株式会社和多屋別荘
代表取締役
小原嘉元さん
約10年の旅館再生コンサルティング業を経て、2013年より和多屋別荘の3代目として代表に就任。老舗旅館の代表として、経営だけでなく日本文化の活性にも奔走している。
株式会社和多屋別荘
山脇茂美さん
電気主任技術者として和多屋別荘に入社。現在はエネルギー設備全般の管理運用を任され、豊富な知識と経験から小原社長から全幅の信頼を寄せられている。
楽天エナジー
エネルギー事業部
デジタルエナジーグループ
マネージャー
堀口公希
東京電力などを経て、2013年、楽天へ入社。
古い歴史と広い敷地を持つ老舗温泉宿「和多屋別荘」。3代目当主・小原代表が大切にしている「ホスピタリティマインド」という考え方は、宿泊客に限らず、取引先および社員に対する姿勢にまで浸透し、大型の旅館にとって厳しい時代となっても新たな価値を支えている。その老舗旅館が数ある提案の中から楽天エナジーとの契約に至ったのは、提案の姿勢に共通の思いが感じられたことだという。
※ i シェアリングサービスは「楽天でんきBusiness」の旧サービス名称です。
[小原] 和多屋別荘は約1300年の歴史を持つ嬉野温泉にあり、かつては長崎街道を通る薩摩藩の参勤交代一行が利用していた宿として伝わっています。その歴史ある和多屋を約65年前に初代である私の祖父が購入したのですが、楽天さんと当館の関係性は意外なところにありました。先代の頃でしたが、和多屋別荘の敷地内で開催された地元経済サロンの講師として、三木谷社長が直々にオンラインショップである楽天市場のプレゼンテーションを行っていたのです。その時は10店舗近くの加盟がありましたが、当館だけが宿泊施設で、販売できる商品は地元名物の湯豆腐しかなく、先代は「物販もいいけれど、宿泊プランを売ることはできないか?」と持ちかけたんです。当時の楽天市場さんはまだまだ立ち上がって間もない頃でしたので、三木谷社長は「いやいやそれは…」と言葉を濁しておられたようですが、このやり取りの数年後には宿泊プランを扱う楽天トラベルが発足していて、楽天市場さんの柔軟性と実行力は凄いなと思いましたね。
[堀口] 物品を販売していた楽天が、宿泊プランも扱うことで、お客様にとっての選択肢を広げ、利便性が向上しました。個人の趣味や生活スタイルが多様化していく中で、状況に合わせて選択肢を増やしていくことは、どの様な業界でも重要な事ですね。
[小原] 私は約10年間、全国の旅館の経営コンサルタントをしており、さまざまな旅館の再生に立ち会ってきましたが、そこで培った経験やノウハウを求められ、2年前から和多屋別荘に戻って引き継ぐことになりました。昨今では慰安旅行などの団体客も減り、従来の大型旅館のあり方では経営が立ち行かなくなることはわかっていました。そこで改めて敷地を見直すと、広大な庭や館内をまたいで流れる川、嬉野一帯を見渡せる高い建物など、今まで活用されていなかった施設やデッドスペースが宝の山のように見えてきたのです。実際にこれらを活用したことで、広いテラスで夜空を見ながらお酒とともにゆったりとした時間を過ごしたり、渡り廊下の椅子で庭園を眺めながら嬉野の美味しいお茶を飲むなど、月を楽しむために造られたとも言われる銀閣寺のような、花鳥風月やロマンを堪能できる宿として、お客様に新しい宿泊価値を感じていただいております。イメージとしては、庭園の中に入場料を支払って入っていただき、各施設を通じてお客様が思い思いに過ごしていただくプライベートリゾートのような発想ですね。
[小原] 旅館業はご宿泊中のお客様の身を預かるサービスですから、お迎えからお見送りまで満足していただくためには、お客様が何を感じて何を欲しているかに対して、執事や秘書のように的確に応じることが求められます。昔からお客様と直に接してきた当館の中居が、「出迎えてあげる、食事を食べさせてあげる、お風呂に入れてあげる、寝かせてあげる、という旅館として当たり前の事に真剣に取り組めば、おのずとお客様に喜んでいただける」という話をしてくれました。日本語として正しい表現ではないかもしれませんが、それはつまり、常に相手のことを思って行動する「ホスピタリティマインド」という考え方であり、お客様や取引パートナーの皆様はもちろん、一緒に働く社員や家族に対してもこの姿勢をもって臨むことで、さらに旅館の価値を高めていけるのではと思って従業員に周知しています。
私にはこのような考え方が身に染みているものですから、旅館運営を行う上でも似た価値観や姿勢を持った企業や人物に信頼を寄せています。楽天エナジーさんとiシェアリングサービスの契約に至ったのは、提案内容はもちろんのこと、顧客に対する姿勢に通じるものがあり、私たちのためになるということが感じられた点も大きな理由でした。
[堀口] 私どもは、お客様が取り組まれていることを理解・尊重することで、メリットのあるエネルギー提案ができると考えておりますので、和多屋別荘様のお考えにも共感するところがあります。実際に管理されている電力データを拝見させていただいたところ、工場などの大規模な電力システムを導入している施設と遜色ない細かな管理をされていることに驚きましたし、現在は担当の山脇様を中心に、光熱費について真剣に向かい合えているのではないかと感じております。
[小原] 当館の電気や水道など光熱分野すべてを担当している山脇は、その豊富な知識量に私も全幅の信頼を寄せています。ここ数年でいくつものエネルギーサービス会社が山脇に提案をしましたが、その中で山脇が私に報告を上げてきたのは、楽天エナジーさんだけでした。私としては、山脇の厳しいチェックの壁を越えたということで、すでに信頼できる提案だろうという印象を持っていました。
[山脇] 私は長年、和多屋別荘の設備を預かってきた身ですから、リスクの計り知れない「言うとおりにすればメリットがありますよ」という、当館の状況も把握せずに上から物を言うような提案では、到底上申することはできませんでした。しかし、楽天エナジーさんはメリットの試算根拠も納得のいくように説明してくれましたし、何よりも、すでに取り入れている施策や事情を考慮した上で提案してくれる点に、当館で大切にしている「ホスピタリティマインド」に通じる姿勢が感じられたので、信用できたのです。
例えば、当館の事情としては平成6年から3台の180kWの発電機を導入しています。当時は8時から22時まで発電しており、燃料の重油も1リットルあたり30円近くだったので電気代を削減できていましたが、今では1リットルあたり150円以上かかってしまい重油代の方が高くなっている状態です。iシェアリングサービスを導入する前は、九州電力さんとの割引契約達成のために発電機を使っていたのですが、楽天エナジーさんにはこのような複雑な状況を把握・理解した上でしっかりと試算していただき、iシェアリングサービスに切替た方が少しだけですが安くなりますという提案してもらいました。おかげで発電機の稼働が抑えられ、重油代もおそらく年間で100万円程度安くなることが期待できるようになりました。
[堀口] 山脇様のような詳しい方がいらっしゃると、すべてこちらの提案とおりではなく、一つの提案を聞き入れていただいた上で次のお話ができるので安心感があります。お打ち合わせの中でも、私が気づかなかったアイデアや相談をいただくこともありますので、建設的な関係性だと思っております。
[小原] 私としても実際に提案を受け入れて結果も出ているので、重要なパートナーとして認識しています。経費の削減を売り上げに逆引きすると、仮に1泊10,000円で1,500円の純利益とする場合、1,500円経費を下げることは10,000円を売り上げることと同じ価値があります。営業利益という観点で見ると年間で約1億円にもなる水光費を少しでも下げることは売上を伸ばすよりも、効果も金額も大きいですから。
[小原] 現在、楽天エナジーさんにはiシェアリングサービスに加え、ボイラーについても提案を受けていますが、コストの削減についてはわずかでも安くなるのであれば提案してほしいと思っています。この「わずか」という部分は提案時にお話いただいたことなのですが、あやふやな大幅削減ができるという提案よりも信ぴょう性があると感じ、私の心に大きくフックしたのです。さらに言うと、私どもが経営努力の先に求めている、まさに「わずかでも経費を削減したい」という思いに合致した提案でもあったのです。
[堀口] 楽天エナジーとしましても、電力の自由化によるメリットを享受するためのサービスだけでなく、施設様の価値を高められる提案を心がけています。さらに、施設様の状況や日本のエネルギー事情を踏まえ、些細なことでも構わない、今あるものの中で最善を尽くす方法をしっかりとご提案していきたいと思います。実際、電力自由化が始まって10年以上が経ちますが、自由化された施設はわずか4%程度しかないのが現状です。大きいことも大切ですが、お客様の細かなニーズに一つ一つ応え、選択肢が広がってこそ本当の電力自由化と呼べるのではないかと考えています。
[小原] 冒頭で申し上げたとおり、私は三木谷社長と先代のやりとりと、その後の楽天トラベルの誕生を目の当たりにしておりますので、楽天エナジーさんにも同様に固定観念を外した新しいエネルギー提案を期待しています。だからこそ、来る電力全面自由化に向けても、今までとは違う価値を世の中に提示してくれると思っています。
和多屋別荘は、ゆっくりと流れる嬉野川沿いの広々とした敷地に佇む温泉旅館。眼下に雄大な嬉野川を望む客室や、日本伝統の趣を感じる特別客室があり、佐賀食材を使った料理も魅力。スパ、足湯、月庭、箱庭、月見台など多数の施設も備えており、「日本三大美肌の湯」に選ばれた嬉野の湯は館内すべての湯舟に注がれており、穏やかな自然に包まれながら特別なひと時を過ごすことができる。
<施設規模>客間126室
〒843-0301 佐賀県嬉野市嬉野町下宿乙738 0954-42-0210