3人家族の食費の平均額は8万5557円

総務省統計局の2023年家計調査によると、3人家族の1カ月あたりの食費は平均8万5557円です。1カ月の消費支出の平均31万2567円に占める割合はおよそ27%で、家計のなかでも存在感の大きい支出といえます。

3人家族の1カ月あたりの食費は前年(2022年)の平均8万554円より5,000円ほど上がっており、最近の物価高を反映した金額だと推測されます。

また、2人家族の食費の平均7万2399円と比べると1万3000円ほど高くなり、家族が1人増えるだけでも食費に大きな違いが出るとわかります。

なお、世帯人数別の食費については、以下の記事で詳しく解説しています。

1カ月の食費はいくら?世帯人数や収入別の平均額や節約方法を解説

食費のピークは世帯主が40~50代の3人家族

同じ3人家族でも、家族構成によって食費の平均も変わります。たとえば、10~20代の食べ盛りの子どもと70代以上の高齢者とでは食べる量が違うため、食費の金額にもおのずと違いが出ます。

下表は、家族が2人以上の世帯において、世帯主の年齢ごとにみた食費の平均です。3人家族だけを対象としたデータではありませんが、世帯主の年齢による食費の変化を知る参考にしてください。

世帯主の年齢別 1カ月あたりの食費の平均(2人以上の世帯)

世帯主の年齢 食費の平均金額
~34歳 6万7540円
35~39歳 8万716円
40~44歳 8万6361円
45~49歳 8万8924円
50~54歳 8万8699円
55~59歳 8万5738円
60~64歳 8万4716円
65~69歳 8万5902円
70~74歳 8万1420円
75~79歳 7万5176円
80~84歳 7万1170円
85歳~ 6万8640円

出典:総務省統計局「家計調査(2023年)」

世帯主の年齢が35歳を超えると家族の食費は急激に上がり、40~50代でピークを迎え、60代まではほとんど変わらず高止まりの状態です。そして、70代以上、食費は少しずつ減っていきます。

最も高い8万8924円(45~49歳)と最も低い6万8640円(85歳以上)では、食費は約2万円も違います。

3人家族の食費の平均は地域差もある

総務省統計局の2023年家計調査では、地域別の食費の平均も確認できます。

地域別 1カ月あたりの食費の平均(2人以上の世帯)

地方 食費の平均金額
北海道地方 7万2381円
東北地方 7万7457円
関東地方 8万7081円
北陸地方 8万2033円
東海地方 8万468円
近畿地方 8万3108円
中国地方 7万7095円
四国地方 7万3324円
九州地方 7万4302円
沖縄地方 6万9613円

出典:総務省統計局「家計調査(2023年)」

上表も2人以上の世帯を対象としたものですが、地方に比べて、東京や大阪などの大都市を含む地方ほど食費が高い傾向がうかがえます。

この傾向は自治体別の食費の平均でみるとさらに顕著です。たとえば東京23区は9万7776円、埼玉県さいたま市は9万3279円であるのに対し、愛媛県松山市は7万1088円、鳥取県鳥取市は7万3150円と、約2万円の差があります。

地域によって食費に差が出る理由としては、賃金格差や外食の利用回数などが考えられます。

3人家族が家計のうち食費にあてる割合

家計の消費支出のうち食費にあてる割合(%)をエンゲル係数といいます。エンゲル係数は「食費÷消費支出×100」で計算されます。一般的に所得が上がるほどエンゲル係数は下がる傾向があり、この法則はエンゲルの法則と呼ばれます。

エンゲル係数は食費の支出額が適正かどうかを判断するのに役立ちます。そこで、3人家族の適正な食費をエンゲル係数から考える方法を紹介します。

3人家族のエンゲル係数は27.4%

先述のとおり、食費は家族構成やライフスタイル、お住まいの地域などにより変わる可能性があります。そのため、エンゲル係数の目安は一概には言えませんが、総務省統計局の2023年家計調査では、3人家族のエンゲル係数は平均27.4%です。

しかし、2022年以降は食料品の価格が急激に上がっており、エンゲル係数は右肩上がりの状況です。たとえば、10年前(2013年)のデータでは、2人以上の世帯のエンゲル係数は約25%でした。

日本の実質賃金は過去30年にわたって横ばいの状態が続いているため、近年のエンゲル係数の上昇は「所得の上昇に伴って食費の割合も上がる」とするエンゲルの法則からは外れています。

近年の物価上昇のあおりを受け、賃金がなかなか上がらない状況では、食費は減らしにくい費目です。しかし、3人家族は教育費やマイホームの購入など支出がかさむ可能性があります。節約したい場合は、平均データを下回るエンゲル係数20~25%を目標にすると良いでしょう。

エンゲル係数で3人家族の食費の理想値を算出

3人家族の食費をどれくらいに設定すれば良いか悩んだら、エンゲル係数から逆算して理想値を把握するのがおすすめです。計算式は次のとおりです。

  • 計算方法:家計支出(円)×エンゲル係数(%)=食費の目安(円)

エンゲル係数は直近の平均27.4%、また目標として20~25%で計算しておくと、世帯の状況にあわせて理想値を判断できます。

3人家族の毎月の家計支出を30万円とした場合

エンゲル係数の設定 食費の理想値
27.4% 30万円×27.4%=8万2200円
25% 30万円×25%=7万5000円
20% 30万円×20%=6万円

現在の食費が平均を上回っていればまずは平均を目標に、可能であれば目標値を参考にしましょう。

食費とほかの支出とのバランス

食費を考えるときには、ほかの支出とのバランスを見ることも大切です。総務省統計局の2023年家計調査から、2人以上の世帯における家計支出の詳細を確認しておきましょう。

消費支出の平均金額と割合(2人以上の世帯)

支出項目 平均金額 割合
食料 8万1738円 27.8
住居 1万8006円 6.1
光熱・水道 2万3855円 8.1
家具・家事用品 1万2190円 4.1
被服および履物 9297円 3.2
保健医療 1万4645円 5.0
交通・通信 4万2693円 14.5
教育 1万446円 3.6
教養娯楽 2万8630円 9.7
そのほかの消費支出 5万2498円 17.9
消費支出(合計) 29万3997円 100

出典:総務省統計局「家計調査(2023年)」

大きな割合を占める食費に目を奪われがちですが、「交通・通信」や「教養娯楽」、「光熱・水道」などほかの支出項目にもお金がかかります。何を節約して何にお金をかけるべきか考えて、バランスの良い節約を心がけましょう。

また、同じ「家計調査(2023年)」のデータによると、支出割合が高くなる年代は、「住居」では29歳以下、「教育」では40歳代となっており、ライフステージに応じて消費支出のバランスが変わることもわかります。

人生の三大支出とされる「教育」「住宅」「老後資金」にまとまった資金を準備するためには、食費の節約だけではなく、計画的な貯蓄も必要です。

なお、食費を含む3人家族の生活費については、以下の記事でも詳しく解説しています。

3人家族の生活費の平均はどのくらい?節約方法や資産形成方法を解説

家族世帯の食費の内訳

食費には、食材の購入や外食など、様々な支出が含まれます。ここでは、2人以上の世帯における食費の内訳を紹介します。

食費の内訳

食費の内訳 平均金額
穀類 6,551円
魚介類 5,996円
肉類 8,041円
乳卵類 4,313円
野菜・海藻 8,860円
果物 3,093円
油脂・調味料 3,892円
菓子類 7,122円
調理食品 1万2307円
飲料 5,277円
酒類 3,633円
外食 1万2653円

出典:総務省統計局「家計調査(2023年)」

健康維持に大切な野菜や肉、忙しいときに便利な調理食品や弁当、外食を中心にお金がかかっていると考えられます。

健康に欠かせない食材を削るわけにはいかず、食費の節約は簡単なことではありません。しかし、外食をできるだけ自炊に切り替えるなどして、無駄を抑える意識が大切です。

3人家族の食費を節約するポイントは?

食費は、毎日の生活や健康の維持に欠かせない食事にかかわる支出です。そのため、無理な節約では長続きしません。いきなり大きく減らそうとするのではなく、長く続けられる目標を決めてコツコツと実践することが大切です。

そこで、3人家族の食費の平均額や食費の内訳などを参考に、食費を節約するポイントを5つ紹介します。

1 食費の目標金額を設定する

食費の節約を考えるときにはまず現在の食費を正しく把握し、どのくらい節約できるかを考慮しながら、1カ月ごとの目標金額を具体的に決めます。

平均的な食費と比べる、エンゲル係数から理想値を考えるなど、家計や世帯状況に応じて現実的な目標の設定を意識しましょう。

また、3人家族に子どもが含まれるなら、成長に応じて食費が変化する点も考慮しておきましょう。成長期を迎える小学校高学年から中学生以降は、食費にかかるお金が増える時期です。節約はほどほどに「食費は子どもの必要経費」と割り切ることも必要です。

節約をはじめたら定期的に結果を振り返ります。振り返りは、ご自身の食費に対する考え方や使い道の把握、目標金額の適正化に役立ちます。

2 冷蔵庫の中を定期的にチェックする

無駄を減らして食費を効率良く減らしたいなら、冷蔵庫の中を定期的にチェックするのもおすすめです。

冷蔵庫の奥にしまい込んでいて、せっかく買った野菜が傷んでしまった、そんな経験をお持ちの方も多いでしょう。冷蔵庫の中をチェックして購入した食料や調味料を使い切ると、結果として食費を減らすのに役立ちます。

また、冷蔵庫に何が入っているか把握できていれば、スーパーで食材や調味料を買うときに「家にまだ残っているかどうか」に悩むことなく、無駄な買い物を防げます。

なお、冷蔵庫の電気代については、以下の記事で詳しく解説しています。

冷蔵庫の電気代はどれくらい?計算方法や節電方法を解説

3 食料品はできるだけまとめ買いする

食費を使う機会そのものを減らす方法も節約に有効です。

そんなに使っていないつもりなのに食費にお金がかかるなら、毎日の買い物で特売品や目についたものを「なんとなく」購入している可能性があります。1日ごとの支出は微々たるものでも、1カ月、半年と長い目で見ると食費を増やす原因になるでしょう。

数日分の食料を計画的にまとめて買う生活に変えると、「なんとなく」の機会が減り、意識せずとも節約になります。冷蔵庫の中を確認し、スーパーのチラシを参考にして買い物リストをつくっておくと、さらに無駄のない買い物を実現できます。

4 冷凍やつくり置きを活用する

長期保存がむずかしい野菜、まとめ買いした肉や魚は、冷凍やつくり置きを活用して使い切る工夫をします。素材や種類ごとに適した冷凍方法があります。よりおいしく長持ちする方法をリサーチしておくと重宝します。

たとえば、生野菜の場合、レタスやきゅうり、トマトなど水分の多いものは冷凍には適していませんが、ほうれん草などの葉物やブロッコリー、キャベツ、もやしなどは、下茹でした後、粗熱を取ってから冷凍すると色や風味、食感を残せます。

冷凍に向かないとされるトマトなどの野菜も、調理して常備菜にすれば数日間保存でき、お弁当をつくるときにも便利です。

5 外食をできるだけ減らす

手っ取り早く食費を節約したいなら、外食の回数を減らしましょう。

親子3人の家族のうち、働く親1人の昼食代に毎日1,000円かかっていたら、1カ月あたり(20日間勤務として)月2万円になります。

両親とも昼食が必要なら4万円の支出になり、3人家族の食費の平均8万5557円に当てはめると、残り約4万5000円で1カ月の食費を賄わなければなりません。

また、1人暮らしと違い、3人家族だと1回の外食で3人分の食費がかかるため、どうしても高額になりがちです。

そのため、スーパーの惣菜や冷凍食品などを活用する、お弁当を採り入れるなどして、外食の回数を減らすと食費の節約効果を実感しやすいでしょう。

食費以外で固定費も見直そう

食費以外で固定費も見直そう

食費は「目の前の食材を買わなければ、その分のお金を使わずに済む」ため、節約が目に見えてわかりやすい支出です。しかし、1回の節約で大きな効果は得にくく、また生活の潤いにもなる食事でガマンを強いられる可能性があるため、負担を感じる方も多いでしょう。

そこでおすすめなのが固定費の見直しです。

家計の消費支出は、支出額が毎月変動する変動費、毎月一定額がかかる固定費の2つに大別されます。

  • 変動費:食費・被服費・日用品費・娯楽費など
  • 固定費:住居費(家賃)・通信費・水道光熱費・サブスクリプション代など

変動費はお金を使うたびに無駄を抑える意識が必要です。しかし、固定費は毎月必ず出ていく支出のため、一度減らせば、その後は自動的に節約された状態が続きます。無意識のうちに節約できるため、ストレスなく続けられるでしょう。

また、固定費は節約できる金額もはっきりしているため、効果を実感できるはずです。

まとめ

総務省統計局の2023年家計調査によると、3人家族の食費の平均は8万5557円です。しかし、家族構成や子どもの年齢、お住まいの地域などにより、食費には違いが見られるため、平均値はあくまで目安としておきましょう。

理想的な食費は一概には言えませんが、平均値を参考にしながら、エンゲル係数20~25%を目標としてみてください。

食費を節約したいなら、まず現状を把握して、家計やライフスタイルにあわせて目標を設定します。そして、食材のまとめ買いをする、外食の機会を減らすなど、毎日の生活で工夫を凝らすと良いでしょう。

ただし、食費の節約はストレスの原因になる場合や、子どもの成長によってはむずかしい場合もあります。そんなときには、一度節約すれば自動的に節約した状態が続く「固定費」の見直しがおすすめです。

固定費のひとつとして、電気料金を見直す方法もあります。電力会社の自由化で、電気会社やプランの切り替えは以前よりずっと簡単になっています。食費が気になりはじめたら、毎月の電気料金の節約も検討しましょう。

楽天でんきは、利用料金200円につき1ポイント、ガス(※1)とセットなら100円につき1ポイントの楽天ポイントが貯まります(※2)(※3)。貯まった楽天ポイントは電気料金の支払いにも使えるため(※4)、利用するほどに固定費の節約につながります。

現在ご利用中の電気料金や契約情報で試算可能な「料金シミュレーション」を使えば、節約できる金額や獲得できる楽天ポイントをご確認いただけます。ぜひご検討ください。

料金シミュレーションはこちら
楽天でんきのお申し込みはこちら

(※1)楽天ガスは都市ガス(東京ガス、東邦ガス、関電ガス)が提供対象エリアです。詳しくはガス対象エリアページをご確認ください。
(※2)楽天ポイント進呈の基準となる金額は、電気料金とガス料金の税抜価格です。
(※3)楽天ポイントの進呈対象は、クレジットカードでお支払いいただいた料金となります。
(※4)貯まったポイントは50ポイント(50円相当)からご利用料金に充当できます。

この記事を監修した人
この記事を監修した人の写真
鶏冠井 悠二(かいで ゆうじ)

1級FP技能士・CFP・証券外務員一種・投資診断士・節約生活スペシャリスト・クレジットカードアドバイザー®

コンサルタント会社、生命保険会社を経験した後、ファイナンシャルプランナーとして独立。「資産形成を通じて便利で豊かな人生を送って頂く」ことを目指して相談・記事監修・執筆業務を手掛ける。担当分野は資産運用、保険、投資、NISAやiDeco、仮想通貨、相続、クレジットカードやポイ活など幅広く対応。現在、WEB専門のファイナンシャルプランナーとして活動中。