【電気の単位】ワット・アンペア・ボルトとは?

ワットは電気に関する単位ですが、ほかにもアンペアやボルトなどがあるため、それぞれの違いがよくわからない方も多いでしょう。まずはワット(W)、アンペア(A)、ボルト(V)に関する基礎知識を解説します。

ワット(W)

ワット(W)は、1秒あたりに消費される電気エネルギー、つまり消費電力を表す単位です。ワット数が大きいほど、多くの電気を消費するといえます。

50Wの電球と100Wの電球を比較すると、100Wのほうが消費する電気エネルギーが大きいため、明るくなります。

電気代は、ワット数と使用時間をもとに算出されます。ワット数の大きな電化製品を長時間使うと、電気代は高くなる仕組みです。

ワットが使われる別の単位として、ワットアワー(Wh)があります。1ワットは1秒間にどれほど電力を消費するかを表し、ワットアワーは1ワットの電力を1時間使うことを表す単位です。

アンペア(A)

アンペア(A)は電流の強さを表す単位で、1秒間に流れる電気の量を示します。つまり、アンペア数が高いほど、多くの電気が流れるということです。

電力会社の多くはアンペア制を採用しているため、電気を契約するときは20Aや30Aなどのプランで契約します。契約アンペア数が高いほど、同時にたくさん電気を使用可能です。多くの電化製品を一度に動かしても、ブレーカーが落ちにくくなります。

ボルト(V)

ボルト(V)は、電気を押し出す力である電圧を表す単位です。ボルトの数値が大きくなるほど電圧が高くなり、多くの電気が使われます。

日本の家庭用の電圧は100Vが一般的ですが、業務用の機械などは200V以上のこともあります。また、海外は日本と電圧が異なるケースも多いです。日本の電化製品を海外で使うと、高い電圧に耐えられずに壊れることもあるため、海外対応している製品か確認しましょう。

ワット数(消費電力)の計算方法

ワット数(W)は、「アンペア(A)×ボルト(V)」で計算できます。例えば、電流が2Aで電圧が100Vであれば、ワット数は2A×100Vで200Wです。

同様にボルト(V)は「ワット(W)÷アンペア(A)」、アンペア(A)は「ワット(W)÷ボルト(V)」で算出できます。それぞれの単位が何を表しているのか理解したうえで、計算方法についても知っておきましょう。

ワット数を計算するなら知っておきたい消費電力の基礎知識

ワット数を計算するなら、消費電力の仕組みも押さえておくと良いでしょう。特に覚えておくべきなのが、消費電力、定格消費電力、年間消費電力という3つの言葉です。以下では、消費電力の基礎知識を解説します。

1 消費電力

消費電力は、電化製品の説明書や仕様書などに記載されているワット数です。製品が稼働するときに使われる電力のことで、電化製品に「●●W」と記載されているか、目立たない場所にシールが貼られています。

消費電力がわかれば、電化製品がどのくらい電力を消費するかを計算できます。電化製品ごとの消費電力量を知ることで、使い方を工夫して電気代を抑える対策も取れるようになるでしょう。

ちなみに消費電力には、定格消費電力と年間消費電力の2種類があります。それぞれ異なる特徴があるため、知っておきましょう。

2 定格消費電力

定格消費電力とは、JIS規格で指定された条件下で機器を最大限に使ったときの消費電力のことです。電化製品の取扱説明書やカタログに、消費電力とともに記載されていることがあります。

消費電力はいつでも一定ではなく、同じ製品でも幅があります。例えば、エアコンの風量を弱にしたときと強にしたときでは、消費電力は大きく変わるでしょう。

エアコンの風量を最大に設定して運転したときに消費する電力が、定格消費電力です。実際には、エアコンを最大風量で使い続けることは稀なので、製品を比較するときは定格消費電力ではなく消費電力を見ることで、実際に使用する際に必要な電力量をイメージできます。

3 年間消費電力

年間消費電力は、JIS規格で定められた条件下で電化製品を1年間使用したと仮定した場合に消費する電力量です。最大出力で使い続けた場合ではなく、実際に日常生活の中で使用することでかかる電気代の目安がわかります。

冷蔵庫やエアコン、テレビなどは、稼働時と待機時の消費電力に大きな差があります。そのため、単純に消費電力を見るだけでは、実際にかかる電気代を計算しにくいのです。

だからこそ、1年間で消費する電力量がすぐにわかる数値が必要です。上記のような製品の取扱説明書や仕様書などには、年間消費電力の目安が記載されていることが多いので、実際にかかる電気代をイメージできます。

電化製品の電気代を計算する方法

電化製品の電気代を計算する方法

ワット数を知ることができれば、電化製品ごとの電気代を計算できます。どの家電にどのくらい電気代がかかっているかがわかれば、効果的な節電方法も考えられるでしょう。

以下では、電化製品の電気代の計算方法を2つ解説します。

1 ワット数(消費電力)から計算する方法

電化製品に消費電力が表記されている場合は、ワット数から電気代を算出できます。

計算式は「消費電力(kW)×使用時間(h)×電気料金単価(円/kWh)」です。電化製品の消費電力がWで表されている場合は、1,000で割ってkWの値を算出しておきましょう。

例えば、消費電力が0.1kWの電化製品を1時間使用した場合の電気代を考えてみます。公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が算出している目安単価が31円/kWhのため、電気料金単価は31円/kWhで計算します。

この電化製品にかかる電気代は「0.1kW×1h×31円/kWh=3.1円」です。

1kWhあたりの電気代については、以下の記事で詳しく解説しています。

1kWhあたりの電気代はいくら?電気代の内訳や節電方法を解説

2 年間消費電力量から計算する方法

稼働時と待機時で消費電力が大きく異なるエアコンや冷蔵庫、テレビなどの家電は、年間消費電力量を用いることで、実際使用した場合に近い電気代を算出できます。

計算式は「年間消費電力量(kWh)×電気料金単価(円/kWh)」です。

例えば、年間消費電力量が400kWhの冷蔵庫を使用した場合、1年間でかかる電気代を計算してみましょう。電気料金単価は、上で使用した目安単価を用います。

この冷蔵庫を1年間使用したときに発生する電気代は「400kWh×31円/kWh=12,400円」です。12で割れば1カ月あたりの電気代が出るため、この例では1カ月冷蔵庫を使うと約1,033円かかります。

エアコンや冷蔵庫の電気代については、以下の記事で詳しく解説しています。

エアコンの電気代はどれくらい?つけっぱなしは節約になる?計算方法や節電方法を解説
冷蔵庫の電気代はどれくらい?計算方法や節電方法を解説

電化製品ごとのワット数(消費電力)の目安

電化製品のワット数(消費電力)を知ることができれば、それぞれにかかる電気代を計算でき、節約につなげられます。製品によって細かい数値は異なりますが、電化製品ごとのワット数の目安を見ていきましょう。

空調設備

快適な室温を保つために欠かせない空調設備のワット数は、以下のとおりです。(※1)

  • エアコン(10〜15畳):750〜1,100W
  • オイルヒーター:360〜1,500W
  • 電気ヒーター:800〜1,000W
  • 電気ストーブ(ハロゲンヒーター):1,200W
  • 電気カーペット:760〜1,000W
  • 扇風機:34W

(※1)出典:東京都「家庭の省エネハンドブック2022」

使用時の室温や使用する部屋の広さによっても、電気代は変わります。

キッチン

キッチンの利便性を高める電化製品のワット数は、以下のとおりです。(※2)

  • 冷蔵庫:200〜300W
  • ジャー炊飯器(電気炊飯器):1,300W
  • IHクッキングヒーター(1口):3,000W
  • 電子レンジ:1,400W
  • 食器洗い乾燥機:900W
  • 電気ポット(沸騰時):800W
  • オーブントースター:1,000W

(※2)出典:東京都「家庭の省エネハンドブック2022」

消費電力が大きい電化製品も多いので、料理中に複数の家電を同時に使うと、ブレーカーが落ちてしまうケースもあります。契約している容量以上の電気が流れないよう、確認したうえで使用するのがおすすめです。

リビング

リビングで使う電化製品のワット数は、以下のとおりです。(※3)

  • 掃除機:1,000W
  • 液晶テレビ:50W
  • パソコン:45W
  • 蛍光灯照明:100W
  • LED電球:8W

(※3)出典:東京都「家庭の省エネハンドブック2022」

照明器具が変わると、消費電力が大きく異なります。蛍光灯からLED電球に変えることで省エネできるため、手軽に電気代を節約できるでしょう。

水回り

水回りの電化製品のワット数は、以下のとおりです。(※4)

  • ドライヤー:1,000W
  • 洗濯機:400W
  • 洗濯乾燥機(乾燥時):1,100W
  • 浴室乾燥機(電気式):1,290W
  • 温水洗浄便座(貯湯式、使用時):500W
  • 温水洗浄便座(瞬間式、使用時):1,200W

(※4)出典:東京都「家庭の省エネハンドブック2022」

機能やモードの使い方によって、消費電力が大きく異なる電化製品もあります。例えばドライヤーは、強風モードと弱風モード、冷風モードで使用電力が違うため、製品ごとに確認してみるのも良いでしょう。

消費電力を減らして節電する方法

消費電力を減らすことができれば節電につながり、電気代の節約が可能です。自宅の消費電力を減らして節電する方法を3つ解説しますので、できそうなものを実践してみてください。

1 使用していない電化製品のプラグを抜く

電化製品を使用していないときは、プラグを抜くと節電につながります。電化製品は稼働していない時間でも、わずかに電力を消費しているからです。待機電力によって電気代がかさむこともあるため、こまめにプラグを抜くことを意識してみてください。

待機電力が大きい家電はこまめにプラグを抜くのが良いですが、次回起動時に多くの電気を使う家電の場合、プラグを抜くとかえって電気使用量が増えるケースもあります。全てのプラグを抜くのではなく、プラグを抜く家電とそうでない家電を見分けるようにしましょう。

ガス温水器やテレビ、エアコン、BD・HDD・DVDレコーダーなどは待機電力が大きく、プラグを抜くことで節電につながりやすい家電です。ただし、レコーダーはプラグを抜くと録画機能を使えなくなるため、注意しましょう。

一方、待機電力が小さく、プラグを抜いても節電につながりにくい家電として、電気炊飯器や洗濯機、電子レンジなどが挙げられます。これらの家電は、節電効果よりも毎回プラグを抜く労力のほうが上回る可能性が高いため、こまめにプラグを抜かなくても良いでしょう。

また、冷蔵庫やWi-Fiルーターなど、機能を維持するためにプラグを抜くべきではない家電もあります。使っていない家電のプラグを抜いて節電するときは、プラグを抜いても問題ないかどうかをよく考えてから行いましょう。

2 省エネ性能の高い電化製品に買い替える

古い電化製品の買い替えを検討しているなら、省エネ性能の高いものを購入するのがおすすめです。最新の家電は消費電力を抑えられるよう設計されているものが多いので、買い替えるだけで消費電力が減り、節電につながります。

10年前と比べて冷蔵庫は約28〜35%、エアコンは約15%、温水洗浄便座は約8%の省エネを達成しています。

買い替えは長期的に見れば節電につながりますが、多くの家電をまとめて買い替えると、家計を圧迫することもあります。電気代を抑えたいからといって無理に買い替えず、購入タイミングはよく考えましょう。

(※5)出典:一般財団法人 家電製品協会「スマートライフおすすめBOOK」

3 電化製品の使い方を見直す

現在使っている電化製品をそのまま継続して使用する場合も、使い方を見直すことで消費電力を抑えられます。

例えば、使用していない電化製品の電源は、こまめに切るようにしてください。省エネ運転モードがある電化製品であれば、上手に活用しましょう。

タイマー機能を活用してつけっぱなしを防ぐことも、電気代の節約につながります。電力会社で契約しているプランに、電気代が安くなる時間帯がある場合は、安い時間に集中して電気を使うようにしましょう。

家電ごとの節電方法として、まずエアコンは設定温度を上げすぎず下げすぎないように調整してみてください。

冷蔵庫は24時間365日稼働するため、できるだけ開け閉めの回数を減らして消費電力を抑えましょう。テレビは長時間視聴すると消費電力が大きくなるので、見ていないときはこまめに電源を切るようにします。

少しの心がけで、年間の電気代が安くなる可能性が高まります。できることから実践して、消費電力を抑えてみてください。

電気代の節約方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。

電気代を節約するには?すぐできる節約術7選や効果的な方法をわかりやすく解説

まとめ

まとめ

ワット数(消費電力)から電化製品ごとの電気代を計算することで、節電につなげやすくなります。消費電力の多い電化製品の使い方を見直して、電気代を抑えましょう。

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新井 智美(あらい ともみ)

1級FP技能士・CFP

2006年11月 卓越した専門性が求められる世界共通水準のFP資格であるCFP認定を受けると同時に、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士1級を取得。2017年10月 独立。主に個人を相手にお金に関する相談及び提案設計業務を行う。個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス(、企業向け相談(補助金、助成金の申請アドバイス・各種申請業務代行)の他、資産運用など上記内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、執筆・監修業も手掛ける。