

また、野菜が高いからといって買わなくなると、栄養バランスが乱れて健康を損ねるおそれがあります。食費を節約するためだけに買い物をすると、もやしや豆腐などばかりが食卓に並び、彩りがなくなりがちです。同じような食材だけでの食事が続けば、満足度も下がってしまうでしょう。

栄養バランスや彩りも考えたうえで、無理なく食費を抑えることが大切です。

外食や中食も適度に活用する

外食や中食の頻度を抑えれば、食費の節約が可能です。ただし、忙しくて自炊をする時間や気力がなかったり、どうしても面倒だと感じたりすることはあるでしょう。そのような場合は、外食や中食も適度に活用してください。

自炊しなければいけないという義務感が強くなると、ストレスになりがちです。その結果、食費以外の浪費が増え、自炊を頑張っても節約につながらない悪循環に陥ることもあります。

外食や中食は頻度を落とすことを意識しつつ、必要なときは利用しましょう。自炊用とは別に外食用の予算を用意すれば、食費を抑えながら適度に外食も楽しめます。

節約は食費以外でも可能

食費を削り過ぎるとモチベーションが下がったり、健康に悪影響が出てしまったりする恐れもあります。出費を抑えたいなら、食費以外の支出にも目を向けて、削れるところがないか考えるのが大切です。

食費以外の節約を考えるなら、以下をチェックしてみてください。

家計簿をつけて支出を把握

まずは節約の基本として、家計簿をつけるのがおすすめです。家計簿をつけると支出が明らかになるので、本当に抑えるべき出費は何かがわかります。

食費だけでなく、居住費や保険料、通信費、水道光熱費、日用品費などの記録もつけてみましょう。使ったときや寝る前など、家計簿をつけるタイミングを決めれば習慣化しやすくなります。

手書きでは家計簿が続かない場合は、レシート撮影やクレジットカード連携で記録ができる家計簿アプリの活用もおすすめです。自分が続けやすいと思える方法で、支出を記録してみてください。

通信費は節約しやすい出費

通信費は、一度契約会社や料金プランを見直せば継続的に支出を抑えられるので、節約しやすい出費です。食費を抑えるのが難しいと感じるなら、通信費を見直してみましょう。

スマートフォンの通信会社を三大キャリアから格安SIMに変えるだけで、月数千円単位で節約できるケースもあります。1カ月に使用しているデータ容量を確認し、快適性が損なわれない容量でよりおトクな料金プランがあれば、乗り換えを検討してみてください。

スマートフォンとインターネットのセット割プランを利用すれば、通信費を大幅に節約できる場合もあります。セットで契約して今よりおトクになるかどうか、確認してみましょう。使っていないオプションがないかもチェックして、無駄な出費を抑えてください。

光熱費の見直しでも節約が可能

近年ではエネルギー資源の価格上昇に伴って燃料費調整額が高騰したり、再生可能エネルギー発電促進賦課金が継続的に値上げしたりしているため、光熱費が高くなっています。それでも家賃や食費に比べると光熱費の支出額は少ない傾向がありますが、無駄を省いた習慣を身につければ継続的な節約が可能です。

こまめな節電を心がける、エアコン周辺を掃除するなどの対策で光熱費の節約に取り組んでみましょう。2人以上の世帯であれば、順番に入浴して追い焚きを減らすのも有効な節約方法です。

そもそも電気やガスの料金が高いなら、契約会社や料金プランを見直すことで節約できます。電力やガスの自由化により各社様々なプランを出しているので、今よりも光熱費を安くできないか検討してみてください。

食費を減らす対策をしながら、支出全体を抑えよう

食費を減らす対策をしながら、支出全体を抑えよう

食費はつい、かさんでしまいがちな出費なので、エンゲル係数25%程度に抑えるのが理想です。自炊をして外食の頻度を減らす、安い食材を積極的に活用するなどの方法で、食費を抑えましょう。

節約したいなら、食費だけにこだわらず、かさんでいる出費を見直すことが大切です。電気代やガス代は、契約会社やプランを変更することで継続的に節約できることもあります。

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この記事を監修した人
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鶏冠井 悠二(かいで ゆうじ)

1級FP技能士・CFP・証券外務員一種・投資診断士・節約生活スペシャリスト・クレジットカードアドバイザー®

コンサルタント会社、生命保険会社を経験した後、ファイナンシャルプランナーとして独立。「資産形成を通じて便利で豊かな人生を送って頂く」ことを目指して相談・記事監修・執筆業務を手掛ける。担当分野は資産運用、保険、投資、NISAやiDeco、仮想通貨、相続、クレジットカードやポイ活など幅広く対応。現在、WEB専門のファイナンシャルプランナーとして活動中。