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楽天エナジーの導入事例Vol.1 再生可能エネルギー,EV充電設備,落合楼村上 静岡県伊豆市

落合楼村上(静岡県伊豆市)
旅館主人 村上昇男さん
≪導入サービス≫
再生可能エネルギー、EV充電設備

伊豆の中でも約140年という指折りの歴史を誇る老舗旅館。

 旅館経営者が再生可能エネルギーを利用するために、新しい機器を設置したと聞くと、省エネをはじめとする具体的な営業効率を真っ先に考えた話であると思われる方は少なくないだろう。しかし、落合楼村上のオーナーである村上さんが電気自動車のための充電器を導入した理由は、兼ねてから抱いていた壮大な想いからだった――。

 旅館の横を流れる川べりには落合楼発電所と名付けられた小さな水力発電の設備があります。1953年(昭和28年)から稼働していたのですが、経営不振による資金不足から、1995年(平成7年)に運転を停止し、その後、川とその周辺は荒れてしまいました。2002年(平成14年)に私がオーナーになった時、発電所が稼働していた頃の川の写真を見たのです。そこには、水面にボートを浮かべている人がとても美しい風景に囲まれている様子が映っていました。写真を見た時、この風景を復活させることはできないかという想いを持つようになったのです。そんな時、東京発電さんから水力発電が事業化できるかを、ここで検討させてもらえないかと声がかかりました。「昔に戻したい」と考えていた私は「ぜひお願いします」と答え、東京発電さんによる水力発電の再稼働を支援させていただくことになったのです。

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金銭面のメリットだけではない自然エネルギーの恩恵 再稼働した当時は、固定価格買い取り制度が始まる前なので、安い電気料金で旅館を運転し、電力を売るという感じではありません。水力発電に必要な水路は旅館の敷地にあるので、固定資産税相当額の賃借料だけを東京発電さんから頂いており、今でもその金額だけが水力発電による収入になっています。しかし、水力発電の再稼働したメリットは金銭以外で、数多くあります。
 小さな水力発電の事業化が成功した実例ということで、海外メディアをはじめ、さまざまなニュースに掲載されました。ニュースになる度に「落合楼」という名前が登場し、多くの方に旅館の存在を知ってもらうきっかけとなりました。また、川に設けた水路や堤防を再整備したことにより、念願だった川の景観が復活しました。激しかった旅館横の川の勢いは緩やかになり、水の透明度がよく分かるようになりとても感動したことをよく覚えています。今ではその場所で、昔のようにお客様にボート遊びを楽しんでいただいており、好評を得ています。

落合楼発電所と名付けられた小水力発電所の機械室。

水路の再整備によって川の透明度が上がり、景観が復活した。

村上さんの心を動かした一枚の写真。
この情景を復活させたいという思いが水力発電再稼働の原動力になった。

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エコ半島構想の概念図
旅行業に従事する者ならではの壮大なエコ半島構想 今回、新たに充電器を設置することにしたのは、電気自動車で来館されたお客様に水力発電で発電したクリーンエネルギーを持って帰ってもらいたいという考えからです。旅でお客様の心も車もリフレッシュしていただくイメージです。
 私は伊豆半島を「エコ半島」にしたいという構想を持っています。伊豆半島は天城山系をはじめ尾根が半島の真ん中にあり、山から海に向かって半島中を多くの川が流れています。ですから、私どもの事例のように各川に小さな水力発電を設け、その脇に充電器が置いてあれば、半島はすべてクリーンエネルギーで賄えるようになるんじゃないかと…。そうなれば旅先としての伊豆は、新しい価値のある特別な場所になるのではないか…。まあ、夢のような大きな構想です(笑)。伊豆は川が多いから水力、九州だったら地熱、日照時間が長い地方は太陽光といったように、地域が持つ自然環境の特色を生かしたグリーンエネルギーによる取り組みの輪ができれば、その土地の魅力は上がり、旅先としての価値もつくと思います。

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旅行業界を熟知する者同士の旅を中心に置いた想いの共有 「エコ半島構想」の話は、2年程前からいろいろな業者さんに話をして意見を聞いていましたが、誰も本気にしてくれませんでした。でも、楽天エナジーの菅原事業長は話をした1か月後には、今回の充電器を筆頭に具体的なエネルギーに関するプロデュースプランを提示してくれたのです。
 楽天とは前々から楽天トラベルで付き合いがありました。楽天トラベルでは空室予約など、宿泊施設の稼働率に対するソリューションをしてくれますが、稼働率とエネルギーは連動した関係です。そのため、単なる自然エネルギーの設備提案ではなくて、宿泊業という本業の枠組みを理解した上で、私の想いや旅館の歴史などを汲んだアイデアを出してくれます。例えば、楽天トラベルで登録している宿泊施設の中で約20件は、充電器があるそうで、それらと組んで電気でつながる旅プランなどを展開することだって検討の価値はあると言ってくれました。そういった考えは、まさに私の想いと似ていて、旅行業界を熟知されている楽天なので波長が合うのかなと感心しましたね。

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旅行者の満足度を高める再生可能エネルギーの潜在力 昨今は、電気の固定買い取り制度を利用した電気代カットを主な目的に設備投資をするケースが大半です。しかし私は、旅館経営者がエネルギーだけで話を終わらせるのはもったいないと思っています。「再生可能エネルギー×旅館」から生まれるもので、旅にプラスオンできる面白さやストーリー性をお客様に提供することができないかなと思うのです。例えば食で考えると、普段から有機栽培の素材を選んでいる人は、宿選びでも食材にこだわった施設を好まれる傾向にあります。それと同じで、地球環境を意識する人は、旅先でもクリーンエネルギーを使って楽しめる方が心地良いと思うのです。最近は、電気自動車で来館されるなど、エネルギー問題に高い意識をお持ちのお客様が増えています。「再生可能エネルギー×旅館」の観点から取り組めば、旅ビジネスや宿の可能性は広がると私は考えています。

自然環境に優しい再生可能エネルギーへの取り組みは、これからも続けていきたいと村上さんは語る。

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天城湯ヶ島温泉旅館 落合楼村上

創業は1874年(明治7年)。昭和8~12年に建てられた木造7棟からなり、いずれも国の登録有形文化財に登録されている。「落合楼」の名前は旅館に滞在した山岡鉄舟が、本谷川と猫越川が合流し、狩野川となる地形を「川が落ち合う」と見て命名した。平成14年に一度、廃業。数か月後に「落合楼村上」として再スタートし、現在に至る。

<施設規模> 15室全室バス・トイレ付(収容人員60名)
静岡県伊豆市湯ケ島1887−1
0558-85-0014  https://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/14147/14147.html

今回インタビューにご協力頂いた宿泊施設はこちら

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