電気の流れとブレーカーの仕組み

ブレーカーとは、分電盤のなかにある装置です。そもそも、分電盤やブレーカーの仕組みについて、よく分からないという方は少なくないでしょう。

まずは、電気が家庭に届くまでの流れとブレーカーの役割や種類について説明します。

電気が家庭に届くまでの流れ

電気が家庭に届くまでの流れ

発電所で作られた電気は、送電線によって送り出されます。電気は、一般家庭に届くまでに4つの変電所と1つの変圧器を通して、超高電圧から100ボルトまたは200ボルトまで変圧されます。

電圧を下げるのは、送配電線や変圧器の抵抗、発熱などによって電力が失われる「送電ロス」を減らして、効率的に電気を送るためです。

100ボルトまたは200ボルトに変圧された電気は、電柱と各家庭をつないでいる引込線によって運ばれ、まず分電盤に入ります。分電盤は、玄関や勝手口近くに設置されているのが一般的です。

ブレーカーの役割

ブレーカーの役割

ブレーカーとは、分電盤のなかに組み込まれた装置を指します。分電盤は玄関などにある四角いボックスで、なかには複数のブレーカーのほか、ボタンや中性線があります。

分電盤の主な機能は、以下の3点です。

  • 電気を分配する
  • 漏電を検知して電気を止める
  • 電気の使い過ぎがないか監視する

発電所から送り出された電気は引込線によって各家庭の分電盤に運ばれ、分電盤内の複数のブレーカーを通った後、それぞれ照明器具やコンセントへ振り分けられます。

ブレーカーの役割は、漏電や電気の使い過ぎなど電気回路に何らかの異常が起きた場合に、電気の流れを遮断することです。

ブレーカーの種類

ブレーカーは、次の3種類に分けられます。

  • アンペアブレーカー
  • 漏電ブレーカー(漏電遮断器)
  • 安全ブレーカー(配線用遮断器)

分電盤に運ばれた電気は、アンペアブレーカー、漏電ブレーカー、安全ブレーカーの順に経由します。

アンペアブレーカーとは、電力会社から供給される契約用のブレーカーです。「リミッター」や「電流制限器」など、電力会社によって様々な呼び方があります。

アンペアブレーカーには、過剰な電力が流れていないか検査する役割があり、電力会社との契約以上の電気が流れると自動的に電気が切れます。

なお、スマートメーターを利用している場合、アンペアブレーカーはありません。スマートメーターは、各家庭の玄関横などに設置されることが多く、30分ごとの電気の使用量を計測し、遠隔での自動検針が可能な電気メーターです。

「主幹ブレーカー」とも呼ばれる漏電ブレーカーは、建物内の配線や電気製品の漏電を検知し、自動的に電気を遮断します。漏電とは、配線や電気製品から電気が漏れ出ることで、感電したり火災につながったりする危険な現象です。

安全ブレーカーは、電気を分電盤から各部屋へ運ぶ回路に異常がないか監視する機能をもっています。一般的に、ひとつの回路につき20アンペアが許容目安です。

ブレーカーが落ちる原因と戻し方

急に電気が使えなくなったら、どのブレーカーが落ちたか確認する必要があります。ブレーカーの種類ごとに、電気が切れてしまう原因と対処方法を見てみましょう。

アンペアブレーカーが落ちる原因と復旧方法

アンペアブレーカーが落ちる原因と復旧方法

基本的に、アンペアブレーカーが落ちると建物全体の電気が使用できなくなります。アンペアブレーカーが落ちる主な原因として、「家電製品を一度に多く使用したため契約アンペアを超えた」ことが考えられます。

契約しているアンペア数は、アンペアブレーカーの色で確認しましょう。東京電力の場合、10アンペアは赤色、15アンペアは桃色、30アンペアは緑色など、アンペア数に応じて色分けされています。

また、主な電気製品のアンペアの目安は次のとおりです。

電気製品 アンペア数の目安
エアコン(8〜12畳用) (暖房)7.5アンペア/(冷房)6.5アンペア
テレビ(32型液晶) 1.5アンペア
冷蔵庫(400リットルクラス) 1.9アンペア
電子レンジ(30リットルクラス) 15アンペア
食器洗い乾燥機(100ボルト:卓上タイプ) 13アンペア
洗濯乾燥機(8キログラム:乾燥時) 15アンペア
ドライヤー 12アンペア
掃除機 10アンペア
IHクッキングヒーター(100ボルト:強) 14アンペア

出典:公益社団法人 東京電気管理技術者協会『電気安全に関するQ&A』

アンペアブレーカーが落ちた際は、使用していた電化製品等の電源をオフにし、アンペアブレーカーの「切」の状態のつまみを「入」に戻せば電気が使えるようになります。

アンペアブレーカー

スマートメーターを使用している場合は、停電状態が10秒ほど続いた後、電気は自動的に復旧します。

漏電ブレーカーが落ちる原因と復旧方法

漏電ブレーカーが落ちるときは、「配線や電気製品から漏電している」可能性があるので注意が必要です。火災などのリスクがあるため、漏電が疑われる回路を速やかに見つけて対処しなければなりません。

漏電ブレーカーが落ちた場合は、電気設備の安全を確認したうえで、以下の手順で対処しましょう。

  1. 漏電ブレーカーのつまみが「切」の状態であることを確認する
  2. 安全ブレーカー(配線用遮断器)をすべて「切」にする
  3. 漏電ブレーカーを「切」から「入」にする
  4. 安全ブレーカーのつまみをひとつずつ「入」にする(漏電した回路がある場合、ここで漏電ブレーカーが落ちる)
  5. すべての安全ブレーカーを「切」にする
  6. 漏電ブレーカーのつまみを「切」から「入」にする
  7. 漏電している回路以外の安全ブレーカーを「入」にする

4番目の段階で、再び漏電ブレーカーが落ちた場合、該当する回路に漏電があることがわかります。早急に電気工事店などに連絡し、点検や修理を依頼しましょう。

安全ブレーカーが落ちる原因と復旧方法

安全ブレーカーが落ちるのは、「それぞれが対応している回路で容量を超えた電気が使われた場合」です。

例えば、20アンペアまで使用可能な台所で、電子レンジ(15アンペア)と食器洗い乾燥機(13アンペア)を同時に使用すると、回路の容量を超えるため安全ブレーカーが落ちます。

安全ブレーカーが落ちた際の復旧方法は、以下の手順です。

  1. 安全ブレーカーが落ちた回路で使用している電気製品の電源をオフにする
  2. 落ちたブレーカーのつまみを「切」から「入」にする
  3. 同時に使用する電気製品を少なくする

上記の手順で復旧しない場合は、ショートしている可能性があるので電力会社などに相談しましょう。

ブレーカーが繰り返し落ちる原因や落ちないための対策は、以下の記事でも詳しく解説しています。

ブレーカーが落ちるのはなぜ?繰り返し落ちる原因と対策を紹介

ブレーカーが落ちる原因が不明の場合はどうする?

ブレーカーが落ちる原因が判明しないときは、自分の家だけでなく周辺も電気が消えていないか確認してみてください。電力会社からの供給がストップしている可能性があります。

なお、停電情報などが見つからない場合や、自宅だけが停電しているが分電盤の電源が切れていない場合などは、電力会社へ連絡しましょう。

ショートや漏電が生じていないのにブレーカーが落ちる場合、ブレーカーの経年劣化などが考えられるため、交換を検討するタイミングです。ブレーカーの交換の推奨時期は、13~15年程度です。

ブレーカーを落とさないための5つの対策

ブレーカーを落とさないための5つの対策

ブレーカーを落とさないための5つの対策を紹介します。

1 できるだけ電気製品を同時に使用しない

複数の電気製品を同時に使用すると、契約アンペアやひとつの回路の容量をオーバーしてしまい、アンペアブレーカーや安全ブレーカーが落ちる可能性があります。

例えば、台所で「オーブンと食器洗い乾燥機を同時に使わないようにする」など、同じタイミングで電気製品を使用しない工夫をしましょう。

また、電子レンジ、食器洗い乾燥機、ドライヤー、洗濯乾燥機など消費電力が大きい家電を把握しておけば、使うタイミングを考慮できます。

2 使用する回路(コンセント)を見直す

パソコンやプリンターを置いた机周りや、炊飯器や電子レンジを使う台所など、いくつかの電気製品を同じコンセントで使用している方もいるでしょう。

しかし、ひとつの回路で集中して電気製品を使用すると、電流の容量を超えるため安全ブレーカーが落ちる可能性が高くなります。消費電力のバランスを考慮し、違う回路のコンセントが使えるかどうかなど、電気製品の配置を見直してみましょう。

3 タコ足配線はしない

タコ足配線は、加熱やショートの原因となるため避けてください。

例えば、定格1500Wのコンセントにテーブルタップをつなぎ、こたつ(600W)・ホットプレート(600W)・ホットカーペット(600W)を使用すると合計1800Wとなります。

定格を超えて電気製品を使用するとコンセントやコードが加熱し、漏電や火災のリスクがあるので注意が必要です。

4 アース線を適切に取り付ける

洗濯機や食器洗い乾燥機、冷蔵庫などには「アース線」が付属しています。アース線は、万が一漏電が生じた際に電気を逃がす役割があります。

アース線を正しく取り付けることも、ブレーカーを落とさないための対策のひとつです。アース線が適切に取り付けられていなかったり、古くなって傷ついたりしていると、漏電の原因となります。

5 契約アンペアを上げる

電気の使い過ぎなどで頻繁にブレーカーが落ちる場合、契約アンペアを上げるのも効果的です。契約アンペアを上げるには、電力会社に申し込み、ブレーカーの交換工事をしてもらう必要があります。

なお、契約アンペアが変わると電気の基本料金も変わるため、あわせて電力会社の乗り換えも検討すると良いでしょう。

まとめ

ブレーカーには、アンペアブレーカー、漏電ブレーカー、安全ブレーカーの3種類があります。ブレーカーが落ちる原因として、漏電や電気の使い過ぎなどが挙げられます。

ブレーカーを落とさないためには、同時に複数の電気製品を使用しないように気をつけましょう。また、「契約アンペアを上げる」のも、ブレーカーを落とさないための対策のひとつです。

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大岩 俊之(おおいわ としゆき)

家電製品総合アドバイザー。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。