IHクッキングヒーターの電気代はどれくらい?

一般社団法人日本電機工業会によると、IHクッキングヒーターにかかる電気代の目安は、1カ月あたり約1,170円です(※1)。ただし、実際には世帯人数や献立、火力などによって変わります。

そこで、IHクッキングヒーターの電気代を計算する方法や火力別の電気代(目安)を解説します。

(※1)電力料金目安単価31円/kWh(税込)で算出。標準的な4名家族世帯で、朝・昼・夕食時に標準的なメニューで使用した場合。

IHクッキングヒーターの電気代の計算方法

IHクッキングヒーターの電気代は、以下の計算式で求められます。

家電製品の消費電力(kW)×使用時間(h)×電気代単価(円/kWh)

1W=1,000kWであるため、消費電力がWで表示されている場合は1,000で割ってkWを求めます。

たとえば、消費電力が2,000WのIHクッキングヒーターを1時間使用し、電気代単価が31円/kWhの場合、電気代は62円と計算できます(※2)。

2,000W÷1,000×1h×31円/kWh=62円

(※2)31円/kWhは、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している目安単価(2022年7月22日改定)。

【火力別】IHクッキングヒーターの電気代

IHクッキングヒーターの定格消費電力は5,800Wです。しかし、定格消費電力はあくまでも最大使用したときの消費電力であり、実際には使うヒーターの数や火力によって違いが生じます。

そこで、IHクッキングヒーターを1時間使用した場合の電気代(目安)を火力別にまとめました(※3)(※4)。

火力 1時間あたりの電気代 1時間の使用を30日間続けた場合の電気代
とろ火(100W) 3.1円 93円
弱火(300~500W) 9.3~15.5円 279~465円
中火(800~1,000W) 24.8~34.1円 744~1,023円
強火(1,600~3,000W) 49.6~93円 1,488~2,790円

上記の結果を見ると、火力によって電気代に大きな差が生まれることがわかります。

なお、消費電力はIHクッキングヒーターによって異なるため、商品ラベルや取扱説明書などで確認しましょう。

(※3)31円/kWhで試算しています。
(※4)上記はあくまでも目安です。

同条件でガスコンロを使用した場合のガス代

IHクッキングヒーターの取り替えを検討している方のなかには、同条件でガスコンロを使用した場合のガス代とどちらが安くなるか気になっている方もいるでしょう。

ガス代は、ガスの種類(プロパンガス・都市ガス)で変わります。ガスコンロのガス料金を求める計算式は以下のとおりです。

出力(kW)×3.6MJ/h×時間(h)÷ガスの発熱量(MJ/㎥)×ガス料金(円/㎥)

一般的に、都市ガスの発熱量(ガスが燃えて発生する熱)は45MJ/㎥、プロパンガスは99MJ/㎥です。都市ガスのガス代を205円/㎥(※5)、プロパンガスを665.30円/㎥(※6)とし、ガスコンロを1時間使用したときのガス代(目安)を火力別にまとめました。

【都市ガス】

火力 1時間あたりのガス代 1時間の使用を30日間続けた場合のガス代
とろ火(0.33kW) 約5.41円 約162.3円
弱火(0.38kW) 約6.23円 約186.9円
中火(1.68kW) 約27.55円 約826.5円
強火(2.97kW) 約48.70円 約1,461円

【プロパンガス】

火力 1時間あたりのガス代 1時間の使用を30日間続けた場合のガス代
とろ火(0.33kW) 約7.98円 約239.4円
弱火(0.38kW) 約9.19円 約275.7円
中火(1.68kW) 約40.64円 約1,219.2円
強火(2.97kW) 約71.85円 約2,155.5円

中火で1時間使用した場合のガス代を1カ月(30日間)に換算してみると、都市ガスは826.5円、プロパンガスは1,219.2円となり、上記の試算では都市ガスのほうが安くなることが分かります。

一方、先ほど試算したIHクッキングヒーターの電気代(中火で1時間使用を30日間続けた場合)は、744~1,023円でした。

同条件で使用した場合のIHクッキングヒーターの電気代とガスコンロのガス代を比較してみると、使い方によっては電気代のほうが安くなる可能性があります。

ただし、上記はあくまでも目安です。実際には、ガスの種類や電気・ガスの使い方などによって変わるため、どちらが安いとは一概に言えません。

(※5)都市ガス会社の全国平均(2024年7月)
(※6)石油情報センター「一般小売価格 液化石油(LP)ガス」全国(20m³価格-10m³価格)より算出

IHクッキングヒーターとガスコンロのメリット・デメリットを比較

IHクッキングヒーターとガスコンロのメリット・デメリットを比較

IHクッキングヒーターとガスコンロで迷っている方に向けて、以下5つの観点から違いを解説します。

  • 初期費用
  • 熱効率
  • 手入れのしやすさ
  • 安全性
  • 使用できる調理器具

初期費用

IHクッキングヒーターは、ガスコンロと比べて本体価格が高い場合が多く、初期費用がかかる傾向があります。

サイズや機能、工事の内容などによって変わるため、一概には言えませんが、一般的に本体と工事費をあわせて10万~30万円程度の費用が必要です。

熱効率

ガスコンロの熱効率が約40~55%であるのに対し、IHクッキングヒーターは約90%と高く、省エネ性能に優れています。

ガスコンロは空気中にガスを混合させて発熱するため、周囲に熱が広がります。

一方、IHクッキングヒーターは電磁波によって熱を発生させ、鍋やフライパンの底面だけを直接加熱する方法で、エネルギーの無駄が発生しにくい仕組みです。また、周りに熱が逃げにくいため、キッチンが暑くなりにくく、冷房機器の節電にもつながります。

手入れのしやすさ

IHクッキングヒーターのトッププレートは、凹凸がないため、拭きこぼれたり油が飛んだりしてもさっと拭くだけで清潔な状態を保てます。また、油や煙が広がりにくいため、キッチン周りのお手入れもしやすいでしょう。

ガスコンロの場合、五徳や排気カバーなどのパーツがあるため、天板の掃除に手間がかかる傾向があります。

安全性

火を使わないIHクッキングヒーターは、ガスコンロと比べて一般的に安全性が高いと言われています。また、様々な安全機能が搭載されているのも特徴です(※7)。

  • 切り忘れ防止
  • 空焚き防止
  • 鍋なし自動オフ
  • チャイルドロックなど

ただし、天ぷら油による火災は火がなくても起こり得ます。IHクッキングヒーターでは鍋底が急激に加熱されるため、センサーが正しく検知せず、発火する可能性もあります。

火を使わないからといって安心せず、正しい方法で利用することが大切です。

(※7)メーカーや機種によって異なります。

使用できる調理器具

ガスコンロは多くのフライパンや鍋に対応しており、調理器具を選びません。

一方、IHクッキングヒーターは使える鍋やフライパンに制限があります。たとえば、鍋底が平らでない鍋やフライパンは使えない場合があります。また、ガラスや土鍋、直火用焼き網などは一般的に使用できません。

IHクッキングヒーターとガスコンロどちらを選ぶべき?

IHクッキングヒーターとガスコンロが向いている方の一般的な特徴は、それぞれ以下のとおりです。

IHクッキングヒーターが向いている方
  • 安全性を重視する方
  • お手入れに手間をかけたくない方
  • 素早く調理したい方
ガスコンロが向いている方
  • 土鍋や底の丸い中華鍋などを使用したい方
  • 初期費用を抑えたい方
  • 直火ならではの調理を楽しみたい方

IHクッキングヒーターは、熱効率や安全性が高く、掃除も簡単です。したがって、忙しく、お手入れや調理に時間をかけたくない方に向いていると言えるでしょう。

また、初期費用がかかる傾向がありますが、省エネ性能が高く、ガスコンロのガス代よりも電気代を抑えられる可能性があります。

一方、ガスコンロは調理器具の制限がないため、様々な鍋・フライパンで調理を楽しみたい方におすすめです。火を使わないIHクッキングヒーターは、表面に焦げ目をつけたり、強火で一気に仕上げたりする調理は得意ではありません。

IHクッキングヒーターの電気代を節約する方法

IHクッキングヒーターの使い方を工夫すれば、電気代を節約できる可能性があります。以下の方法に取り組んでみましょう。

  • 節電機能を活用する
  • ほかの調理家電と組み合わせて使う
  • 適した調理器具を選ぶ
  • IHクッキングヒーターの使用時間や電気のプランを見直す

1 節電機能を活用する

IHクッキングヒーターに搭載されている節電機能をうまく活用しましょう。

節電モードを設定できるIHクッキングヒーターでは、設定した消費電力を超えないように火力を自動的に制限してくれます。また、タイマー機能を利用すれば、加熱しすぎや切り忘れを防止でき、電気の無駄を抑えることが可能です。

2 ほかの調理家電と組み合わせて使う

電子レンジや圧力鍋などの調理家電と併用すれば、電気代を抑えられる可能性があります。

たとえば、電子レンジで野菜の下処理をしてからIHクッキングヒーターで調理すると、調理時間を短縮でき、節電にも効果的です。また、食材を煮込む際は鍋に蓋をすると効率良く調理できます。

3 適した調理器具を選ぶ

取扱説明書などを確認し、IHクッキングヒーターに適した調理器具を選びましょう。

IHクッキングヒーターは、鍋底を直接加熱する仕組みです。そのため、鍋底の形状やサイズがあっていないと熱効率が悪くなり、電気代が高くなる可能性があります。

4 IHクッキングヒーターの使用時間や電気のプランを見直す

IHクッキングヒーターを使う時間を見直すのも方法の一つです。

たとえば、夜間に電気代が安くなるプランを契約している場合は、翌日の下ごしらえをしておくなど、調理時間を工夫することで電気代を抑えられる可能性があります。

また、電力会社と契約しているプランがご自身にあっているかどうかも見直しましょう。ライフスタイルにあわせて選ぶことで、IHクッキングヒーターに限らず、電気代の負担を軽減できる可能性があります。

IHクッキングヒーターに取り替えるなら電気代の見直しを

ガスコンロからIHクッキングヒーターに取り替えると電気の使用量が増えるため、取り替えに伴って電気代を見直しましょう。ライフスタイルにあった電力会社・プランを選ぶことで、電気代を抑えられる可能性があります。

2016年の電力自由化以降、様々な企業が電力事業に参入し、新しい料金プランが多く登場しました。

  • 時間帯や平日・休日で単価が変わるプラン
  • ほかのサービスとのセット割引プラン
  • 長期契約割引プラン
  • 節電実績に応じて割引されるプラン

また、電気代に応じてポイントが貯まるサービスを提供している電力会社もあります。

電力会社が提供しているシミュレーションを活用し、ご自身にあった電力会社・プランを見つけましょう。

まとめ

IHクッキングヒーターは、熱効率が高く、必要な分だけ加熱できるのが特徴です。そのため、使い方によってはガスコンロのガス代よりも電気代を抑えられる可能性があります。

IHクッキングヒーターの仕組みや正しい利用方法を知って、電気代を節約しましょう。IHクッキングヒーターに取り替える方や電気代が高いと感じている方は、電力会社やプランを見直すのも効果的です。

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大岩 俊之(おおいわ としゆき)

家電製品総合アドバイザー。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。