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楽天エナジーの導入事例 DR、BEMS、LED照明(※予定) 旅館 ふくぜん 群馬県渋川市伊香保町

「ガマンをしない効果的な節電」エネルギーのコストダウンを実現しながら、お客様にもプラスになる提案で、旅の楽しさを広げていきたい。

旅館ふくぜん(群馬県渋川市伊香保町)旅館常務 福田貴之さん

旅館ふくぜん(群馬県渋川市伊香保町)
旅館常務 福田貴之さん
≪導入サービス≫
DR(Demand Response)、
BEMS(Building Energy Management System)、
楽天でんきBusiness、
オンサイトエネルギーサービス、LED照明

創業以来300年間、数多くのお客様を迎え入れた「旅館ふくぜん」のエントランス

創業以来300年間、数多くのお客様を迎え入れた「旅館ふくぜん」のエントランス

自身の宿の経営だけではなく、宿泊施設のコンサルティングも手掛ける福田さん。過去に実施した節電の経験から、電力使用量を節約するためには建物の大部分を占める客間で節電をしなければ大きな効果は得られないという思いを持っていた。しかし、エアコンを切るような施策を実施してお客様に負担を強いるわけにはいかない。この難題への答えは、宿泊客に伊香保の自然の魅力を最大限味わってもらいながら、同時に節電もできるという宿泊プランとしてカタチになった――。

2016年12月以前のインタビュー記事です。
※ i シェアリングサービスは「楽天でんきBusiness」の旧サービス名称です。

純利益の確保に向けた節電への取り組み 旅館において純利益で10万円という数字を出すには、相当数のお客様にお泊りいただかなければなりません。もし、経費を削減して数万円でも下げることができれば、その分は純利益に直結します。数年前に経費削減の一つとして、従業員が使うスペースでの節電を内部に呼びかけたことがありました。やってはみたものの、例えばエレベーターを一度使わなかったらどの程度の節電効果が得られるのかも、数値を計測して把握しているわけでもなかったため、従業員も熱の入れようがありませんでした。結局は、家庭での節電感覚の延長でしかなく、期待したほどの成果は得られませんでした。私はこの経験から、旅館の大部分を占める宿泊スペースで節電を実施できれば、大きな成果が得られるのではないかと思うようになりました。
ただし、旅館はお客様に快適な時間を過ごしていただく場所です。旅館の都合で宿泊スペースの節電を行い、お客様に負担やストレスを与えては意味がありません。このような経緯で、私はお客様が自発的に節電に協力してくれる方策がないものか思案するようになりました。

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純利益につながる可能性を感じたデマンドレスポンス 解決への道筋が生れたのは、2013年7月に開催された楽天トラベルEXPOに足を運んだ時でした。楽天エナジーさんのブース内にいた、後に担当となる仁科さんとたまたま目が合ったのがきっかけでふらっと立ち寄ったのです。
仁科さんはデマンドレスポンスの話をしてくれました。2011年に発生した東日本大震災を機に電力不足を補うために始まった仕組みで、電力会社の電力需給が逼迫したときに電気の使用を利用者側でできるだけ控え、電力を確保する取り組みです。これに参加する企業が増えることは、電力会社の最大発電量の抑制につながります。発電所の建設費や発電コストを削減することできるため、節電したkWに応じて参加企業には報奨金が支払われるというものです。EXPOの時点では2013年度の参加募集は既に締め切られていましたが、2014年度の参加を前提として模擬的な試みを行うのであれば、楽天エナジーでBEMSの取り付けとデータ取得サービスを無料で導入してくれると言ってくれました。「ぜひ、興味を示されている福田さんとデマンドレスポンスに面白いアイデアを付加した試みをやってみたいです」という仁科さんの熱意に背中を押され、私はリスクがなくメリットしかないと判断し、導入することを決意しました。

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通常DRと夕涼みプランの相関図
観光地の特性を生かした旅の楽しみをプラスする節電プラン やると決めたものの、ピーク時の電力を下げる方法を考えなくてはいけません。ましてやエネルギーを絡めた面白いアイデアなどは、すぐには思いつきませんでした。仁科さんは楽天トラベルで働いていた経験を持ち、いくつもの温泉地に足を運んでいて、宿のことをよく知っています。そのため私たちの話し合いはエネルギーの枠を超え、伊香保温泉の状況や環境などにもおよびました。その中で「伊香保温泉は涼しい場所です」と言うと、「それは良いヒントになりそうですね」と仁科さんは興味を示してくれたのです。そこから2人の間でアイデアがまとまり始め「夕涼みプラン」という宿泊プランが生れました。
「夕涼みプラン」は宿泊されるお客様に、夕方の時間帯において、エアコンに頼らずに客室の窓を開けて伊香保の自然の風を感じながら、客室や特設したテラスでドリンクを飲みながらくつろいでいただくというものです。
伊香保の涼しい風は、この土地の大きな魅力の一つになります。伊香保で育った一人として、この地を訪れてくれたお客様には、この風を旅の思い出の一つにしてもらいたいという思いを持っていました。ただ、仁科さんと話すまでは「涼しさ」を用いてプランやサービスを生み出す発想はありませんでした。お客様の宿泊と宿の消費エネルギーは、別々の存在として認識していたからです。この時は、エネルギーをテーマに宿全体の話を色々と進めることで、ガマンをしない効果的な節電と伊香保の魅力という二つが浮かび上がり、二つを合わせることでプラン化する意味を感じたのです。

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旅の特性などのソフト面を重視したデマンドレスポンス 初回は試験的に9月後半の3連休に「夕涼みプラン」を実施しました。客室5部屋にお泊りになるお客様を対象に、チェックインの時に内容を説明。7組のお客様に声をかけ、その内の4組が了承してくれました。結果は1週間前の3連休に比べ、夕方のピーク時の使用電力が10kW下がるという成果を得ました。大掛かりな設備の導入もなく、お客様にガマンを強いる節電でもありませんでしたので、無理なく挑戦できました。お客様からは「とても良かったよ」などとお声をいただくなど反応は上々で、サービスとしての手応えを得られたのは、なにより大きかったですね。現在は、冬のシーズンにも実施できる「夕涼みプラン」のようなものを従業員や楽天エナジーさんと一緒に考えています。今回の取り組みは、節電を設備ではなく、土地の魅力を土台とした旅行プランで解決するものです。旅や宿泊に関するアイデアでも、エネルギーと向き合うことは可能であることを知れたのは大きな発見でした。楽天エナジーさんは、旅行業や宿泊施設の事情を踏まえた上で、具体的なエネルギーのアイデアを出してくれるため、宿泊関係者は実践しやすいと感じます。例えば、チェックイン前に客間の空調を全室一斉に行うのではなく、各階をリレー形式で行えば電力負荷のピークが分散化すると教えてもらったときなどは、まさに旅を熟知している楽天さんだと感心しました。他にも簡単に実施できる提案をたくさんくれるので助かっています。
また、楽天エナジーでやった取り組みを、楽天トラベルで紹介してくれる機会があることも大きいですね。今回、私の施設で行った試みをほかの宿泊施設でも実施していただいて、楽天トラベルのサイトで「夕涼みプラン」を実施する各地の宿の特集ページを来シーズンは作るという案も進行しているようです。
施設運営者様・宿泊お客様のメリット

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エネルギー削減で得た純利益はサービス向上の推進力 今回、この機会にエネルギーに取り組もうと思った大きな理由の一つは、「宿のエネルギーのコスト削減は、ダイレクトに純利益に反映する」点にあります。私は今あるダメを一つでもなくすことに力を入れています。アンケートなどで聞こえてくるお客様のご指摘を徹底的に直す。そのためには何でもやっていこうという気持ちです。ただし、この活動には資金が必要になることが多いのも事実です。エネルギー削減によって増えた分の純利益は、資金となって宿のサービス向上活動の推進力になる。これは宿の経営者にとって大きな魅力です。
私は自分の旅館の経営以外に、宿泊施設のコンサルティングも行っています。コンサルティングをしていて思うのは、自分の所と似たような問題を抱えている宿は多いということです。設備やサービスを充実させ、宿を常に新しく保ち、一人一人のお客様に満足していただけるか。数多くの団体のお客様で賑わっていた昔のように、プラスを積み重ねて利益を上げる方法だけでは不十分で、純利益を守るためのマイナスを減らす取り組みの重要性を、私は痛感しています。

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エネルギーで開く観光復興への新しい可能性 楽天トラベルは頑張っている宿泊施設を応援してくれるネットエージェントだと感じます。だから私は楽天グループが目を向けている事案をよく研究して、自分の宿で新しいことを実践してきました。今回のエネルギーに対する取り組みも、「楽天が楽天エナジーを立ち上げて、エネルギー事業をスタートさせた」こと自体が、エネルギーと向き合おうと思った要因の一つだったと感じます。楽天を研究するという経営姿勢の結果、伊香保温泉エリアで楽天トラベルの流通総額で何度も年間1位になるという成果を挙げました。 しかし、自分のところだけが良くてもダメだとも思っています。伊香保全体が、大きく言えば観光全体が、魅力を増やしてファンを獲得していかなければ、小さいパイの取り合いになるだけです。もし、エネルギーに取り組む宿泊施設が増えて行けば――。それは一つの大きな可能性になると思っています。

BEMS
(Building Energy Management System)

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旅館 ふくぜん

旅館 ふくぜん

創業300年を誇る老舗旅館。「福善旅館」として営業を開始し、創業者の「お客様にのんびりお寛ぎいただく事」という意思を受け継ぎ、「旅館ふくぜん」として現在に至る。「赤ちゃんと伊香保旅行へ行こう♪」などをはじめ、ユニークな宿泊プランが充実しており、伊香保エリアにおいて楽天トラベル内の流通総額でも近年1位を記録することが多い。

<施設規模>客間40室
群馬県渋川市伊香保町伊香保396-1
0279-72-2123
http://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/7006/7006.html

今回インタビューにご協力頂いた宿泊施設はこちら

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